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トーク21 |
4月19日 |
まじめに生きることの素晴らしさ |
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女優 名取裕子さん 仕事も家事も真剣に楽しく 東海道婦人部長 大曽根洋江さん 「心こそ大切」が人間の原点 今回の「トーク21」は、ドラマ、映画、舞台などで活躍する、女優・名取裕子さんの登場です。今月、23日(木)から始まるテレビ朝日系のドラマ「京都地検の女」第5シリーズに主演。“主婦の勘”を武器に事件の真相を暴いていく検事を演じて、同シリーズは、好評を博しています。ドラマを通して、現代における女性の役割、重要性などについて、東海道婦人部長の大曽根洋江さんと和やかに語り合っていただきました。 「女性の視点」に共感 大曽根 名取さんのドラマのファンで、「京都地検の女」は第1シリーズから拝見していました。いよいよ、第5シリーズが始まると伺いましたが、人気の秘密はどこにあるとお考えですか。 名取 何といっても“主婦の目線”で事件を解決する展開でしょうね。ドラマの刑事ものや法律ものは、アクションシーンが多かったりして、どうしても男性的。その中で、「それはおかしい」「なんだかうさんくさい」といった、“女性の視点”が共感を呼ぶのだと思います。 大曽根 現実はまだまだ男性社会ですから、鶴丸検事(役名)の活躍は、胸がすくような思いがします。 名取 ありがとうございます。それと、“夢”ですね。女性がきちっと仕事をしたり、家庭があっても言いたいことを言っていく。「おかしいんじゃないか」と声を上げられる、これもある種の“夢”ですよ。こんな人がいてくれたらいいなという“夢”です。 大曽根 バランスもいいですね。コミカルな面とシリアスな面とが、きちんと収まっていて。 名取 そうだとうれしいです。でもそれは長年、スタッフのみんなで話し合いながら、やってきたからですね。「こんな人がそばに住んでいたらおもしろいだろうな」と思いながら、泣いて笑って手に汗握り、皆さんに見ていただければと思います。 大曽根 生活感もよく出ていますね。 名取 はい(笑い)。いつも食べる料理は何にする? 鍋はどうする? と話し合っています。 大曽根 時々、何でそのタイミングで食べないのというような、ドラマを見ますもの。女性は分かるんですよね(笑い)。 名取 そうそう、だから、そういうところを細かくやりたいんです。 みんな「対話の達人」 名取 最近、世の中を見ていると、「おかしいんじゃない」っていう、理不尽なことがたくさんあるように思います。そういうことに対して、どこかで声を上げるとか、きちっと見極めるとか。そういう年代に入ったなと感じます。アメリカの大統領は年下ですものね(笑い)。 大曽根 縦型社会の男性と違い、女性の場合は横社会というか横に広がっていく傾向性がありますね。だから、「悪いことは悪い」と平気でものが言えるんです。池田名誉会長も、「女性の視点が大事」「女性の意見を尊重するように」といつも言われています。そういう意味においても、21世紀は「女性の世紀」と言われています。今の混沌とした世相の中で、女性の存在はますます重要になってくると思います。 名取 女性は力がありますから。主婦は人の顔色を見て、「そうね、そうね」って言いながら話を引き出していくことが、すごく上手でしょう。15分もあればその人の歴史が聞けてしまう。この人は何を悩んでいて、何を求めているのか、どう思っているのか。心の奥まで思いやることができます。 大曽根 だから、女性は連帯できる。国や人種を超えて、地域、社会の中で連帯していくことは大事ですね。 名取 その力はあると思いますよ。女性の力を侮ってはいけない(笑い)。 努力の積み重ねを 大曽根 お母さまを早くに亡くされ、母親代わりをされていたと伺いましたが、やっぱり、そういうご苦労が女優としての味わいある演技に、にじみ出ていると思います。 名取 そうでしょうか。例えば、リンゴをむいて、しゃべりながら食卓に出すだけのシーンでも、その人の気配りなどが分かります。若い女優さんで、“ぞうきんがけ”ができなかったり、リンゴをむけない人もいるんですよ。でも、「お料理教室で習ったので、かつらむきならできます」って(笑い)。 大曽根 リンゴむきの方が簡単なのに(笑い)。 名取 そうですよね。「女優は演技をするために学校に行かなくても、どこでも勉強できるんだよ。お客さまにお茶を出す時だって勉強なんだ」と、教えられました。私が先輩に言われたことを、そのまま若い女優さんにも伝えるんですけど。 大曽根 仏法に「陰徳あれば陽報あり」という言葉があるんです。陰の見えない努力が表に自然と現れるというような意味ですけど。まさに、名取さんの幅広い演技力は、陰で一生懸命コツコツと、まじめに積み上げてきた証しなんですね。 名取 私は意外と一つ一つ大事にやることが好きなんです。例えば、下町で買い物をしたり、料理を作ったり、家事でも仕事でも何でも楽しくやりたいんです。真剣にやるんですけれど、楽しみをどこでも見つけるんです。このごろは、「まあいいか、だいたいで」って、あんまり突き詰めないようにしてますが。 大曽根 たぶん、名取さんのそういう普段の姿勢が、女優としての“つや”になっているんだと思うんです。 お金で測れない価値 大曽根 ある記事で、名取さんは今回のドラマを通して「一生懸命まじめに生きることの素晴らしさを伝えたい」と、おっしゃっていましたが。 名取 やっぱり、まじめにきちんと生きてるっていうことが大事ですね。今の世の中は、正直者がばかをみるような時代。マネーゲームで何億円も簡単に右から左へと取引する人がいれば、人のために早起きして、かつお節を削り料理を作る。それを、配達して得る利益は100円か200円。同じお金でも、本当にその額面だけが価値ではないと思います。 大曽根 全くその通りです。 名取 そのために土地を守り、畑を守り、水を守りと、そうやって慈しみ大事にしている人たちのことを、きちっと国が守ってくれればなあって思います。そういう願いを込めて、このドラマ制作に取り組んでいます。 大曽根 まさに、それは「心の財」ですね。「蔵の財」とか、「身の財」よりも、「心の財」を第一に生きていくっていうことですよね。 名取 そうですね。こういう時代だからこそ、もう一度、物の価値とは何かを考えなければ、と思いますね。 大曽根 人としての原点に戻るというか、人の心を大切にすること。そういうことが今こそ、大事ですね。今後のご活躍を楽しみにしています。 名取 ありがとうございます。「京都地検の女」「法医学教室の事件ファイル」――この二つのドラマは、私のライフワークになっています。二つとも、一から作り上げてきた大好きな役柄なので、思い入れがすごくあるんです。ぜひ、ご期待ください。
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