道北・オホーツク
チョウザメ人工ふ化、3万匹誕生 美深の事業 比率、数とも過去最大
(04/25 13:42)
水槽を泳ぎ回る飼育中のチョウザメ稚魚
【美深】町内紋穂内(もんぽない)の美深チョウザメ館がこのほど、チョウザメの人工ふ化に成功し、稚魚約3万匹が誕生した。ふ化率は約60%。同館での人工ふ化は7年ぶりで、ふ化事業に取り組むようになって最大のふ化数、ふ化率を記録した。現在も数千匹が元気に育っている。
天塩川に昭和初期まで遡上(そじょう)していたチョウザメは美深のシンボル的存在。町は一九八三年にベステル種三百匹の提供を水産庁から受け、研究のため紋穂内の三日月湖に放した。
九七年に、町が温度調節可能な水槽を備えた美深チョウザメ館を三日月湖そばに建設、人工ふ化に取り組むようになった。現在は成魚八百匹を飼育し、びふか温泉に料理用として時折出荷している。
同館は過去六回、人工ふ化に成功したが、技術的に困難なこともあり、ふ化数は最大でも六千匹程度、ふ化率も10%程度だった。
今回は北大大学院水産科学研究院の足立伸次教授の助言を受け、ふ化の季節となる春をチョウザメが認識するよう、オス、メス八匹が入った水槽を、昨年十一月に水温五度まで低下させた。
今年三月上旬に温度を徐々に上げ始め、同十九日に人工授精。同二十五日から二十八日にかけ稚魚がふ化し始めた。足立教授は「60%のふ化率は標準より上。授精までの個体管理が良かった」と成功の要因を話している。
稚魚の大きさは現在四センチほど。餌が合わず死ぬものもいたが、数千匹が育っている。(鈴木圭一)