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二輪用ETC、設置「1年待ち」 メーカー1社のみ

2009年5月6日15時3分

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写真オートバイに取り付けられたETC車載器=神戸市灘区の販売店

 ETC車の「休日、一律千円」効果で大型連休中の高速道路は大渋滞となった。車載器購入費の助成もあり、ETCの普及が一気に進んだが、これは四輪の話。二輪の場合は、助成対象の半分くらいしか普及しておらず、取り付けが「1年待ち」も当たり前の状態になっている。メーカーが1社だけで生産が追いつかないことが原因のようだ。

 ETC車載器購入費の助成対象は四輪が115万台、二輪が5万台。4月28日時点で四輪が115万台に達して助成が終わったのに、二輪は同30日時点で2万6907台と半分しか進んでいない。

 オートバイは料金所通過の際、支払いのためグローブを外したり通行券をしまったりと煩わしさがあるため、自動車よりETCの恩恵は大きいと言われてきた。だが構造の複雑さなどから価格が2万円後半〜4万円半ば(取り付け費込み)と、1万円台の商品もある自動車に比べて割高で、取り付けに二の足を踏むライダーが多かった。

 「アイリサーチ」(東京)によるインターネット調査では、07年12月に高速道路料金をETCで支払ったのは2割。同時期の全国の主な高速道路でのETC利用率(二輪、四輪含む)は7割を超えており、二輪の普及の遅れが目立った。

 神戸市灘区の二輪販売店「灘カワサキ」でも、車載器の取り付けは月1〜2人程度だったという。ところが助成制度が始まり、一律千円が実施された3月に入ると20個の在庫はあっという間になくなった。いまは逆に74人の注文を抱えている。入荷は月5個ほどで、単純計算だと最後の人は15カ月近く待つ計算。「お客には『半分あきらめてください』と説明しています」

 遅れが解消されないのは、オートバイ用の車載器メーカーが日本無線(東京)1社しかないため。ライダーから苦情や問い合わせが絶えないというが、6割増産してもなお4カ月分の注文を抱える。「今の体制ではこれが精いっぱい」

 だが新規参入の動きはない。高速道路に乗れる125cc超オートバイの保有台数は自動車の22分の1と、元々市場規模が小さいのに加え、自動車に比べて振動対策など特殊な構造が必要で、生産体制を整えるのに時間も費用もかかるからだ。

 搭載が間に合わずに大型連休を迎えたライダーからは恨み節も。「今、めちゃくちゃ損している感覚ですよ」。4月29日から1200ccのオートバイで四国などをツーリングしてきたという福井県敦賀市の会社員田辺正治さん(48)は、3月末に二輪販売店に車載器の取り付けを申し込んだが「早くて来年1月」と言われたという。「載せて走っている人はうらやましい限り。複数メーカーの生産で競争して、せめて乗用車並みの値段に抑えてほしい」(清野貴幸、野上英文)

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