『アルプス交響曲』ルイージ指揮ドレスデン国立歌劇場5月1日
すっかりGWになりました。空港を歩いていると、普段にお客が持っているものと比較すると数段大きいものが散見します。
「田舎から都会」より「都会から田舎」への移動が断然多いです。 それとなくお客の態度を見ているのですが、大概田舎に戻る都会に嫁いでいった女性は、多くの場合『都会人面』して帰って行きます。
僕自身関西出身なんですけど、関西人は東京に行くと『関西人』であることをことさら主張し『反発』という行為を行います。一方でそれ以外(一部の九州人は除く)の人々は東京に媚びへつらい『同化』しようとします。
僕も信条でいうと、言葉はきちんと共通語を使用しますが絶対に「関西人」であることを剥ぎ取ろうとしていないことに気づいています。今も関西人のアクをしっかり体中に兼ね備えています。
いろんな場面で地方出身者を見てきましたが、東京では田舎のアクを隠し、また上記したとおり『同化』に腐心して卑屈さすら示す人間がこれなんですよね。こういう人たちが東京礼賛を地方に吹聴するんですよ。嫌な感じです。生粋の東京っ子と異なった卑屈行動に違和感があります。
この時期、あるいは夏休みの大移動を横目で見ていると非常に気分が悪くなることが多いです。
それと東京から地方空港に降りると頭の悪そうなおばはんたちが(小馬鹿にしながら)「わあ、ここ田舎ねえ」と偉そうにのたまわっています。いつも『お前らアホか』と心の中で叫んでいます。
近年の空港は、アクセスと騒音問題(夜間飛行の可能性)を考え、都市近郊ではなく「郊外」に空港を構えているから田舎なのに、「羽田空港」だけを基準に考える少々頭の不自由な方がたくさんいて困ります。例えば中国地方の主要空港は全て郊外にあります。岡山空港、広島空港、鳥取空港、米子空港、出雲空港、宇部空港と、どれも海(湖)だったり山の中だったりします。 それは、最近出来た関西国際空港、中部国際空港、神戸空港も同じなんですけどねえ。
5月の声を聞き、僕の「リヒャルト・ツアー」は続きます。
先般の大阪の公演は本当に感激しました。英グラモフォンでオーケストラの順位付けがされていましたが、これがどれぐらい無意味なことかをまざまざと感じさせてくれています。 5月1日は永田町から南北線に乗り六本木一丁目で降り、18時30分にはサントリーホールに到着しました。すっかり日が伸びました。この時間カラヤン広場はキラキラしていました。この日も暖かくとても過しやすい感じです。 ツカツカという音がして振り返ると大阪の公演でも一緒だった某女史がいました。この連休をずっと東京で過ごす予定にしているらしく大きめのルイヴィトンでの登場です。
期待を持ちながらこの日もコンサートに臨みました。
5月1日(金)19時サントリーホール
Rシュトラウス/ 交響詩『ツァラトストラはかく語りき』 Rシュトラウス/ アルプス交響曲 指揮:ファビオ・ルイージ 演奏:ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
1曲目は『ツァラツストラはかく語りき』です。先々週エッティンガーの指揮で聴いたばかりの曲です。前回の演奏会が僕にとっては不発だったので、今回は期待しました。
さて、19時になると楽団員が出てきました。サントリーホールも客入りは7割といったところです。さらに明らかにドイツ大使館あたりからの動員といった人々も含まれていました。来日中のウィーン少年合唱団の面々まで来ていました。川崎、東京で4公演あるにしてもやはり少なめの感じは否めません。 「ドレスデン・ブランド」の日本での評価はこの程度なのでしょうかね・・・
この曲はカラヤンの名盤があり、その亡霊を追うリスナーが数多くいます。その中の一人は僕です。この曲をカラヤンで聴いてしまうと、単に演奏のスケールだけでなく室内楽の粘りと厚味そして何よりもその精緻さに圧倒されてしまいます。
