象徴天皇制は、終わったのではないか――。象徴天皇の制度はもちろん、終わってはいない。ここで明らかにしたいのは、天皇というシステムと、この国に生きる人たちの関係の劇的な変化である。それは、メインストリームメディアである新聞やテレビを見る限りは、立ち現れない。新聞的の公式情報と、消費社会における週刊誌的な読みのズレは、ミッチーいじめが語られた当時や、もっと以前から存在した。だが、今の皇室について感じられるものは、かつてあった何かとは確実に違うものだ。社会を統合する「象徴」はいま、どうなっているのか。飜って社会はいまどのような状態にあるのか。全体性の失われた共同体の現在を読み解く。もり・ようへい 1964年生まれ。成城大学文芸学部準教授。京都大学文学部卒。1990年毎日新聞社に入社、社会部で宮内庁、警視庁を担当。2000年国際大学大学院修了後に渡米し、CNN日本語サイト編集長、琉球新報ワシントン駐在記者をへて現職。著書に『天皇家の財布』、『ルポ軍事基地と闘う住民たち―日本・海外の現場から』(共著)。【執筆者からのメッセージ】