ローカルニュース

外国人患者をサポート 医療通訳ボランティア制度

2009年05月08日

 鳥取県内に住む外国出身者の診察に付き添う、県国際交流財団(鳥取市湖山町西4丁目)の「医療通訳ボランティア派遣制度」の運用が今春から始まった。病気や出産などで医療機関を受診する際に、医師や看護師との円滑な意思疎通を手助けするのが狙い。しかし認知度不足から利用は進んでおらず、同財団は「まずは制度を知ってほしい」と呼び掛けている。

保健師による新生児訪問時の会話を通訳するロールプレイ

 県のまとめでは二〇〇八年十二月現在、県内の外国人登録者数は四千四百八十二人。

 滞在の長期化や定住化が進み、同財団にも外国出身者の相談が増えており、「言葉も十分に通じない中での受診は不安も大きい。生命にかかわる医療の現場での言語支援が早急に必要と感じた」と、同財団国際交流推進員の藏永薫さんは制度導入の狙いを説明する。

ニーズに対応

 医療機関へのアンケート調査でも「(中国語など)言葉が通じないので筆談で対応」「患者が求める適切な処置ができているか不安」などの声が上がり、医療通訳者の養成と派遣システムの構築が求められていた。

 医療通訳の派遣要請は外国人患者と医療機関の双方から受け付けており原則五日前までの申し込みが必要だが、急な発病などの緊急時は相談に応じる。

 外国語の中でも特にニーズの高い英語と中国語の対応が可能。在住外国人の現状や医療知識、日本の医療制度など医療通訳に必要な専門研修を受けた会社員や主婦、留学生ら二十六人(英語十七人、中国語九人)がボランティア通訳として登録し、東中西部にある財団事務所で依頼を受け付けている。

対象者に周知を

 財団では医師会を通じて医療機関に制度をPRする一方、在住外国人にも団体等を通じて三カ国語で作ったチラシを配布するが、認知度不足からか、四月末までの活動実績は九件。新型インフルエンザの世界的流行など健康不安を抱く在住外国人も想定されるが、相談もないという。

 「潜在的なニーズはあるはずだが、まだ知られていない。身近に対象者がいれば、こういう便利な制度があることをぜひ教えてあげてほしい」と藏永さん。

 在住外国人にとっては、日本の医療機関の待ち時間の長さや処方薬のもらい方などに戸惑うケースも多く、出産後の母子健診で通訳を依頼した女性からは「通訳のおかげで安心して受診できた」など感謝の声が寄せられたという。

 ボランティアは直接医療機関などの現場に赴くが、依頼者側の外国出身者や医療機関は通訳料も含めて費用負担は必要なく、秘密は守られる。

 問い合わせは電話0857(31)5951、県国際交流財団へ。



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