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2009年4月

2009年4月25日 (土)

反人種差別会議でのボイコット国はイスラエルの共犯者

「不参加」続出の人種差別撤廃会議、イスラエルは大使召還

ワシントン(CNN) 国連が主催する20日からの人種差別撤廃関連会議を米国がボイコットしたのに続き、オーストラリア、ドイツ、カナダなどが19日、相次いで不参加を表明した。イスラエルは20日、抗議のため開催地スイスに駐在する大使を召還した。

米国務省は18日、同会議で採択される文書にイスラエルを批判する内容が含まれているとの理由から、参加を見送る方針を明らかにしていた。20日には新たにポーランドも不参加を表明。イスラエルのネタニヤフ首相は同日、各国によるボイコットを歓迎すると述べた。

ネタニヤフ首相は同時に、会議の出席者に「人種差別主義者であり、ホロコースト(ナチスドイツによるユダヤ人虐殺)否定論者でもある人物がいる」と、アフマディネジャド・イラン大統領が招かれていることを指摘。駐スイス大使を本国での協議のため召還すると発表した。

オバマ米大統領は19日、米国が事前に、文書案が「十分に」修正されない場合は参加できないと警告していたことを強調。「人種差別の軽減には他国と協力し、世界規模で取り組みたい」との姿勢を示す一方、「(同会議は)その機会にならなかった」と述べた。

オーストラリアのスミス外相は、同会議が01年の前回会議と同様、「反ユダヤ主義などの攻撃的な思想を公言する場として利用されかねない」と懸念を示した。

一方、ピレイ国連人権高等弁務官は、米国などの不参加に「深い衝撃と失望」を表明し、「人種問題に取り組むうえで、ごく一部の側面だけを優先させている国 があり、差別される人々への懸念が後回しにされている。人種問題はいかに困難であろうと、世界規模で討論する必要がある」と語った。

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200904200018.html

 イスラエルがユダヤ国家を成立させるためにパレスチナの土地を奪い、パレスチナで暮らしている人々を排除し、抵抗する市民を大量虐殺しているのは、揺るがない事実。

ユダヤ人が欧州で過去に迫害を受けたということと、イスラエルによるパレスチナ侵略とは関係ないことだ。ユダヤ人はナチスドイツと同じ犯罪をパレスチナ人に行っている。

 イスラエルが欧州での過去の迫害の被害者という立場を他民族への迫害に利用するのなら、アフマディネジャドイラン大統領のようにユダヤ人ホロコーストに疑義をもたれても仕方がない。事実かどうかより倫理的な問題として、ユダヤ人ホロコーストは、卑怯な口実に過ぎないからだ。イスラエルの傲慢な人種差別的態度や行動が反ユダヤ、ネオナチに正当性を与えているのだ。これはもう似たもの同士と言い捨てられても仕方がない。

 イスラエルを擁護するために、アメリカ合州国、カナダ、オーストラリア、ドイツ、オランダ、ポーランド、イタリアなどが、会議をボイコットや会議場から退出した。彼らは、すべてヨーロッパかヨーロッパからの移民国家だ。彼らこそが人種差別をしてきたもの達だ。国連反人種差別会議は、欧米の植民地主義者達には居づらい場所なのは当然。

 欧米の擁護者は、イスラエルがやっているパレスチナ人へ迫害批判に対して、正しく反論できない。だから、ボイコットなのだ。それは、アフマディネジャド・イラン大統領が演説で主張したとおり、そもそもイスラエルが現在も行っているパレスチナ人に対するホロコーストは、欧米と国連こそが導いたものだからだ。

彼らが耳をふさぎたくなるのも当然だろう。

 アフマディネジャド大統領は、欧州における人種差別の代償として、西側各国が「最も残虐で弾圧的な人種差別体制」であるイスラエルの建国を支援したと明言。「多数の西側諸国と米国が人種差別的な虐殺の加害者を擁護しているのは、なおさら遺憾なことだ」などと述べた。米軍のイラクやアフガニスタンへの進攻 にも言及した。

