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「チャイナマネー」猛攻 「長安汽車」がボルボ買収へ法的準備?

5月5日23時24分配信 産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国紙、広州日報(電子版)は5日までに、重慶市に本社を置く中国乗用車大手の長安汽車集団が、スウェーデンのボルボ買収に向けて法的な準備に着手したと報じた。ボルボを傘下にもつ米フォード・モーターから株式譲渡を受ける見通し。買収額は12億ドル(約1200億円)を上回るという。同社以外にも、海外の自動車関連メーカー買収に乗り出した中国企業が相次いでいる。金融危機で打撃を受けた世界の自動車業界は“チャイナマネー”の猛攻に振り回されているようだ。

 同紙によると、中国4大メーカーの一角を占める長安汽車は、法律事務所を通じ、ボルボ買収のための支払い方法や債務処理、従業員の雇用継続など法的な観点から最終的な準備に入った。長安汽車はスズキと提携しているほかフォードとも合弁会社を持つ。経営状況が悪化しているフォードから、ボルボ株の譲渡を受ける方向で最終調整に入っているもようだ。株式譲渡に伴う費用は12億ドルから18億ドルと見積もられている。

 実現すれば、2004年に上海汽車が英MGローバーを10億ポンド(約1480億円)で買収して以来の、中国企業による海外自動車メーカー買収劇となる。ボルボ買収をめぐっては、浙江省に本社を置く吉利汽車も関心を示しているとの情報もある。

 経営が悪化した海外メーカーへのM&A(企業の合併・買収)では、吉利汽車が3月にオーストラリアの自動変速機メーカー、ドライブトレイン・システムズの買収を決めている。買収額は明らかにされていないが、同社はフォードなどに年間18万台の製品を供給していたという。また、北京に本社を置く京西重工も同月、米自動車部品大手デルファイからブレーキとサスペンション事業の譲渡で合意した。

 中国の新車販売台数はペースが鈍化したとはいえ昨年は938万台と前年比6・7%増加した。中国政府による小型車減税効果などで、今年1〜3月は米国市場を上回る規模となり、今年は通年で1000万台を初めて突破し、年間でも米国を抜いて世界一になるとの見方が強まっている。

 そうした底堅い国内市場をバックに中国メーカーは資金力を高めている。金融危機で体力を失いつつある海外メーカーの技術力や販売網、ブランドなどを狙ったM&A戦略が今後も続きそうだ。

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最終更新:5月5日23時52分

産経新聞

 

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