「超一等」北ヤード開発が供給過剰を一段と助長も
JR大阪駅北口に隣接する「最後の一等地」24ヘクタールの再開発プロジェクトが「梅田北ヤード再開発」。そのうち東側7ヘクタールの先行開発(第1期)はコンペで選ばれた三菱地所、オリックスなど12社連合が事業主体となり、住居・オフィス・商業施設など4棟の超高層ビルを建設する予定だ。
この一大プロジェクトにも不況の影が忍び寄る。昨年8月、完成時期が当初見込みから1年半以上ずれ込み12年秋以降になると関係者が発表したところ、「不動産不況でテナントが集まらないのが原因ではないか」という観測が広まったのである。
12社の幹事企業・三菱地所はこの憶測を一蹴する。完成時期が延びたのは、関西が官民挙げて進める、学術・研究など知の集積機能「ナレッジキャピタル」などの比重を増やすことに伴い、「商業床面積の拡大など行政との協議に時間がかかった」(山口修一・大阪支店プロジェクト推進室長)ためだと説明する。今年3月12、13の両日に「ナレッジキャピタル」の中身紹介イベントを開催、アピールに努める。
それでも開発への懐疑的な見方は消えない。先行開発が持つ4・5万坪もの新規オフィス供給増が、すでに見え始めていた大阪市内の不動産市況の悪化を一段と増幅させないかという強い懸念が背後にある。
下の図表にあるとおり、梅田・大阪駅周辺は今、梅田阪急ビルなど大規模ビルの再開発ラッシュの様相を示している。これらによるオフィスの新規供給面積は4万坪を上回る。北ヤード先行開発分と合計すれば倍の9万坪に達する。リーマンショック以来の世界同時経済危機の進展も重なり、大阪でそれだけのビル需要が創出されるのか、という疑問が当然のように出てきている。
「大阪は不動産市況の過熱感も東京に比べれば小さかった」という声は地元関係者の間で多い。外資系を含むファンドの動きも見られたが、「地場の不動産会社は冷めた目でその動きを見ていた」(りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員)というのだ。ただ、大阪でもファンド勢の動きは強まっていた。「今回は短期売り抜けが目的のファンドが保有する大規模ビルが今後相当数立ち上がる。この影響がどうなるか」と注視する見方もある。「ビル所有者がファンドかどうかを気にするテナントは少なくない」とある関係者は打ち明ける。
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