新型インフルエンザの国内上陸への懸念が続く中、県内の電話窓口に6日までに海外渡航者らからの相談が500件以上寄せられ、県民には強い不安感が残る。県はゴールデンウイーク(GW)を海外の流行地域で過ごした人たちに対する追跡調査を始めており、依然、拡大阻止は予断を許さない情勢だ。【竹内良和】
県健康づくり支援課によると、窓口がある県や保健福祉事務所など12カ所には4月26日から6日午後9時までに計506件の相談が寄せられた。
海外渡航や豚肉の安全性についての相談が多く、メキシコ、アメリカ、カナダなどの流行地域に渡航歴がある5人が発熱といった症状を訴えたが、診断の結果、新型インフルエンザではないと判明した。
この他、宿泊施設で客にインフルエンザの疑いがあったら、いつ保健所に相談すればいいのか▽感染したことを知らずに他人に感染させたら裁判で訴えられるのか▽学校で豚の解剖をするが、生徒にどう説明したらいいか--と相談内容はさまざまだ。県は国内発生時にはさらに相談が急増する可能性が高いとみて、同課の電話を8台から28台に増設する方針だ。
依然として警戒態勢は続いている。県は4月28日に対策本部を設置。GW中は関係部署の職員が出勤して対応した。8日も本庁や出先機関と連絡会議を持ち対応を確認する。
薬の備蓄については県が抗インフルエンザ薬「タミフル」18万2000人分、国が42万5000人分を長野分として保有している。不織布製マスクや使い捨て防護服も、各保健福祉事務所に配備した。
県によると、東京都で続発した発熱患者らに対する診療「拒否」のケースは、県内では確認されていない。また流行地域からの帰国者に対し、追跡調査を実施。「特別視される恐れがある」(同課)と対象者の人数は明らかにしていないが、電話連絡を取るなどし、健康監視を継続している。
毎日新聞 2009年5月8日 地方版