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【第81回】 2009年05月08日

新型インフルエンザは終わらない!
今秋に第2波がやってくる「3つの理由」

■その1「ヒトから豚への感染が始まっている」

 米コロンビア大学などが解析したところによると、今回のA(H1N1)ウイルスは、鳥とヒト由来のウイルスを併せ持つ北米の豚ウイルスに、アジアと欧州の豚ウイルスが混合したものだった。もともと豚は、鳥やヒトのインフルエンザに感染しやすい動物。1998年頃に豚のあいだでインフルエンザが流行したとき、ヒトや鳥との混合型ウイルスが生まれ、それが今回の新型インフルエンザウイルスの発生につながったのでは、とされる。

 ところが、その豚が今度はヒトの新型インフルエンザに感染する現象が起こっている。5月2日、カナダのアルバータ州の養豚場で、200頭の新型インフルエンザ感染が確認された。メキシコから帰国した作業員から感染した可能性が高いとされる。豚からヒトへ、ヒトから豚へと感染が繰り返されれば、ウイルスが突然変異し、病原性が強まることも十分考えられる。

■その2「南半球で変異する可能性がある」

 高温多湿に弱いとされるインフルエンザウイルス。これから夏を迎える北半球では、流行はじょじょに終息に向かうという指摘がある。代わりに流行の舞台となりやすいのが気温の下がり始める南半球だ。すでにコロンビアで感染者が確認されており、冬に突入する6月以降はさらなる被害の拡大が懸念される。

 南半球でウイルスが変異を遂げれば、今年秋以降、威力を増して北半球に帰ってくるかもしれない。スペイン風邪のときも、多くの死者が出たのは第1波(1918年3~5月)ではなく、同年秋の第2波、1919年春に襲った第3波だった。

■その3「致死率が低まると、かえって感染者が増える」

 幸い、第2波のウイルスの毒性が弱くても、必ずしも安心はできない。なぜなら、「致死率の低下がもたらす危険」も大きいからだ。

 多くの専門家が恐れているのは、エジプトにおける鳥インフルエンザの変化である。4月18日、4歳のエジプト人男児が鳥インフルエンザに感染。同日に入院したものの、その後、タミフルを処方され、容体は安定化した。その1週間前の4月11日には25歳の女性が、15日には18か月の女児が感染している。いずれも死亡には至っていない。

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