・・・

潘基文国連事務総長は声明で、会議を「糾弾と分断、扇動」に利用したとアフマディネジャド大統領を批判。演説で未来の結束に目を向けるよう同大統領 に促していたにもかかわらず、同大統領が従わなかったことに深い遺憾の意を表明した。潘事務総長は同大統領の演説が「会議目標と逆行し、現実的な差別問題 の建設的解決方法の構築が大幅に難しくなる」と述べた。

米国のウォルフ副国連大使は、アフマディネジャド大統領の演説が「恥ずべきで不愉快、扇動的」だとして、潘事務総長の意見に同意を表明。英国のブラウン首相も、演説を直ちに厳しく非難した。

フランスのクシュネル外相は、アフマディネジャド大統領が会議で不快な発言をした場合、他の欧州各国と一緒に退席するよう代表団に指示していたこと を明らかにして、同大統領の発言を容認しない姿勢をにじませた。カナダのハーパー首相は、同大統領の立場に反対の声を上げるのは「非常に良いこと」だと述 べるとともに、イランが核開発のほか、イスラエルとその住民を脅かし続けていることが大きな問題だと指摘した。

イスラエルのペレス大統領は、エルサレム市内で営まれたホロコースト(ナチスドイツによるユダヤ人虐殺)犠牲者の追悼礼拝で、アフマディネジャド大 統領の演説内容が「人種差別との戦いではなく、容認だ」と批判。「ナチスのヒトラーや旧ソ連のスターリン、イランのアフマディネジャドといった暴君が、な ぜユダヤ人を憎悪の標的にするのか理解し難い」と述べたうえで、こうした指導者らにはユダヤ人の精神力に対する誇大妄想的な恐怖があるのだろうとの見解を 示した。

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200904210014.html

アフマディネジャド大統領が「欧州における人種差別の代償として、西側各国が最も残虐で弾圧的な人種差別体制であるイスラエルの建国を支援した」という認識は正しい。

この反人種差別会議での対立、分裂自体が、白人対その他、ヨーロッパ対その他の人種対立そのものであり、「イスラエル」という存在が近代の西洋植民地主義、人種差別の残滓であることを証している。

This is a state, after all, created by European colonists, built on the ethnic cleansing of the indigenous population, whose founding legal principles guarantee the right of citizenship to any Jewish migrant from anywhere in the world, while denying that same right to Palestinians born there along with their descendants. Of course, Israel is much else besides, and the Jewish cultural and historical link with Palestine is a ­profound one.

But even those Palestinians who are Israeli citizens face what the then Israeli prime minister Ehud Olmert last year called "deliberate and ­insufferable" discrimination by a state which defines itself by ethnicity. For Palestinians in the occupied territories, ruled by Israel for most of the state's existence, where ­ethnic segregation and extreme ­inequality is ruthlessly enforced, the situation is far worse – even without the relentless military assaults and killings. And Israel now has a far-right ­government whose foreign minister, Avigdor Lieberman, has said 90% of Israel's Arab citizens have "no place" in the country, should be forcibly "transferred", and only be allowed citizenship in exchange for an oath of loyalty to Israel as a Zionist Jewish state.

But if Lieberman had turned up to speak at the Geneva anti-racism conference, who believes that western delegates and ambassadors would have staged a walkout? Of course, there's a perfectly ­reasonable argument to be had about the nature of Israel's racism and whether it should be compared to apartheid, for example. But for western governments to hold up their hands in horror when Israel is described as a racist state has no global credibility whatever.

Israel's supporters often complain that, whatever its faults, it is singled out for attack while the crimes of other states and conflicts are ignored. To the extent that that's true in forums such as the UN, it's partly because Israel is seen as the unfinished business of European colonialism, along with the Middle East conflict's other special mix of multiple toxins. The Geneva boycotters, fresh from standing behind Israel's carnage in Gaza, are in denial about their own racism – and their continuing role in the tragedy of the Middle East.

