【第76回】 2009年05月07日
麻生首相が存命をはかる「都議選ダブル総選挙」の真実味
政治記事を書いていると、予想外の反応に接することがある。
渾身のリポートだと自信をもって世に送り出したものがまったくの無反応であったり、逆に、取材不足でやや消化不良気味だと思われたものに大きな反響があったりと、概して筆者の予想は当たらないものである。
現在発売中の『週刊文春』ゴールデンウィーク合併号に寄せた拙稿こそまさしくそうした記事のひとつである。
〈7・12 都議選とのダブル選挙〉という見出しの記事は、発売前日から、与野党問わず、多くの政界関係者からの反応が寄せられた。
これまでにも、発売当日に様々な声が寄せられることはあった。ところが、今回のように発売する前から反響があったのは初めてだった。さらに異例だったのは、とにかく与野党問わず衆議院議員からの反応が多かったことだ。
国会議員からの直接的という点では、昨年秋の「麻生首相 解散せず」以来の反響であった。
ダイヤモンド・オンラインの読者ならばすでにご存知だろう。これまでも筆者は、麻生首相が解散を決意するには、次の3つの前提条件が揃うことが必要だと繰り返し述べてきた。
1 景気対策(第一次、第二次補正、本予算、追加補正)
2 給油法案の継続(国際貢献)
3 小沢代表との直接対決(党首討論)
5月半ば、追加の補正予算案は衆議院を通過し成立する見込みだ。それによって、麻生首相が就任直後の所信表明演説で公言した3つの条件がすべて達成されることになる。となれば、ついに解散総選挙に踏み切る準備が整ったと見る方が自然だ。
麻生側近のひとりは筆者の記事を読んだ後、こう電話をしてきた。
「現時点で記事は正しいと思う。まさしく麻生が一番やりたいのはダブル(選挙)だ。だが、そのためには大きな障害がひとつだけ残っている。それは、最後の最後に麻生が解散を決断できないという点だ。土壇場になって麻生がひよってしまう可能性が強いと思う。そうなると、任期満了だよ」
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上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」「小泉の勝利 メディアの敗北」など著書多数。最新刊は「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」(ダイヤモンド社)。
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