もちろんショルティ盤やメータ盤も優れていますが、カラヤンの世界は次元が異なるのではないでしょうか。 さて、主役のルイージですが、今までのリヒャルト演奏同様男性的仕上げていました。冒頭のテーマも無理矢理巨大化せず非常にバランスを取っていました。全体も中庸なテンポを設定し丁寧に音楽を歌わせていました。この日オルガンを感じるため1曲目はP席で聴いていました。いつも指揮を背にしかマエストロの演奏を聴いたことがなかったのですが、マエストロの表情は思った以上に豊かでした。
イタリアの指揮者としては非常に哲学的な音楽構成をしているので故シノーポリと同じようなイメージでいましたが、大きく異なっていました。非常に活発に音楽表現を展開していました。相変わらず木管群とホルンは好調で、特にホルンのうまさは特質されます。後ろから手の使いをを見ていましたが多彩に音出しをします。このオーケストラは本当に優れていますね。欠点が見当たりません。
この日も硬質で内に秘めた音楽を展開しました。「米国オケの開放された音作り」ではなく、くすみのある渋い音を展開していました。
この曲は最も大事な『舞踏の歌』からですが、コンマスの非常に透明感のある、「か細い音」で展開されます。期待の音です。先回の東京フィル定期では残念ながら「か細い透明感のある音」が出されていませんでした。今回はきちんと音が出されさらに室内楽的展開になっていた。
ここでも「硬質な音」で演奏が続きます。 カラヤン=ベルリンフィルの艶のある室内楽的な音とは一線を画し、まろみを廃した音楽作りでした。どちらが良い悪いではなく、新たなベクトルの音を聴きました。ドレスデンバージョンの『ツァラ』と言ったところでしょうか。これも非常に満足です。新しいリヒャルトを聴かせてもらったような気がします。感心しました。
下の写真が『ツァラトストラはかく語りき』の演奏後です。オーケストラのなんとも自信に満ちた姿も好印象でした。ルイージはコンマスとクラリネットのトップをすぐさま立たせていました。両者とも本当に素晴らしかったです。
休憩後はいよいよ真打ちの『アルプス交響曲』です。これもカラヤンの超名演がありますが、このカラヤン盤でもミスがあるという超難関の曲です。
個人的には90年代に小澤征爾さんがウィーンフィルと来日演奏するのを東京から岡山まで聴きに行きましたがウィーンの金管が泣き叫ぶ(ミスなしで演奏しました)という記録的名演奏でした。今のウィーンフィルでは無理ですけどね。
1階の前の方に場所を変えて聴きました。大阪公演の記事でも書きましたが、このオーケストラは全くブレがありません。ずっと渋い音を出します。木管、金管だけでなく弦の音のそろいもすごいです。
非常に機能の高いオーケストラだというのがこの曲でさらにわかりました。
第1vnは6列ありましたが、最終列まで目一杯の音を出していました。さらに常にボウイングがきちんとそろっていて、近くから音を聴いていましたが音がピタリと合っています。ドレスデンの厚味はこの弦の厚味があるからこそ存在するというのがよくわかりました。ドイツ人らしい正確さがよく出ています。通常のオケは前列が大きな音出しをしますが、後列は目一杯弓をひきません。しかしながらドレスデンのオーケストラはきちんと同じ強さで弦を出しており、それが硬質な美しい音を出す原動力となっていたのがよくわかりました。
オケの右にあるビオラ群もどうようだったのでしょうね。さらにアルプス交響曲ではコントラバスが12名も配置されていてかなりゴリゴリした音を出していました。
日本のオーケストラの場合、この音楽をやるときは『まず、金管がミスなしに演奏できるかどうか』ということが問題になり、音楽の中身の議論にはなりません。近いところでもワールトがNHKsoを振ったのと5月29〜30日には沼尻さんが日本フィルで演奏することになっています。そのレベルを軽々とこなし、音楽の全体をつまびらかにしたこの夜の演奏はもう感激の一言です。唯一文句をつけるとしたら、これは個人的なものですが、『頂上にて』でもっとトランペットに爆音を鳴らさせ、泣かしてもらいたかったことです。これはカラヤンのライブ(CD盤でなく)や小澤さんのライブでも凄まじい音が鳴っていました。特に小澤さんが演奏していたとき、前にいる木管が耳をふさいでいたぐらいです。
