きょうのコラム「時鐘」 2009年5月6日

 10日に始まる大相撲夏場所の番付は、相変わらず外国人力士がめじろ押し。日本人の有望株が足踏みする物足りなさが続く

モンゴル人横綱が東西に座る大相撲に限らず、私たちは番付が好きである。長者番付、名所番付、土産物店には方言番付がある。どれも東西に分かれ、横綱も前頭筆頭も2人が並び立つ

東西対抗という相撲興行の名残だというが、ゴルフもサッカーもランク付けは1位から1つ刻みである。同じ地位に「両雄」を並べて競い合わせれば、雌雄対決が盛り上がる。下位の力士が上位を倒す「番狂わせ」も熱を帯びる。番付の妙であろう

永田町の政権取り場所も、1人横綱から両雄が並び立つ情勢になった。が、仕切り直しが延々と続き、解散・総選挙の大一番がなかなか実現しない。今度こそ、とささやかれていた「5月解散」も困難と報じられている

名横綱の双葉山は「後(ご)の先(せん)」と呼ばれる相撲を取った。相手より一呼吸遅れて立ち、やがて先手を取る。堂々と受けて立つ横綱相撲の典型とされる。互いに敵失に乗じようとスキを狙う永田町の「両雄」とは、随分と貫禄が違う。