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/apr/23/un-race-conference-walkout-ahmadinejad

上は記事の最後の部分の抜粋。下手な訳で申し訳ないがだいたいこんな事が書かれていると思う。

「イスラエルでは、世界のどこからのユダヤ人移住者にも市民権を保証しているが、ここで生まれたパレスチナ人には同じ権利はない。このような民族浄化によってヨーロッパからの移住者によって国家を成立させている。」

「占領地のパレスチナ人は、民族を分離させ、極端な不平等を強いている。状況はイスラエル軍の攻撃と殺害が無いとしてもより悪化している。」

「そして、イスラエルの現在極右政府での外務相であるリーバーマンは、イスラエルのアラブ系市民90%は国内に居るところはない。強制的に移動させなければならない。そしてシオニストのユダヤ国家としてイスラエルに忠誠を誓うものだけに市民権を与えると発言した。」

「もし、リーバーマンがジュネーブの反人種差別会議で意見を述べるために現れたら、西側代表と大使が議場から退出すると誰が信じるのか?」

更に、恥知らずなのが、潘基文国連事務総長だ。

イスラエルのガザ攻撃で、市民が避難している国連施設に対して白リン弾まで使った反人道攻撃を現地に行って見ていながらイスラエルを名指し批判できない。それどころか、人道犯罪国家「イスラエル」だけを擁護する態度は、ユダヤ人のロボットか、奴隷と言って良いだろう。彼はハーグ密使事件で韓国皇帝の密使が日本の国際法違反と主権の回復を訴えたにも関わらず、万国平和会議で欧米の大国はまったく相手せず、韓国は日本に飲み込まれてしまったという自国の民族の悲劇を自覚するべきだ。

とにかく、反人種差別会議に相応しくない人種差別擁護国家はボイコットや、退場したわけで、残った小国らは拍手喝采の末、会議を大国の妨害から守ったといえる。

アフマディネジャドの演説全文英訳テキストは、以下のアドレスで読める。ストレートで挑発的なもの言いだが、イスラエル問題を的確に言い表している。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8010747.stm

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2009年4月20日 (月)

デヴィ夫人への言論弾圧

以前、ここでデヴィ夫人のブログ記事を紹介した。

「よく言ったデヴィ夫人」
http://electric-heel.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_4713.html

この時、右翼の攻撃がないかと心配したのだが、とうとう事が起きてしまったようだ。すでに日本は日本に都合のいいことしか容認しない社会になってしまったことを示す事件だろう。

「言論弾圧」というのは大げさに思えるかもしれないが、この右翼の行動は、国家権力の在日朝鮮人、朝鮮総連弾圧の延長線上にある。街宣右翼も警察や公安調査庁もやっていることは変わらないのだ。

デヴィ夫人と右翼団体がトラブル=北朝鮮問題めぐり対立か−警視庁

4月20日13時37分配信 時事通信

 タレントのデヴィ夫人が東京都渋谷区の自宅前で街宣活動をしていた右翼団体との間で、トラブルになっていたことが20日、警視庁渋谷署への取材で分かった。同署が詳しい経緯を調べている。
 同署によると、デヴィ夫人は19日午前9時半ごろ、自宅前で右翼団体の街宣車に、2階ベランダから植木鉢を投げつけ、車の一部を破損させたほか、右翼団体関係者もデヴィ夫人が現場の様子を撮影しようと持っていたデジタルカメラをはたいて壊したという。
 右翼団体関係者は、デヴィ夫人が北朝鮮のミサイルについて「人工衛星だ」と話したことなどに対し、抗議していたという。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090420-00000051-jij-soci

