【社説】収益半減しても賃金を引き上げる政府系企業
世界的な景気後退にウォン安や資源価格の上昇などが重なり、現在297社ある政府系企業の昨年の純利益は7兆5000億ウォン(現在のレートで約5780億円、以下同じ)に落ち込んだ。これは一昨年に比べると57%ものマイナスだ。一方、負債総額は44兆ウォン(約3兆4000億円)以上増え、総額で320兆ウォン(約25兆円)を突破した。経営環境が激変した影響で、予想通り収益が大きく悪化しているのだ。
ところが社員一人当たりの昨年の平均賃金を見ると、一昨年に比べて3%増の5533万ウォン(約426万円)だった。これは、製造業の平均賃金3238万ウォン(約250万円)を70%も上回る数値だ。産業銀行、韓国預託決済院、中小企業銀行、産銀キャピタルなど14の金融機関は、平均賃金が8000万ウォン(約620万円)を上回った。純益が半分に落ち込み借金は膨れ上がっているのに、社長から末端の社員まで、受け取るべきものは真っ先に受け取ったということだ。
また土地公社、大韓住宅保証など67の機関では、社員を対象にした住宅購入費の融資額が1692億ウォン(約130億円)を記録した。2007年には1185億ウォン(約91億円)だったことから、昨年はそれが43%も増えたことになる。162の機関で行われている教育資金の融資も、総額で1305億ウォン(約101億円)と10%増えた。昨年の平均賃金上昇率は3%で、07年の5%をやや下回ったが、その分福利厚生を手厚くした。政府系企業が内部でこのように大盤振る舞いを行っていた昨年後半、韓国経済全体が完全に凍り付き、民間企業の社員たちはリストラの鋭いやいばが自分の首に当てられるかのような感覚で毎日を過ごしていたのだ。
今年初めて公開された政府系企業の労働組合への加入状況を見ると、このような放漫経営の原因がどこにあるのかすぐに分かる。26万1961人いる社員の中で、17万2282人が組合に加入しており、率にすると65.8%に達する。民間製造業の10.8%に比べると、組織率は6倍だ。
このように労働組合の組織率が高く、またその影響力も強い上に、経営者たちは任期を全うすることしか頭にない「お客さん」にすぎず、労働組合は政府系企業の事実上の主人のように振る舞ってきた。政治的配慮による天下りが定着すれば、それだけ社内での力の不均衡が大きくなり、経営権を行使することが難しくなる。それどころか、組合のご機嫌取りの方が経営者にとってもっと重要な仕事になるだろう。組合の影響力が大きくなると、社員の誰もがその保護の下で楽をして働きたいと思うようになり、加入希望者もそれだけ増えることになる。歴代政権はいずれも就任当初は政府系企業の改革を叫んでいたが、結果的にいずれも失敗したのはそのためだ。
李明博(イ・ミョンバク)政権も例外ではない。これまで6回も政府系企業先進化計画を発表し、大統領は経営者たちに対して「組織を自ら改革する自信がなければ身を引きなさい」と追い詰めた。それでも「神が与えた職場」といわれるこれらの企業には、今も何の変化も見られない。
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