究極のスペシャリスト「警備犬」出動倍増…連載漫画もスタート
5月9日0時51分配信 読売新聞
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強盗犯人役の警察官にかみついて「逮捕」する警備犬 |
昨年の出動件数は外国要人の滞在先警備や災害への派遣など約350件で、5年前の2倍に上った。人気週刊漫画誌では3月、警備犬をテーマにした連載がスタートし、警視庁は知名度の向上に期待を膨らませている。
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「警備犬は刑事・警備・救助の全てをこなす伝説の警察犬なんや」−−。週刊少年マガジン(講談社)の連載「マッシュGO!!」で、訓練所の職員からそう紹介される。主人公のマッシュは、2004年の新潟県中越地震で、土砂崩れ現場で男の子を発見した実在の警備犬「レスター号」(7歳)の子供という設定で、厳しい訓練を乗り越え成長していく物語だ。
原作は、海上保安官の活躍を描く漫画「海猿」の原作者でもある小森陽一さん(42)で、「警備犬は全く異なる種類の仕事をこなせる究極のスペシャリスト。漫画を通して読者に身近に感じてもらいたかった」と話す。編集部には連載開始以来、「警備犬の仕事の厳しさを知った」「こんな世界があったとは」などと、読者の反響が続いているという。
東京・多摩地域にある同庁警察犬訓練所には現在、現役のジャーマンシェパードのオス14頭が在籍。指示役のハンドラーと寝食を共にしながら、「伏せ」「待て」の基本動作から、爆発物の探索、被災者発見など高度なメニューを含め、1日4時間の訓練を繰り返す。
警備犬が、国内で初めて導入されたのは1980年。人間の5000倍以上と言われる嗅覚(きゅうかく)を生かし、当初は迎賓館などの周辺で不審物を探索する仕事が中心だった。国体や植樹祭の警備で出張するほか、94年以降はアルジェリアやモロッコの大震災など海外の被災地にも派遣されてきた。
外国要人が滞在することも多い帝国ホテル(千代田区)では「3年ほど前からは、VIPの客室も事前に捜索してもらっている」(広報課)という。14頭は民間企業の災害・テロ訓練にも引っ張りだこで、昨年の出動件数350回のうち、訓練のみの出動は約150回を占める。
同庁によると、欧米でも軍や警察に警備犬は配備されている。だが、不審物の捜索が専門で、災害救助の仕事までこなすのは世界でも同庁だけ。ただ、レスキュー隊員や捜査員にはまだ、警備犬の実力が知れ渡っていないという。「警備犬は人間の命を守る我々のパートナー。立てこもり事件の現場などでも活躍できる」。ハンドラー歴20年の山川良博警部(57)は、頼もしそうに教え子を見つめていた。
最終更新:5月9日0時51分
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