さすが日本のタブーである日朝間の問題をズバッと主張するだけある。狂信右翼暴力団に反撃する勇気は拍手ものだ。

さて、右翼が噛みついたデヴィ夫人の主張は、

2009-04-03 19:29:22

北朝鮮の人工衛星打ち上げ

・・・

麻生首相は、国連を動かしてでも、打ち上げを止めさせると言っている。
日本は勝手に 「長距離弾道ミサイル」 「テポドン」 と言っているが、
実際は、 「人工衛星」 である。 日本の政治家やいつもの評論家達が、
もっともらしい顔をして色々とTVで言っているのが、滑稽である。
人工衛星なのだから、 真直ぐ大気圏へ突入するので、
日本の上空など関係ないのに、 この馬鹿騒ぎ。

・・・

1998年8月31日に北朝鮮が人工衛星を打ち上げた際、
国連安全保障理事会議長は、 

同年9月15日に報道向けの声明を発表している。
「事前の通告なしになされた」 ことに対し 「遺憾の意」 と表されるが、
「どの国も平和目的の宇宙プロジェクトであれば、
推進する権利があることを認める」 とわざわざ明記している。
衛星を打ち上げるのは自由です。
正当な事前通告の手続きを経た今回の打ち上げは、
国連でも問題になりえない。 アメリカさえ静観している。
北朝鮮が日本に向けて、 ミサイルを飛ばす筈がございません。
弾道ミサイルは落とす目的で、 目的地に向けて発射するものですから。そんな無鉄砲なことをしたら北朝鮮に批難が集中し、世界中から攻撃されます。
北朝鮮はそんな馬鹿ではないでしょう。
彼らにも衛星のテストをする権利はあります。

・・・

http://ameblo.jp/dewisukarno/entry-10235856625.html

日本のメディアは大本営発表を垂れ流して平気な顔をしているのに、現在TVタレントという立場でありながら、これだけのことを勇気を持って言えるのがすごいのか、こんなことさえ誰も言えない日本の状況がひどいのか。

問題は右翼だけではない。案の定、警察やメディアも狂信右翼暴力団の片棒を担いでいるのだ。

2009-04-20 14:34:24

警視庁の発表は違います!

警視庁は汚いやり方をしています。

被害届けと刑事告訴をしなかったのは

渋谷警察署が7時間もかけて私を説得して

出させなかったのです。

・・・・

http://ameblo.jp/dewisukarno/entry-10245914101.html

こんなひどい目にあっても、デヴィ夫人は痛烈なメッセージを書いています。

いや〜、おみごと。

①2002年9月17日小泉首相と金正日総書記は、
  「日朝平壌宣言」の国交正常化に署名し、実行する筈でした。
  両国国交に向けての話し合いの中に条件がありました。

  その条件を日本は満たしていません。

②両国の元首が、約束した事をホゴにしている事、

  その時の条件の一つとして、金正日総書記は拉致を認め、正式に謝罪致しました。 5人の拉致された生存者を   2週間で返すという約束を 当時の副官房長官だった安倍晋三氏が強行に 日本のマスコミを操り 世論を煽り 拉致事件のヒーローとなり、日本の首相にまでのし上がりました。

・・・
日本は4兆円とも言われる  戦争賠償金を支払いたくないのだと、

  日本の一部の方から聞きました。北朝鮮に石油かガスが算出されれば、すぐに手を結ぶのでしょうが、拉致事件を理由に制裁、弾圧と叫んでいます。

③25万トンの穀物支援をすると言ったのに、それも日本はホゴにしました。

④横田めぐみさんの死を信じない日本、ご両親がいました。  

 聞くところによると  日本の外務省は、遺骨は無いという北朝鮮に対し、 遺骨がないと日本は承知しない、 世論がおさまらない、とにかく遺骨を送ってくれと、 やいやいと催促をしました。 お骨は共同墓地にあるため、送れないと言ってもさらに催促。その後、お骨はDNA鑑定され  二人の教授はわからない、鑑定不能といい、  たった一人の教授が他の人の骨も入っていたとし、これは横田めぐみさんではないと  鑑定結果を出しました。共同墓地に入っていたら、  他の人の骨も混ざっている事もあるでしょう。しかし当時の細田幹事長は偽物だと発表。  それ以降 ”家族傀”は、なんにつけても制裁、弾圧と復讐を叫んでいます。

