新型インフルエンザの感染が拡大しているメキシコ、米国、カナダから県内に帰国し、福井県の健康調査の対象となる人が大型連休の影響で急増。7日正午現在で計76人となった。空港の検疫所から県に情報が入るまでには2、3日かかるケースがあり、対象者は今後さらに大きく膨らむ見通し。各健康福祉センターの負担は大きく、「追跡には限界がある」との声も漏れている。
  県が1―6日に把握した健康調査の対象者は45人。4月28日から6日にかけて成田、関西、中部の3空港に到着し、各空港検疫所から情報が入った。7日には正午現在で新たに31人の情報が届いた。
 76人の滞在先は、米国60人、カナダ5人、メキシコ1人のほか、複数国に滞在した人が9人いて、1人は未確認という。福井健康福祉センター管内が47人と多く、丹南17人、坂井6人、奥越3人、若狭2人、二州1人となっている。
 各センターの職員は、帰国後10日間にわたり朝夕2回の検温結果を電話で確認。これまでに連絡が取れなかったり、発熱などの症状が出た人はいないという。
 ただ、検疫所での帰国者のリスト作成が遅れ、県に情報が入り始めたのは1日。7日にも3日の帰国分が入るような状況だ。健康増進課は「情報はさみだれで、対象者が今後どの程度増えるか予測できない」とする。
 対象者が最も多い福井健康福祉センターの担当者は「通常の業務に加え、休日返上で住民からの相談や帰国者の健康調査に当たり、職員は手いっぱい」と説明。感染が確認された韓国など調査の対象国が増えた場合、「十分な態勢が取れるか頭が痛い」と話す。
 県は7日、警戒本部の第5回会合を開き、同センターに県衛生環境研究センターの職員を派遣し、態勢を強化する方針を示した。引き続き健康調査の徹底や県民への適切な情報提供にも努める。
 一方で、6つの健康福祉センターに設置した発熱相談センターには、4月26日から7日夕方までに計202件の相談があった。1日には49件が集中し、2日以降は平均10数件。
 また、発生国から検疫が強化される前に帰国した人から「熱が出た」との相談が9件あり、感染症指定医療機関で簡易検査を実施。いずれもA型インフルエンザに感染していないことを確認した。
 県外では、発生国に渡航歴がない発熱患者の診察を医療機関が拒否する事例が問題となっているが、県は「県内では同様の相談はない」としている。