2008年 12/20
「雇用の流動化バンザイ」(ただし自分たちは除く)
雇用, 転職, 非正規雇用, 就職氷河期, 年功序列, 少子高齢化, 貧困
http://d.hatena.ne.jp/yellowbell/20081217
ついでにメモ: http://q.hatena.ne.jp/1229725650
なぜか「すばらしい」という意見が多いけど,こいつは全然分かってないと思う.
そもそも『先送りされた』なんて他人事みたいに言うな.自分たちが痛みを背負うのが嫌だったから『先送りにした』だけだろと.
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/yellowbell/20081217
はい.全体のまとめおわり.
- 企業と労組との"共犯関係"は誰かも言ってたけどそういう前提があるから組合の人間から「ワーキングプアが云々」とか話されても白々しく感じるんだよなあ(実話)
- 人件費を削減したい企業側と雇用を安定したい組合側の落とし所として、新卒採用を控えたんじゃないのか。若者にババを引かせただけ。
- そもそも先送りを可能としたのが「労働者の権利」。努力の問題じゃないというが「生産性を上げるための努力」そっちのけで「権利を守るための努力」を怠らなかった人たちが勝ったというお話。
住宅ローンなんて論外だし,礼金も連帯保証人も廃止すべきでしょうね.家賃ももっと下がるべき.
- 雇用の流動性がデフォの米国や欧州での「雇用の調整弁」ってのは政府なのかしら?米国にすんでいるけどそんな実感皆無だわ。結局は市場に任せているはずなんだけど、日本のはひどく歪んでしまったねぇ。
- 労働力の流動性という点じゃ今の日本はいびつすぎてだめだけどね。流動性がはげしすぎるところとよどみまくってるところに分かれてしまっているので
政府ではないでしょうね.経済活動において,政府ができることなど非常に限られてます.
「よどんでいる場所=中高年正社員&経営者」.まずはその聖域にメスを入れないとダメですよ.*1
- 具体例:「非正規雇用や若手が切られて、何で管理職は切られないんだろう?」http://d.hatena.ne.jp/sync_sync/20081211/1228925091
- 大手派遣業者が「うまい蜜を吸っただけ」で、期待される機能を果たさないのはなぜだろう。「足りない雇用」が無いのか、見えていないのか、派遣従業者の選り好みなのか。
- 余ったパイは食い散らかされた残りもんだわな.だから新規参入者が著しく不利になったわけだが...
『余ったパイ』などないでしょうね.美味い汁を吸ってるのは派遣会社でもない.一番美味い汁を吸っているのは,彼ら中高年正社員です.*2 *3
美味い汁は最初に(中高年)正社員が全部吸っています.その食い散らかした残りカスを,派遣会社が食い物とされた若者に再分配しているだけなのです.*4 *5
- "「雇用を流動化させればすべて解決する」という共同幻想"ってあったのかな?とは思ったが(以下略)
これはキッパリと言うが,そんなものは無かった.ひょっとしたら彼らはそれを信じたかったのかもしれないけれど*6,そんな物を信じている若者などいなかったと思う.
それこそ今年,内定を取り消された人たちに聞いてみればいい.雇用を流動化すれば,あなたの内定取り消し問題の痛みが,すべて魔法のようにどこかに消えてしまうのかと.*7
- 調整弁も、気づかないような場所にいれば、水漏れしてても12年も放置しといてもらえたのよね。できれば、そのまま放置しといてほしかったなぁ(ダマレ
- なるほど。正社員だったけど、私(女性)も「自分は調整弁だな」と若いころ実感してました。
- 流動化すれば、子どもたちの将来がどうなるかを考える余裕が無かったのかなと。例外はあるでしょうが今の20代30代は不安定就労か安定していても長時間労働で、人口減るよねえと。
というのが労働組合関係者の視点でしょうね.彼らにとっては犠牲になる若者など,同じ人間とは思っていないのですよ.