・・・

このままでは日本と北朝鮮は 、イスラエルとパレスチナのように、
本当に永遠の宿敵になってしまします。

日本の皆さん、目覚めて下さい。

日本の方も理性を持って下さい。

写真に見る帝国主義日本の非道、暴虐行為

「韓国の人々の宿敵、日本の非道残虐4」のタイトルにある写真。

11枚の写真が見開きページで掲載されていました。

4回目の写真ということですので  1、2、3、はどんな写真だったのでしょう。

これまでに、「宿敵」日本という言葉で、 日本が呼ばれることは、ありませんでした。  こんな写真を載せられることになったのは、安倍晋三氏の売名行為と懐刀である漆間巌氏の在日の人に対する弾圧と迫害の結果です。 共和国の赤十字社と日本の赤十字社が扱っていた拉致事件を、狡猾にも奪い、操作し日本人の紅涙を利用し、一躍人気者となり首相の座まで手に入れた。この二人が何をしたのかは次回載せます。

気になるのは麻生総理が、この漆間氏をまた内閣官房副長官に起用していることです。 この両氏に利用され操られた”マスゴミ”の結果です。

・・・

http://ameblo.jp/dewisukarno/entry-10245926061.html

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2009年4月16日 (木)

日本による6カ国協議の破壊は成功

 日本のごり押しによる北朝鮮ロケット発射を非難する国連安保理の議長声明は、あきらかにダブルスタンダードであり、国際法を無視した筋の通らないものだ。いくら何でも特定の国家だけ人工衛星打ち上げロケットの発射を禁ずるなどということはできない。議長声明では「発射」は「違反」としているが、ミサイルではないことが明らか故に、「発射」する対象が何を示すのか欠いたまま、「違反」とブチあげてしまった。
 拘束力がないとはいえ、こんな無様で政治的公正さを欠いた声明がまともなわけがない。日本に配慮した為に、国連安保理はまた大きな失敗を犯した。(国連安保理改革など止めて、肝心なことに役立たずの国連安保理は廃止した方が良いと思う。)

 この結果は6カ国協議でやっと一歩前進した朝鮮半島の非核化交渉の成果を日米によって葬ることになり、この地域の緊張関係をかえって増すことになった。

日本を除く6ヶ国協議参加国は、6ヶ国協議を壊すつもりはなく、日本の顔を立てつつバランスをとったつもりであろうが、読みは浅かったと言わざる得ない。北朝鮮が6ヶ国協議からの離脱を表明したことで、米中は慌てている。北 朝鮮は理詰めだ。これまで圧倒的に力の小さい北朝鮮は交渉相手国を公正なルールが期待できる土俵にあげたうえで、相手のイカサマを逆手に要求を通してき た。米国は力の外交しかできないので、なんども北朝鮮に苦汁を飲まされている。今回も北朝鮮に理がある。米国は北朝鮮に頭を下げざる得ないだろう。

 国連安保理に決議案を提出した日本の狙いは何なのだろうか?

 米朝関係改善を妨害すること。それと北朝鮮を挑発することでこの地域の緊張を高め、自らの安全保障の危機を作り出し、プロパガンダによって世論を誘導して戦争の放棄を謳った憲法のくびきから逃れ軍事力をもって覇権国家の復活を実現することだ。

 元々6ヶ国協議も北朝鮮を追い込むためだけに参加していて、はなから朝鮮民主主義人民共和国の存在を認めたくない日本政府と世論は、これまでも度々6ヶ国協議を妨害する行動をとってきた。頭の中は北朝鮮を追い詰めることだけしかない。
 ”拉致問題”も”核問題”も、米国の安全保障に関わる”ICBM”も北朝鮮を潰すためのカードとして扱われてきた。

