2009年05月07日
田中 早苗 | 弁護士 | 経歴はこちら>> |
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<博愛精神を持つことが流行りはじめている>ことは、オバマ大統領の就任演説にもみてとれる。
「今回の(経済)危機は、市場は注意深く見ていないと、制御不能になるおそれがあることを、私たちに思い起こさせた。また、富者を引き立てるだけでは、国は長く繁栄できない、ということも」「我々はもはや国境の外での悲劇に無関心でいることは許されないし、また影響を考えずに世界の資源浪費することも許されない」「今、我々に求められているのは、新たな責任の時代である。嫌々ではなく、むしろ喜んでつかみ取るべき義務なのだ」(1月21日付け朝日)。
アメリカは、こういった価値観をもつ大統領を選んだのだ。
○古くて新しい「博愛」に浸る…
ASEAN+3財務相会合で、外貨不足に陥った域内国に外貨を融通する枠組みについて資金枠の総額を拡大し、多国間取り決めに移行させることで合意したという(4日付け日経)。これも合理的な博愛といえなくもないだろう。
読売新聞社の主要100社景気アンケートで、景気の現状を「悪化」と答えた企業は昨年11月調査の99社から76社に減り、景気回復の期待が広がっているとしている(4月30日付け読売)。
4月30日発表の日銀レポートも、年度内には回復基調に向かうという景気シナリオは維持し、バーナンキ米連邦準備理事会議長も5日「今年遅くに(景気が)上向くと期待し続けている」と証言した(6日付け日経)。
ゴールデンウィーク中、こういったニュースに出会って少しほっとした。もう二度と“強欲な”市場に戻ってほしくない。そして、「博愛」という古くて新しい言葉に浸ったGWだった。
→あす(8日)の新聞案内人は、元読売新聞編集局長の島脩さんです。