きょうの社説 2009年5月8日

◎新金大病院が始動 「北陸医療圏」のけん引役に
 金大附属病院の十年越しの再開発事業で、最後に完成した外来診療棟が業務を始め、大 学病院として新たな一歩を踏み出した。大学病院を取り巻く環境はこの十年で大きく変わり、先進医療を提供する「最後の砦」としての性格は言うまでもなく、高度な人間ドックに象徴される病気予防、早期発見の拠点など、地域により密着した役割が求められている。

 北陸で医療機関のネットワーク化が進むなか、金大附属病院はその中核として地域医療 全体を底上げさせる責任も担っている。「北陸医療圏」をけん引する意気込みで、これまで以上に地域に信頼される存在であり続けてほしい。

 金大附属病院の再開発事業は一九九八年に始まり、新病棟、新中央診療棟に続いて今回 の外来診療棟で事業が完了した。この間、臓器別診療体制への移行やがん高度先進治療センターの開設など着実に医療基盤を固めてきた。

 病院は大学の学域再編により昨年度、「医学部附属」から「大学附属」へと変わった。 医療・医学は金大の看板であり、病院は独立法人化した大学の収益源としても重要な存在である。医薬系のみならず、大学の総力を結集して盛り立てていこうとする姿勢は望ましいことだ。工学、理学分野との連携など、総合大学の強みを病院経営でも存分に発揮してもらいたい。

 金大附属病院では民間事業者の提案で整備する「金沢先進医学センター」が来年二月に オープンする。PET−CT装置や放射性薬剤製造装置「サイクロトロン」を備え、がんや認知症の診断・研究のほか、将来的には健康診断も実施する。

 東大をはじめ、大学病院では高度な人間ドックを設置する動きが広がり始めている。地 域からの視点に立てば、病気予防や早期発見のニーズは極めて高く、大学病院が治療のみならず、「予防の高度化」にも乗り出すのは時代の要請といえる。

 豊富な人材や研究蓄積を生かすためにも、大学病院にふさわしい人間ドックをぜひ実現 させてほしい。予防を含めた幅広い医療の提供は、北陸における金大の存在感を一層高めることになろう。

◎人出130万人 消費刺激の効果はあった
 ゴールデンウイーク期間中、石川県内の主な行楽地やイベントの人出が昨年より七万人 近く増え、百三十万人を突破した。高速道路の大幅割引で遠方からの観光客が増えたこと、九万二千人を集めたラ・フォル・ジュルネ金沢の人気など、理由はさまざまあるにせよ、例年以上に人出が増えたのは地域の経済にとっても明るい材料だ。

 人が動けばにぎわいが生まれ、消費も増える。不況だからと、家に閉じこもっていても 事態は変わらないが、皆が街や行楽地へ繰り出し、イベントや文化行事を心から楽しむことで消費者心理は好転する。景気はつまるところ人間心理の変化に左右されるのであり、消費が刺激されてお金が回り出せば、実体経済も動き出す。連休中のにぎわいをステップにして、景気回復につなげていきたい。

 ゴールデンウイーク期間中、主要な道路が帰省客や観光客で混雑するのはいつも通りだ が、今年は特に県外ナンバーが目立った。兼六園や金沢城公園、輪島の朝市、七尾の青柏祭など、石川を代表する観光地や祭りの人出はいずれも例年を上回った。自動料金収受システム(ETC)搭載車の割引実施で、東北や中国地方など遠方からの車も多く、マイカーによる観光需要の底上げ効果は、まずまずだったのではないか。

 各地の混雑の状況を調べ、過度の渋滞により、ドライバーを不快にさせることがなかっ たか、駐車場やトイレなどで問題が生じなかったかなど、マイカーの流入対策を総点検し、必要な手を打っておく必要がある。

 黄金週間の活気を支えたもう一つの要因は、定額給付金の支給だった。心にも財布にも 余裕がないと、行楽に出掛ける心境にはなりにくい。

 ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」の人気も初年度以上に高く、二年目のジンクス とは無縁だった。ただ、私たちが指摘してきたように、三日間の公演をJR金沢駅周辺だけでなく、市中心部でも開催させる仕掛けがほしい。にぎわいを街なかに呼び込み、街全体に活気を生むためである。