前回にも書いたが、日朝間の関係は大きく変わった。これまで日本と北朝鮮は、無視はするが、敵対もしていない関係だったが、今は日本が現在休戦中の朝鮮戦争当事国である米国を差し置いて、北朝鮮と敵対する関係になろうとしている。これについては別に書くが、日本には抜きがたい朝鮮コンプレックスが潜在的にあるからだろう。

日本のメディアは、北朝鮮の反応を”瀬戸際外交”を繰り返す呆れた国家と揶揄するばかりで思考停止している。

週刊金曜日2009.4.10号「戦争ごっこに巻き込まれるな」青木 理の文章から

・・・

 それにしても、人民を飢えさせながらハリボテに近い「ミサイル」や「核」に狂奔する北朝鮮の独裁はつくづく罪深い

しかし、その困窮の独裁の一挙手一投足にいきり立つ素振りを見せ、「北風」に必死で帆を立てている日本の政治、メディアの佇まいも滑稽で、なおかつ胡散臭い。

 いま求められているのは、徹底的に冷徹な視座で困窮の独裁と脅威の実相を見つめ、なんとしても軟着陸へと導くための真摯な方途の模索であろう。同時に私たちは、奇妙な「北風」に乗じて日本国内に蔓延り続ける浅はかな空気を戒めねばならない。

 ここでもやはり、北朝鮮が困窮しながらも周りに害毒をまき散らす迷惑な隣人として、その愚行を指導しなければいけないと、まるで迷惑を一方的に受けている被害者ぶって善人面までしているが、そもそも北朝鮮が独裁軍事政権を維持しなければならないのは、米国の軍事・経済的な圧迫によるところが大きいのではないのか。たしかに、北朝鮮はその独裁的国家体制の中で国民を弾圧してきた。しかし、そのことと現在問題としていることは別なことだ。しかも近年の北朝鮮の激しい威嚇行動は米国と日本による不公正な挑発への反動・反発であるのは明らかだ。

日米の対北朝鮮政策が口先とは裏腹に北朝鮮の独裁政権を維持させ、経済制裁と独裁政治が市民を苦しめ、核兵器所有までさせたという加害者であることの自覚の無さ、想像力の無さは呆れるほかない。それは侵略しておきながら被害者意識しかないイスラエルに近いものだ。

 欧米の中東政策同様に力の弱い者に対して勝手にルールをつくって追い込んで、必死の抵抗をテロ・犯罪・瀬戸際外交と決めつける帝国主義的思考を続ける限り紛争はなくならない。

 

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2009年4月 8日 (水)

北朝鮮ロケット打ち上げ騒動 ー 好戦国家復活に世論を誘導するメディアと政府の茶番

北朝鮮のロケット打ち上げに対する日本の政府とメディアの反応は、まるで開戦前夜のような異常ないきり立ち様で、現実には日本の安全保障上の危機など存在しないにも関わらず、隣国への敵愾心を煽る異常な体制は、敗戦前の侵略国家日本の姿をそのまま写しているようだ。これは軍事国家のプロパガンダによる体制引き締めそのもので、いずれは自らの挑発的行動によって安全保障上の危機が現実となり、それを根拠に軍事に依存する国家になっていくのだろう。

気がつかなくてはいけないのは、日朝間の関係が直接対峙しない時代から、直接対峙する関係に劇的に変わったことだ。北朝鮮が変わったのではなく、日本が変わったのだ。

拉致問題によって日朝関係が緊張状態になったと言うのは正しくない。小泉訪朝によって拉致問題は日朝間のその他の問題を含めて政治的に清算されようとしたのだ。問題はこの打算的偽善的な最後の「善隣外交」を覆す土壌がこの国に出来つつあったことだ。米国に導かれたタカ派再軍事勢力がこれまでの日本の国際関係の中心に据えられた「全方位外交」を駆逐したのだ。サンフランシスコ講和条約受け入れ、戦争の放棄を憲法に加えられた日本の国際関係は冷戦の中を建前上ではあるが「全方位外交」「善隣外交」で築かれていた。今ではそんな言葉もすっかり忘れられた。*1

