【社説】韓国の政府系企業で起きていること
韓国ガス公社の団体協約には「公社は(労組)専従者の争議行為を受け、民事・刑事上の不利益な措置を取ることはできない」という条項がある。労組専従者が違法なストライキを行っても、公社側はそれに対する責任を問えないことになる。道路公社や鉄道施設公団などは、労組専従者の任期が切れ、従来の職場に復帰した後、人事考課を受ける際には最高評価を付ける優遇規定を設けている。韓国空港公社は労組が「組合の地位を傷つけた」という理由で非組合員に対する懲戒を要求してきた場合、それを懲戒委員会の審議に付すことを定めている。空港公社では労組員以外でも労組に批判的な発言さえすれば、懲戒を受けることがあり得ることになる。
公共機関の経営情報公示システム「アルリオ」に掲載されている団体協約を見ると、民間企業では想像もできない内容だらけだ。大半の公共機関は労組員の採用、異動、評価、昇進などについて、労組との事前協議または合意を義務付ける条項を設けている。労組が事実上、人事権、経営権を掌握し、主人のように振舞っていることになる。
大韓住宅公社、韓国空港公社などではリストラ、合併、分割、組織再編などに際し、労組の事前同意が必要だ。最重要の経営案件に労組が決裁権を持っているに等しい。土地公社、道路公社、造幣公社などでは特定職級以上の採用を行う際に労組との合意が求められる。預金保険公社、資産管理公社、国民健康保険公団は放送通信大の講義出席など個人的な学習行為に対し、特別休暇を付与している。韓国消費者院は1週間に2日、8時間を限度に勤務時間内に大学や大学院に通うことを認めている。
政府系企業の労使関係で目立つ一連の放漫経営は数え切れない。天下りで就任したトップが「任期を無事に終えよう」と労組と談合した結果だ。さらに公共機関における労組組織率は65.8%で、民間製造業の6倍に達する。李永熙(イ・ヨンヒ)労働部長官は先ごろ、「政府系企業の労組活動は70%近くが強固なものだ」と述べた。労組組織率が高く、強い力を持っている上、闘争的な性格のため、今になって不適切な団体協約を改めることも難しい。
それゆえ政府系企業トップの人事は重要だ。労組に弱点をつかまれ、振り回されえることなく、堂々と改革を断行できる人物を選べるかに改革の成否、政府系企業の存亡がかかっている。
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