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【コラム】人口争奪戦の勝者、北海道伊達市の試み(下)

 伊達市は移住を決めた定年者に対し、市有地を活用した田園住宅地を安価で供給している。また、定年層が安価で利用できる「愛のりタクシー」や健康管理サービスなど、さまざまな便宜を提供している。こうした努力の甲斐あって、伊達市は「シルバー天国」となり、5年間で約2000人の定年層を誘致することに成功した。

 伊達市も当初はほかの都市と同様、企業や若者の誘致に取り組んだ。日本は地方都市だけでなく、大都市でも高齢化で人口減少が進んでおり、人口争奪戦が激しさを増している。各自治体は若い夫婦を誘致するため、出産祝賀金の支給、子供の医療費支援など物量攻勢を繰り広げている。こうした競争の中で、自慢できるのは豊かな自然環境と人情しかないという地方都市にやって来る企業や若者はいなかった。

 そこで発想を転換した結果が、「団塊の世代」の誘致だった。1947-49年のベビーブームに生まれた800万人が定年退職を控えていた。大都市に比べ、自然環境が豊かで、住宅価格や物価が安く、彼らをターゲットにした政策を展開すれば十分に競争力があると判断したのだ。夕張市などほかの地方都市がリゾート開発など似通った事業に大規模な投資を行い、観光客誘致に失敗し、財政破たん状態に陥ったのとは対照的だ。

 韓国でも多くの地方都市が人口誘致と経済活性化に向け、企業誘致、観光施設への投資を進めている。しかし、地域の長所や短所を十分に考慮せず、特徴がない政策を行っても決して成功しない。伊達市は地域に特化した開発戦略が成功のカギであることを示す生きた手本だ。

車学峯(チャ・ハクボン)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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