あの時点でこうなることは分かっていた.ただ目をそらしておけば,自分の懐は痛まない.痛むのは名前もしらないような若者達だけだ.じゃあそれでいいじゃないか.それが彼らのやったことだ.
- 90年代に産別の幹部だった人か。政労使三者の論理をナマで知っている人だな。
でもまだ就職していない若者達は,蚊帳の外におかれていた.「バブルと終身雇用のツケは全て,将来を背負う若者たちにおしつけよう」.それが彼らの出した答だった.
そして今もまた,あの時と同じ失敗を繰り返そうとしている.
今の状況はつまり、バブル時代のことをまったく反省してこなかったんだねってことが明るみになっただけでなく、状況を今まで悪化させてきたってことだよな?
日本の製造業は直ちに再編が必要っぽいね。
http://d.hatena.ne.jp/yasutakaff/20081220/1229707556
- 労働党(派遣クロイツ)って駄洒落が思いついたけど、多分言わないほうがいいんだろう…。
「国家社会主義ドイツ日本労働者党」ですね?そういえばゲシュタポ人事部とかあるなあ.*8
http://d.hatena.ne.jp/yellowbell/20081217
元記事.
20世紀の最後、私は某業種の産業別組合(産別といいます)の地区委員長をしていました。
非正規雇用とか世代間格差の問題は,経営者と労働組合が結託して行ったもので,いわば労働組合は共犯者だ.派遣会社はさしずめ実行犯だね.
終身雇用と年功序列賃金は『高齢者主催のネズミ講』であるため,このままだと破綻するのが目に見えてたんだよね.そこで彼らは『ネズミ講』を破綻させるのを先送りにして,自分たちだけは逃げ切ろうとした.ネズミ講の主犯は元締めだけど,元締めに近くて新規会員の勧誘に積極的だった参加者は,はたして被害者だろうか?それとも加害者だろうか?
労働組合や終身雇用は「社員の生活を守るため」に存在する.*9
じゃあ話は簡単だ.「社員じゃない奴」を食い物にすればいい.そうやって若者を食い物にしようとしたのが1991年から始まった就職氷河期と,非正規雇用の増大だ.*10
「雇用の流動化」は必要だよ.だけどこういう連中のいう『雇用の流動化』とは,他人である若者達の流動化であって,企業の中で最も高い給料が払われ最も重荷になっている高所得の中高年労働者や,或いは「経営者」や「御用組合の責任者」のような身内の雇用の流動化は意味しないのだ.彼らだって自分の身が一番可愛いんだよ.
もちろん彼らが全てその給与に見合うくらい高い能力を有し,且つ企業がそれだけの高収益を上げ続けているなら問題はないが,現実はそうではないよね.
城:「じゃあ、最初は新卒基準で、二年目からは出来る仕事の内容に応じてお給料を設定するといいうのは?」
A:「それって職務給じゃない(笑) まあ実はそれが理想だよね。でもそれも難しい。組合員は全員同じ人事・賃金制度の適用が大前提だから、結局は全社員に職務給適用って話に膨らんじゃう。労組はもちろん、うちの上司も猛反対だよ。彼なんて、新卒初任給でも高すぎるくらいだし」
となると、やはり落としどころとしては、中高年の年齢給は既得権として保障しつつ、抜擢に際してだけ職務給を導入するキヤノン式がギリギリ精一杯ということになるか。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17090/2615563#2615563
「我々組合側は成果主義型賃金の導入には全面反対です」と組合役員が方針演説をした後で、青年部(30歳以下の組合員)代表が「我々は賛成です、勝手に反対しないでください」とぶちあげたのだ。
実は、組合内部でこういった“世代間のギャップ”が存在するところは少なくない。一般に組合サイドは成果型制度に否定的ではあるが、青年部あたりにとっては、「定期昇給も無い、かといって抜擢も無い」ではシャレにならん、というのが本音だろう。
労働組合というのは、実はこてこての年功序列型組織である。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17090/1636702#1636702
ここでは解決策にワークシェアリングを上げているけれど,その時もかれら「中高年正社員の分不相応に高すぎる給与」という聖域には手を付けないつもりだろう.今でさえ非正規雇用の給与は低く抑えられているのに,それがワークシェアリングによってさらに1/2〜1/3になって,一体どうやって生活していけるというのだ??
