2009-02-10
転職活動についてまとめ 事前準備編
TWITTERやハイクなどでぶつぶつつぶやいていたが、本年1月頃転職を心に決めて、その活動も多少目処が付いてきたので、主に反省点をまとめておくことに。
プロセスの概要
転職活動は、概ね以下のプロセスに大別される。
- 目標設定
- 事前準備
- スケジューリング
- 履歴書・職務経歴書の作成
- ヒアリング
- 転職ストーリーの考案
- コンタクトリストの作成
- 選考過程
- 書類送付
- 面談実施
- 最終決定
- 条件交渉
- 入社手続き
このなかでもっとも重要なのは、間違いなく事前準備の段階である。選考過程は事前に準備した資料を淡々と説明するだけで十分足りるし、最終決定段階はかなり重要な位置づけを占めるが、一般的に企業の採用はその企業の規程に沿ったかたちで行われるので、あまり交渉の余地は大きくない。
ということで、今回は事前準備段階に絞って、まとめておこうと思う。気が向いたら以降のプロセスについても後日。
目標設定
なにかをはじめるにはまず、どこに行くかを決めなければならない。プロセスを終え、こんなはずではなかったという感想を抱かないためにも、これは絶対である。
決めるべきは転職の結果として得るべき成果であり、具体的にはキャリアなのか、報酬なのか、地位なのか、働きやすさなのか、である。簡単なことで、要は今の職場で不満なことが解決されればそれでよろしい。当初働きやすさを目指してプロセスを開始したにもかかわらず、途中で報酬に目がくらんで結局働きづらい会社に入ってしまっては、また同じことを繰り返す羽目になる。目標はなるべくはっきり決めて、初志貫徹を心がけるべきである。
スケジューリング
転職の意思が固まったら、兎にも角にもまずは転職活動全体のスケジューリングを出来るだけ精緻に行う必要がある。
五月雨式の出たとこ勝負では、プロセスがグダグダになってしまう可能性が高いからだ。グダグダのプロセスでは意思決定もグダグダになってしまう。折角良いオファーが出ても、もっとよいオファーがあるかもしれないと思うのは人間なら仕方のないことであるが、この感情はときとして取り返しのつかない判断ミスを招く。これを回避するためには、良いオファーが出た時点で、そのオファーが相対的にもベストに近いものであるという確信を持てるようなスケジュールを作成することが肝要なのだ。
であるから、ベストは転職先候補複数社からほぼ同時にオファーが届き、比較検討できるようなスケジュールを組むことである。オファーの時期がずれればずれるほど、返事を保留したりという余計なリスクを被ることになり、転職側にとって不利である。
転職活動を企業から選考されるという受身に捉えるのではなく、転職先企業を選考するという立場にたち、最終的な条件交渉においてなるべく有利にたてるようなプロセスを主体的に組むべきである。基本的には金を出す企業側が有利なのがビジネスの大原則ではあるが、きっちりしたプロセスを行い、条件を競らせること出来れば、企業側は条件を軟化せざるを得なくなるかもしれない。
履歴書・職務経歴書の作成
スケジューリングと平行して開始すべきは、履歴書・職務経歴書といった書類の作成である。
これらの書類に記すべき重要なポイントは、保有しているスキルと過去の実績である。これは企業に例えるとバランスシートと損益計算書に該当する。候補企業としてはこれらの書類を見て、転職者の行く末や今後の活躍を占うわけだ。重要でないはずがない。
記載にあたっては、自分がなにをしたか(実績)と、なにが出来るようになったか(スキル)をできるだけ分別して整然と記載すべきだろう。
転職ストーリー考案
履歴書や職務経歴書などの事実も重要だが、実はもっとも重要なのが将来を含めた転職に関するストーリーづくりだろう。
