しかしよく見るとニセ物だということが分かる。携帯電話の表面や初期画面などは本物と区別できないほどそっくりだが、表面の文字は「Anycall」ではなく、「Anycoll」あるいは「Anycom」、もしくは「Anyacall」と記されている。施さんは「本物のAnycallは2880元(約4万1400円)だが、380元(約5460円)まで安くしてあげよう」としつこく食い下がった。
Anycallだけではない。米国アップル社の「iPhone」は「HiPhone」あるいは「MyiPhone」「TiPhone」に変わり、色も違うが一見すると同じ商品のように見える作りになっていた。世界第1位の携帯電話会社ノキア(Nokia)は「Nckia」に、韓国のLGは「LC」に変わり、同じ商品と錯覚させる。
明通団地近くの遠望デジタル団地も同じだ。アップルのコピー品が多い遠望1階のある店で、薄いサングラスをかけ、ぽっちゃりした体型の40代女性が「HiPhone」を1台1100元(約1万5800円)で3台も買っていた。香港から来たというこの女性は、「使ってみると、主要機能は全部そろっているし、不便はない」とし、たくさん買って友達に分けてあげるのだという。
最近では、識別が難しい「高倣機(高度に模倣した携帯電話)」も登場している。携帯電話分野の専門家J氏(44)は、「数日前にここで買ったコピー品だ」といって、「ニセiPhone」を見せてくれた。外見も機能もそっくりだ。本物は5600元(約8万円)ほどするが、J氏はその7分の1に当たる800元(約1万1500円)でコピー品を買った。見た目は「iPhone」の英文ロゴや一口かじられたリンゴのマークまでそっくりで、初期画面で表示される10種類余りのサービスの内容や順序もほとんど同じだった。J氏は「本物と比較してみても、基本機能やゲーム機能、タッチパネル、マルチメディア機能などは同じで、逆に本物にはないカメラ機能がニセ物には付いている」と語った。
20代の女性店員に「こんな風にコピー品を売ってもいいのか」と尋ねたところ、「性能が良くて安ければいいじゃないか。何が問題なのか」と声を上げて笑った。
深セン=李恒洙(イ・ハンス)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版