新型インフルエンザの危機感が高まる中、東京都などで発熱の症状で病院を訪れた人が診察を断られるケースが相次いでいるという。都が5日までに確認した都内での「診察拒否」の事例は92件に上った。医療の役割が問われる由々しい事態だ。
厚生労働省は国内で新型インフルエンザの感染者が確認されていない現段階の対応で(1)新型インフルまん延国への渡航歴(2)新型インフル患者との接触歴―がある場合に「発熱相談センター」への電話相談と適切な医療機関の受診を指導している。
都内の「診察拒否」の事例は、まん延国への渡航や患者との接触がなく、「空港に勤務」「外国人の友人がいる」というだけで診察を拒んでおり、病院側の“過剰反応”は明白だ。
連日、「新型インフル感染疑い」のニュースが飛び交い、病院側の警戒心が強まっている。しかし新型インフルの恐れが少ない発熱患者の診察を安易に拒むことは、別の発熱症疾患の診療遅れによる重篤化や、最悪の場合は「たらい回し」による患者死亡の事態を招きかねない。
国内感染者の発生以前の“過剰反応”を国は重く受け止めるべきだ。国内感染後は院内の2次感染を恐れ、さらに患者の診察拒否が広がりかねないからだ。
医療機関のパニックは、被害の甚大化を招く恐れがある。厚労省は、診療の明確な基準と冷静な対応を病院、関係機関に強く指導してほしい。
県福祉保健部によると、県内では7日現在、「診察拒否」の報告はない。国の指針通り、まん延国への渡航など新型インフルが疑わしい場合は、院内感染防止の対策を講じた「発熱外来」で対応し、恐れが少ない場合は一般病院で対応するフローチャートを県医師会を通して各病院に配布し、冷静な対応を指導している。
県内は6保健所に「発熱相談センター」、県立5病院に「発熱外来」を設置した。流行の事態には地域の保健センター60カ所の活用も視野に置く。新型インフルに効果が期待されるタミフルの備蓄も余念がない。
財政難と人手不足の県立病院にとって新型インフル対策の資金、人的負担は大きい。長期の対応となる可能性があり、万全の体制を維持するために、国は地方の支援を講じてもらいたい。
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