「ウィーンの泣き姿」に心臓がバクバクしたのを今でも覚えています。今回のドレスデンにも期待していましたが肩すかしにあいました。
しかし、『霧がわいている』以降のたたみかけは口を挟む余地がまるでないくらいの歴史的名演です。 音楽がこれほど雄弁で気品に満ち、また美しいというのを再認識しました。これほどの感動を与えてくれた彼らに心から感謝しました。
これに『メタモルフォーゼン』と『四つの最後の歌』があればもう完璧だったかもしれません。
しかし、この短期間にこれほど素晴らしいリヒャルトシュトラウスを目一杯聴けたことは僕の人生でも有意義なことです。この記憶は絶対に忘れません。
演奏後です。オーケストラの楽員が舞台から去った後、再度登場したルイージです。観客の入りには恵まれませんでしたが、彼らの演奏を聴いた大部分のお客がルイージの虜になったことでしょう。今回の来日公演は、一昨年のオペラ演奏よりずっとマエストロの姿を露出した重要な公演だったように思います。多くの心あるファンが彼に大きな賛辞を与えたとともに、彼を評価したことでしょうね。ドレスデンのシェフ1年目の彼の演奏に出会えたことはファンにとっては何にも変えがたいものでしょうね。
この指揮者の素晴らしさは知っている人は知っていても、知らない人には 「LUISI WHO?」でしかなかったでしょうからね。 さらに言えば、今回のコンサートも彼を評価している人は僕(たち)のように重複して来ていたでしょうから、実際に新たに彼を評価した人は少なかったかもしれません。 幸か不幸か、逆説的に言えば、そのおかげで次回の来日時もチケットが取りやすいかも知れません。安いチケットが次回も取れることは真のファンにとってはいいことです。ただ、彼らが来日してくれればという条件はあります。
ただ、ドレスデンの音は是が非でもまた聴きたいです。米国のオーケストラはいくらうまいといってもこのドレスデンの音は出せません。次回はブルックナーやシューベルトあたりを聴きたいです。但しこの演目ならさらにお客が入らないかもしれませんね・・・
今回もファビオに会いに行きました。大阪ではCD購入がなくてもサインがもらえましたが、東京は一応CD購入をすることとなっていました。
『英雄の生涯』と『メタモルフォーゼン』が収録されたCDを購入しました。この『メタモルフォーゼン』すごいです。一切の妥協のない音です。カラヤンの透明感のあるものが愛聴盤でしたが、鋭角的な演奏にまた背筋がゾクゾクしました。 ルイージはリヒャルトの管弦楽曲を全曲録音するようです。ケンペ以来の偉業になりますが、前回もオーケストラはドレスデン・シュターツカペレでしたね。 |
コメント(4)
ずっと気になってるんですが、場内は撮影禁止でしょう?
演奏中は特に。
そういうの、全然お考えにならないんですか?
2009/5/7(木) 午後 0:53 [ ada*hiy*200* ]
おお、演奏中の画像は削除ですか。
でも、場内の撮影は一切禁止されてるはずですよね?
そういうマナーはどうお考えですか?
2009/5/8(金) 午前 0:23 [ ada*hiy*200* ]
お金払ったら何をしてもいいとおもってるんですかねえ。どれだけのファンぶりをアピールしようがやっていることはとても口に出せないことですね。恥ずかしくないのですか?まだいくつか写真が残っているところをみると、特に後ろめたくはないのでしょうね
2009/5/8(金) 午前 0:35 [ treckyvn ]
> 1曲目はP席で聴いていました。
> 1階の前の方に場所を変えて聴きました。
つまり、勝手に座席を移動したわけですね。
P席券で入場して空席を探し、そこへ移ったと。
恥を知りなさい。
2009/5/8(金) 午前 2:08 [ cre**napk*n ]