これはつまり、企業に例えると事業計画に該当する。何の実績もない企業が、事業計画という青写真一枚でときに数億という資金を調達するように、転職活動に際しても優れたストーリーを伝えることが出来さえすれば、履歴や経歴のマイナス面をカヴァーすることは十分に可能と思われる。
採用担当者は、転職者の履歴書や職務経歴書を見てその人の今後を予想するが、ときとして貧困な想像力しか持ち得ない採用担当者は、しばしば転職者の能力を見誤る。むしろ、正確に把握することは不可能だ。だからこそ、転職者の側が、採用担当者が自分について今後の活躍に関する明るい展望を描く手助けをしてやらなくてはならない。
ストーリーを考案するにあたっては、以下の問いかけが有効であるように思う。
「自分が価値を提供する先は誰か?」:
転職先の企業なのか、転職先企業の顧客なのか。転職先企業の顧客だとしたら具体的にはどういったセグメントやカテゴリーの相手なのか。
「自分が提供する価値はなにか?」:
人当たりの良さなのか、専門的な知識なのか、人脈なのか。つまり自分が持っているもので、相手が欲しがったり喜んだりするものだ。
「価値の提供にあたって自分と他者との違いはなにか?」:
あなたの周囲にころがっている木偶どもでさえ、なんとか価値を出そうと躍起なのだ。あなたにはなにか差別化のための戦略が必要だ。「強みはなんですか」という愚問*1については、この問いに応えるかっこうで対処することにした。
「自分はどのような活動によって価値を具現化するか?」:
価値を提供して感謝されるだけならうちの息子でもできる。それを利益なり時価総額なり貨幣なりに落とし込んでこそのビジネスである。そのための手法を考えよう。
「そのためにはどのような組織に属することが望ましいか?」:
何故、今の会社ではできないのか。何故転職先ではできるのか。それが重要である。
初期ヒアリング
ストーリーまでが粗方固まったら、ヒアリングを開始する。履歴や職務経歴、転職ストーリーなどに基づき、転職先候補となりそうな対象の状況や動向を調査するプロセスだ。
注意すべきは、ヒアリング相手としてはできれば親しくない人物を優先すべきという点である。ついつい親しい人物にまずは相談を持ちかけたくなるというのが人情というものであるが、万が一相談をきっかけに話がとんとん拍子で進んでしまったら、スケジュールが有耶無耶になってしまう。つまり、相手のレスポンスのスピードを考慮して、遅そうな相手から順に声を掛けていった方が得策だろう。
ということで、まずは目ぼしい転職紹介会社複数者に打診し、面談の予定を取り付け、上記した書類や転職ストーリーについての意見を伺うとともに、候補として良さそうな先をいくつかピックアップしてもらうようにしよう。この際、往々にして紹介会社の担当者の間抜けさから、現職と似たような業種で採用活動をしている会社を考えなしに羅列されることがあるが、当初掲げた目標とあまりに乖離する先を並べられても断るだけ時間の無駄なので、なるべく具体的に意向は伝えておこう。
おれが銀行なんか行くはずない(行けるはずない)って履歴書見たらわからねえかな。
コンタクトリストの作成
いくつかの転職会社をあたれば、ボチボチ転職先の候補が出揃ってくることになる。候補はできれば表にして管理しておこう。
時間は有限なのでコンタクト(応募)先には優先順位をつけてあたることになるだろうが、ポイントとしては、出てきた候補を比較するための軸を予めいくつか用意しておくという点だろう。当然、当初掲げた目標にそぐうか否かの判断が最優先であるが、似たような条件が出てきたときには別の条件で比較することになるだろう。ちなみに私の場合は報酬、雰囲気、仕事内容(私が役に立つかどうか)、採用に対する積極性などでそれぞれランク付けした。
ランク付けに際しては、当然情報が不足することになると思うので、紹介会社に問い合わせたり、とりあえず実際に面談に望むまでは評価を棚上げするなどして対応すればよい。
なお、この表はそのままプロセスの進捗管理に使えるように装丁を工夫しておくと、後々便利だと思う。