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「トルコ建国の父」救え 銅像の寄贈先破綻…「友好危機」ネットで署名活動

5月6日2時7分配信 産経新聞

 屈指の親日国、トルコ共和国の親日感情が悪化しているのを憂慮し、インターネット上でつながった有志が立ち上がった。トルコから新潟県柏崎市のテーマパークに寄贈された建国の父、ムスタファ・ケマル・アタチュルク初代大統領(1881〜1938年)の銅像の行き先がテーマパーク破綻(はたん)をきっかけに決まらない問題が影響しているとみられ、ネット上で署名活動を始めたのだ。有志らは「1人1人が声に出して行動することで、解決に向けて前進する」と協力を訴えている。

 署名活動を始めた「ムスタファ・ケマル像を移転する会」の代表は、愛知県大口町の会社員、江口保さん(20)。ネット上で知り合った有志8人が中心となって運営している。

 江口さんは英BBC放送の調査で、世界有数の親日国トルコの対日感情が年々悪化し、今年は「肯定的30%、否定的47%」と大きく逆転しているのを知った。その原因を調べるうちに、アタチュルク像問題に突き当たった。

 アタチュルク像は平成8年、柏崎市にテーマパーク「トルコ文化村」が開園したのを祝い、トルコが寄贈した。2度の閉園で再建を断念した市は18年、トルコとの友好関係に配慮するとの条件を付け、上越市のプラスチック製品製造業「ウェステックエナジー」に像も含めて売却。ウ社は19年6月、施設を改装して結婚式場を始めたが、1カ月半後に中越沖地震が発生。倒壊の恐れがあったとして像は台座から外され、当初は屋外に横倒しにされた(批判を浴びたため、現在は屋内で保管)。「建国の父」に対して非礼だとして、トルコ紙でも報道された。

 さらにウ社と柏崎市、敷地内の民有地地権者の3者の間で訴訟合戦が勃発(ぼつぱつ)。訴訟と切り離して像の譲渡を求める市に対し、ウ社はその条件として市の謝罪を要求。会田洋市長は「市が引き取ってしかるべき場所に移設したいが、市の落ち度を認めると裁判で不利になる」と対応に苦慮している。

 柏崎市などに電話して問題の背景を知った江口さんらは「自分たちにできることから始めよう」とネット上に経緯をまとめたサイトを立ち上げ、4月11日からは署名活動に乗り出した。

 像の移転先に挙がっているのが和歌山県串本町だ。明治23年、遭難した軍艦エルトゥールル号の乗組員を住民総出で救助したのが縁で、串本町はトルコと100年以上にわたり交流を続けている。来年は遭難から120周年を迎え、「トルコにおける日本年」も開かれる。昨年3月にはトルコ大使館が「像の移設費用は負担するので、土地を提供してほしい」と町に要請し、町議会は全会一致で賛成したが、「裁判の結果が出ないことには動けない」(町総務課)のが現状だ。

 事態打開に向け、江口さんらは訴える。「事は両国の外交、友好にまで及んでおり、まず銅像を訴訟から切り離してほしい。一致団結してトルコとの友好を取り戻そう」と。

 会は目標の署名を集めて会田市長とウ社、外務省に提出する予定。署名目標数は1万人で、5日現在で2200人を超えた。署名サイトのアドレスはhttp://www.shomei.tv/project−932.html(永岡栄治)

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最終更新:5月6日2時7分

産経新聞

 

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