日本が再び狂信的ナショナリズムをもって近隣国への軍事力をちらつかせる国家を目指そうとする動きを止めることはできないだろう。敗戦前の暴虐の事実が忘れられた現在では再び野蛮で単純な力の論理が受け入れやすいからだ。

日本人の特質である集団性は、小魚の群れのように個が集団の中心に向かおうとする運動だ。日本のメディアは世論をねつ造する。日本人それぞれが生き残るために世論の中心に向かおうとする。弱いもの、異なったものは中心から外され集団の為の犠牲になる。これは日本人の特性なのだから、容易に変わることはないだろう。
これまでの日本のメディアのあり方を見れば、外交問題でジャーナリズムを体現したことは一度もない。戦争の記憶が風化すれば、日本が成功体験である帝国主義ナショナリズムに取り込まれるのは不可避なのかもしれない。

*1)  私は2003年Yahoo!掲示板に「ふざけるな拉致議連、救う会、家族会」というトピックをたてた。このトピックの主旨は、「奴らは、拉致被害者を政治的圧力の「切り札」として利用し、日本を軍事大国にしようと企んでいる。こいつらに日本を乗っ取らせてはいけない。 」と言うもの。
これは拉致被害者家族会を中心に拉致被害者を救出するという運動の実態が、実は運動が変化を求めている対象が日本国民であること。本質は日本人に排外ナ ショナリズムを喚起させ、サンフランシスコ講和条約受け入れと日本の帝国主義の被害者への謝罪を前提にした善隣外交、真の和解を否定する運動であり、彼らの目標は日本帝国の復活だということ。彼らは北朝鮮による拉致の被害を声高に主張するが、我々はその拉致被害者救出運動の被害者である。それだけでなく、彼らや日本政府は在日朝鮮人らに対し、直接暴力犯罪や人権弾圧を行っている。彼らは北朝鮮に人道犯罪を非難するが、我々は彼らの自らの人道犯罪を棚に上げた人権弾圧運動を批判する。

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2009年4月 1日 (水)

Brian Eno のイスラエル批判

今頃知ったのですが、私がもっとも尊敬するアーティスト、ブライアン・イーノ氏がイスラエルのガザの虐殺に抗議しています。短い言葉の中にもパレスチナ問題の本質を突く鋭い批判を投げつけています。
どこかの大人になれないよい子の「僕」ちゃん小説家とえらい違いです。中身のない薄っぺらな小説家と比較するのも腹立たしいのですが。


Brian Eno Stop Gaza Massacre protest London Saturday 3 January 2009

「ガ ザで我々が見ていることは、イスラエル政府が行っている挑発実験だ。150万人を小さな場所に押し込め、食べ物も、水も、衛生設備も、薬も与えず、彼らが 敵意を示したときは驚いたふりをする。その敵意は求められている。なぜなら、それは犠牲者を演じるきっかけになるからだ。イスラエルは自らが圧制者である 状況において犠牲者のふりをしているのだ。ホロコーストの灰から生まれた国が、そのようなふるまいをすることは悲劇だ。胸のはりさけるようなことだ。イス ラエルはなぜそうするのか?紛争を生み出す理由は何なのか?その裏には、そうすることによって彼らが移住地を引き続き建設できるということがある。アメリ カ政府から莫大な援助金を得続けられるということがある。彼らはパレスチナ人から祖国を奪い続けることができ、中東にワルシャワ・ゲットーを作り続けるこ とができる。」

日本語訳 "イルコモンズのふた。" http://illcomm.exblog.jp/9188883/ からの引用

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