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【格闘技】

中西学がIWGPヘビー初戴冠 後楽園ホールのファン熱狂

2009年5月7日 紙面から

第51代IWGPヘビー級王者になった中西学=後楽園ホールで

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 “野人”がついにIWGPを巻いた−。挑戦者中西学(42)は王者棚橋弘至(32)の左ひざ攻撃に苦しんだが、最後はこん身のジャーマンスープレックスホールドで第51代IWGPヘビー級王者に輝いた。42歳3カ月の初戴冠は、天龍源一郎の49歳10カ月、アントニオ猪木の44歳3カ月に次ぐ史上3番目の記録。98年12月の初挑戦から10年5カ月での悲願達成は史上最長だ。新日本の歴史に残る戴冠劇に会場は熱狂、「中西コール」で大器晩成の新王者を祝福した。

 信じられない…。中西が3カウントを奪うと、後楽園ホールを埋め尽くした2005人は狂喜乱舞。セコンドの永田裕志が跳びはね、テレビ解説の山本小鉄さんは涙を流した。リング上でのインタビューは、ファンからの大「中西コール」で2度中断。6度目の挑戦でようやくベルトを巻いた新王者は「今まで見捨てずにありがとうございました」と、涙まじりに頭を下げた。

 人気もある。実力もある。だがベルトには縁がなかった。デビューから16年6カ月。永田、天山、小島がIWGPのベルトを巻き、同世代ではただ一人取り残された。気が付けば40歳を過ぎ、リング上の主役は新世代に移っていた。「このまま終わるのか…」。普段はバラエティー番組に出演するなど天然ボケのキャラだが、人知れず悩み続けた。「前向きになっては腐って、の繰り返し。口ではかっこいいこと言っても、一人になるとネガティブになってしまう。体を鍛えて余計なことを考えないようにしていた」。そして「どうしようもない人間で、プロレスをやっていなかったら何をやっていたか…。でも、バカな男なりに目指すものがあったんです」と続けた。

 控室に戻るとレスラー、スタッフから再びヤンヤの喝采(かっさい)。ベルトを巻いた中西は、恥ずかしそうに頭をかいた。ファンからも仲間からも愛されている42歳の新王者が、新日本を引っ張っていく。 (森合正範)

 

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