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【コラム】人材のブラックホール(下)

 ライバル国が最近海外の頭脳誘致に乗り出しているのも、優秀な人材が米国にばかり流れているため、永遠の二等国へ転落するかもしれないという危機感からだ。中国の場合、今年は海外の超一流の人材1000人を迎え入れることを目標とする「千人計画」を打ち立て、外国人永住ビザや医療面における各種の配慮を行っているだけでなく、一人当たり200万人民元(約2900万円)の奨励金を支払うことにしている。フランスは毎年18億ユーロ(約2400億円)の予算を投入し、5年で優秀な人材一人当たりに毎年5万ユーロ(約660万円)から10万ユーロ(約1320万円)の研究費を支援し、海外の学術会議などで賞を獲得したフランス国籍の研究者の帰国を促すことに努めている。

 問題は「世界的な頭脳争奪戦」が日々激化する中、韓国は今も手をこまねいて見ているだけ、という点だ。今年3月末に韓国政府は国益に貢献したと認められた外国人を特別帰化対象者として、遅くとも2011年から二重国籍を認めることにした。しかしライバル国に比べると、実効性や効果ははるかに劣ると指摘されている。ここ10年で韓国国籍を取得したのは5万人を少し超える程度だが、逆に国籍を放棄したのは17万人に達している。優秀な人材が海外に流出する現象が続いているのだ。

 一人当たりの所得が3万ドル(約300万円)台を突破するには、一人が数万人を食わせる21世紀型の頭脳の確保が必要だ。また優秀な人材を国内に迎え入れるには、インセンティブを提供するだけではあまりにも不十分だ。ビジネス環境や生活環境の改善、また外国人を積極的に受け入れて共存する寛容の文化を広めることなど、「魅力あるコリア」を作り上げるためのさまざまな努力が必要となる。

宋義達(ソン・ウィダル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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