リコールに伴う銚子市長選(10日告示、17日投開票)を前に立候補予定者による公開討論会が1日、千葉県銚子市の銚子市青少年文化会館大ホールで開催された。1,200名を超える観客で満員となった会場は、立候補を表明している6名のパネリストが語る政策を熱心に聞いていた。公開討論会の映像は、こちら>>
討論会は、立候補予定者が所信表明した後、リコールのきっかけとなった市立総合病院をめぐる政策課題に多くの時間が投じられた。休止された市立総合病院について今後どのように対応していくか、それぞれの立場を明らかにした。
経営の方法は違うが、6氏とも市立病院を再建する立場をとっている。公設民営の立場を取るのは、岡野、野平、高瀬の3氏、公設公営を主張するのは、石上、茂木の両氏だ。そして松井氏は独立行政法人による病院の再開を目指す。
▼岡野氏 公設民営で再開を目指す。
病院にお金をつぎ込み続けると、市の財政が破たんするから休止という状況になった。全国的に医師が不足している中で、市立病院の早期再開は医療法人が病院を経営する公設民営による手法しかない。市から病院への補助も公設公営では15億円くらいかかっているが、公設民営だと病床数を150床で、二次救急を行った場合でも委託料は年間1億円だ。市の負担は軽減される。
▼野平氏 公設民営を軸にして検討する。
市長の頃から市立病院は経営が難しいという感じがあった。病院側には医療の責任と経営の責任を同じ医師に期待するのは難しいと思う。医師には診療に専念してもらい、経営のプロを別途呼んでくる。その2つの責任を全体として監視する仕組みをつくる。医療と経営を分けるというイメージで公設民営を考えている。
▼石上氏 小規模でもまずは公設公営で再開を目指し、順次拡大していく。
市民の皆さんが望むことは、小人数であっても早急に再開してほしいということだ。病院の再建については、市が意思を示せば医師が集まってくれると確信している。小人数でも市が意思を示して病院を再開させたいと考えている。
▼茂木氏 公設公営で再開を目指す。民間だと損得勘定が出てきて、儲からないことはしないというのがはっきりしている。採算の合わないところにも民間病院であれば何らかの補償が要求される。銚子の市立病院は経営改善が不十分な中での病院休止で、経営改善を進める余地はあった。だから公設公営でも十分に対応が可能だと信じている。20,000人の市民の方が病院を銚子に再開してほしいということを全国に発信すれば、必ず医師は集まると思う。
▼高瀬氏 公設民営を基本に考えている。
リコールという市民の健全な判断には驚かされた。病院を休止した時点で11名の医師が形態が変わっても残って医療を続けたいと申し出ていた。休止の原因は、職員の給与が収入の7,8割にも上っていた、労働組合が減給に応じなかったことと、そして市議会が黙認したことだ。まずは旭中央病院のサテライト化ででも再開するのがいいのではないか。
▼松井氏 独立行政法人で再開を目指す。
私立病院で公的な役割を果たそうとすると不採算部門が出てきて難しいことになり、公立病院だと経営努力しなくても、いざというときには誰かが救ってくれるという甘えの構造で現場の士気がいまいち上がらない。そこで、議会に細かいことを図らなくても病院に設置する理事会で経営方針を決められる独立行政法人という方式で病院を再開したい。そうすると医療や病院に使うべき税金だけはいただけるが、それ以外のお金はもらえない。ある程度の厳しさを持った病院経営ができる。
今回の公開討論会を主催した銚子青年会議所理事長の高橋宏明氏は、「立候補予定者の全員に来ていただいて、それぞれがどういうことを考えているか市民の皆様に大方でもわかってもらえたのではないか」と感想を述べてくれた。また選挙で選ばれた新市長のマニフェストの評価について「JCでは市長例会という会合が毎年あり、そのときに市長に来ていただいて政策を確認していきたい」と、今後も銚子のまちづくりのために市民運動を展開していく考えを語った。
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