それはやがて、若さの特権といいますか、それ以上にバブル時代のイケイケなノリの残滓といいますか、株式市場の大衆化に裏付けられたベンチャーへの憧れともあいまって、「できる奴は企業に使われなくてもやっていける時代」への変化が要請されてきます。
もちろん、よりネガティブに、就職氷河期の中で、新卒全員が企業に勤められないからこそ企業に勤めなくても仕事ができる仕組みとして、「企業に勤めなくても働ける時代」への変化が要請されたと言い換えてもいいです。
アホか.寝言は寝てから言え.A級戦犯の責任逃れの言い訳にしても,できが悪すぎ.老害の思想,ここに極まれりと言う所だね.
その後,バブルが崩壊し景気は最悪.新規雇用が大幅に減らされ,その世代は就職したくでもできなくなった.それがここでいう「ロストジェネレーション」.*3
んで,その頃に「新時代の労働スタイル」としてフリーターを紹介していたのが,朝日新聞その他のマスコミだったのだ.もちろん所詮は「日雇い労働者」に新しく貼られたレッテルに過ぎず,安定性も将来性はほとんどない.しかし当時はまだインターネットも普及しておらず,フリーターがどれほど将来性のないものであるかを,広く宣伝するのは難しかったのだ.*4
『ロストジェネレーション』も,別に「やりたいことをやるため」にフリーターになったわけではなく,新卒採用数の大幅削減のために少なからぬ人間がその道を選択するほかなかったのだ.その最大の原因はバブルであり,バブルを起こしたのはここで言う『ロストジェネレーション』ではなく,その上の世代だ.非難するならバブル世代こそを非難すべきですね.
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070430/p6
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20080106/p1
求められたのは年功序列賃金や終身雇用からの脱却であって,若者を非正規雇用に押し込めることじゃなかった.そもそも個人事業主が,個人で企業や経営者を相手取って対等以上の取り引きができるんなら,労働組合なんていらんのよ.
個人と組織とでは力に差がありすぎて対等の取り引きが成立しない.本来なら労働組合とは労働者が経営者と対等の交渉の舞台に立つための武器となるべきだったのだ.
そもそも就職氷河期世代は,バブル期の大半を受験戦争を乗り切るために過ごした.戦後最も狭き門である最難関の受験戦争を戦ってきたのだ.バブル期の甘い汁など一滴も吸っちゃいねえ.あえていうなら進学塾や予備校や私立高校への教育費として注ぎ込まれただけ.
ところで大学については
進学希望者数 − 大学の定数 = 不合格者数*11
という式が概ね成り立つものと思う.*12同様に新卒採用については
新卒の人数 − 企業側の新卒採用人数 = 非正規雇用 + 失業者*13
という式が成り立つと思うんだが,それでなにゆえ非正規雇用が自己責任ということにされるのだろう?
アップルやGoogleは既存技術の組み合わせ?
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/04f856be43c5554c1164fb27cfb2e53c
イノベーションの本質は技術革新ではないと論じる。アップルやグーグルのように既存技術の組み合わせによってすぐれたサービスが実現される一方、日本メーカーのように特許はたくさん持っているが収益の上がらない企業が多い。
「(破壊的)イノベーションの本質は技術革新ではない」というのはアリだけど,その例としてアップルとGoogleを上げるのは的外れもいいところだろう.
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
- 作者: クレイトン・クリステンセン, 玉田俊平太, 伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
アップル*14もGoogleも,IT的には*15既存技術だけではどうにもならない世界なんだが.特にGoogleは技術力主導の観が強く,大半の日本企業はその足下にも及ばない.もちろんそういうソフト/ハード開発を外部にアウトソースするのは非常に危険だ.*16 *17
池田信夫はやはり池田信夫なのであった.*18
ちなみにトラックバックは送ったが反映されない.彼のブログでは批判的な意見は無かったことにされることが多い.この事実こそ,彼がどんな人物であるかを赤裸々に語ってくれるだろう.
