言葉は表現の仕方によって、伝わり方が違ってくる。「ぼったくりバーみたいだ」と言った橋下徹大阪府知事の言葉は、その成功例だろう。
「飲みに行ってこんな請求書が出てきたら大騒ぎになる」と補足した。道路や河川などの国が行う直轄公共事業で、地方が国に支払う負担金について例えた。国は地方に費用の一部を請求するが、明細のない総額が示されるだけという実態だ。
地方は長年、中身も分からないまま大金を支払ってきた。その中には、国の出先機関の改修費といった支出すべきか疑問のある項目も含まれていた。血税の使われ方だけに、見過ごせない。
橋下氏は負担金制度を、国が地方を縛る「奴隷制度」、国に言われるままに負担金を支払ってきた自治体職員を「催眠術にかかっている」とも表現した。負担金問題はもともと、行政同士の、とっつきにくい話だ。橋下氏の言葉には、ずさんな実態を分かりやすく知らせる効果があった。
知事らの反発に国土交通省は先日、負担金の内訳を各自治体に通知した。石原慎太郎東京都知事は「実にいいかげん。こんなもんで右から左に言われる金を出すばかは、めったにいない」と内容の不十分さを批判した。
地方と国のせめぎ合いは続く。知事らの分かりやすい言葉が、改革の原動力になる。