第51代IWGPヘビー級チャンピオンに輝いた中西=後楽園ホール
「新日本」(6日、後楽園ホール)
悲願達成-。IWGPヘビー級選手権試合が行われ、至宝戴冠経験がないことが“新日本の七不思議”とされた中西学(42)が、王者・棚橋弘至(32)を撃破。左ヒザ攻めに苦しむも野人パワーで逆転。6度目の挑戦を実らせた。試合後は4度目の防衛に失敗した棚橋からリターンマッチを要求され、受ける構えを見せた。
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王者を強引に頭上にリフトした中西は、そのままロープに放り投げ、はね返ったところを原爆固めで3カウントを奪った。左ヒザを集中攻撃され苦しんだが、アルゼンチン式背骨折りから大☆中西ジャーマンでフィニッシュにつなげた。
セコンドの永田に祝福され、リング上で涙を浮かべた。「本当に中西学を今まで見捨てずにいただいてありがとうございました」。会場は大「中西コール」に包まれた。
「勝因は苦しんだことやと思います」。92年にエース候補として入団。99年にG1クライマックスを制覇するなどトップを走り続けたが、なぜか至宝には縁がなかった。結果を残せず「前向きにやって、腐っての繰り返し」だったが「練習して余計なこと考えない方がいい」と前を向き続けた。
京都・宇治のお茶農家に生まれた。少年時代、友達をプロレス技で投げ飛ばし敬遠された。1人で釣り遊びに没頭し、両親から将来を心配された。「プロレスをやってなかったら今ごろどうなっていたか分かりません」。
そんな不器用な男はファン、関係者に愛された。緊急決定したタイトル戦。王者をしのぐ大声援に後押しされた。試合後は棚橋のリターンマッチ要求を快諾し「(デビュー)20年、30年を目指します」と誓った。苦労人が大輪の花を咲かせた。