*1:でもここで元記事を書いた件の人物は,その聖域の中の人間なんだよな.そして自分がそうであることを気付いてないか,気付いているけどシラを切っている.
*2:500万円分稼げる労働をする社員が10人いたとします.うち9人の若手の給料を400万円にして1人の中高年管理職の給料を1400万円にする.これが(高度経済成長期の)年功序列賃金のカラクリ.
問題は9人の若手が中高年管理職になった時.81人必要だけど若者の数が頭打ちで40人しか確保できなかった.(バブル期の「超売り手市場」)「じゃあ彼ら一人当たりのノルマを倍にすれば問題ないよね.」(バブル期の過重労働.)
40人のうち30人は非正規雇用にしたから,管理職に昇進するのは多くても10人だ.でも若者の数が減っていて今度は20人しか確保できなかった.(ここ数年の「バブル期以来の超売り手市場」.)「大丈夫.彼ら20人の若手には倍の1千万円分の仕事をさせて,しかも給料を200万円に抑えればいい.こうすれば『正社員の生活』は守られるよ.組合バンザイだ.」
そして若者の過労死は自己責任.異論は聞く耳を持たない.http://www.doblog.com/weblog/myblog/17090/2615608#2615608
*3:マスコミとか御用組合とかも同様.しょせんは「同じ穴の狢」なので,この問題については一切触れようとしない.
*4:「余っているパイ」という思想は,「雇用も金もいくらでもある」という思想に基づいているよね.まるで「医者なんていくらでもいるから,再配分さえすれば医療崩壊は起こらない」というような.でも実際には雇用にしろ医者にしろ(或いは技術者にしろ)パイは限られていて,その限られたパイを奪い合っているのが現状だ.むしろ状況は「カルネアデスの舟板」の方が近いかもしれない.
*5:そういう意味ではベンチャーなどは「新しいパイ」を焼く作業と言えるけれど,これには非常に大きなリスクを伴う.米国などはベンチャーを優遇することで新しいパイを増やそうとした.日本政府は既存の利権や古い産業を守るために総力を挙げてベンチャーを叩きつぶした.http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20080803/p1
*6:ある意味で彼らにとってはそれが『真実』なのだろう.裁判をおこして「私は真実(=自分に都合の良い結論)が知りたいだけなんです!」という人いるよね.あれと同じ.
*7:長期的にはその方向へ向かうべきではあるし,流動化していればそもそも青田刈りも内定取り消し問題も起こらなかったと思うけど.
*8:だからこそ人事部の待遇は良い場合が多い.口止め料や賄賂の類だね.
*9:ここでいう『生活』には長期の住宅ローンや子供を大学まで行かせる教育費なども含む.住宅ローンを贅沢品と思わない彼らは,夕張市職員を笑えないと覆う.
「妻と小学生以下の子供三人との五人暮らし。期末手当や家族手当を計算に入れても住宅ローン、保育料などを差し引くと平均月額十九万円そこそことなる。」http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/886440.html
*10:来年起こるであろう『プチ就職氷河期』を見ると,この問題には未だ手つかずのようだ.
*11:浪人+就職 or 失業者.もちろんこれは結構な数に上った.学力が低い人は最初から諦めていた人だって多い.「大学全入時代」なんてわりと最近の話なんだよ.
*12:実際には多少の誤差を含むけど.
*15:というか主にソフトウエア的には?
*16:この辺って分からない人がいるのかな.技術は見た目じゃないんだけどね.
*17:どちらかというとAmazonやDellの方が良いたとえなんじゃないかな.
*18:技術のことが分かってないなら黙ってればいいのに.もっとも,彼は経営も経済も分かってないのがイタイ人なんだが.