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2009/05/06

浮き世に未練の金持ちはゴールドコーストに引退する

史記を語る (岩波文庫) 史記を語る (岩波文庫)
価格:¥ 693(税込)
発売日:1996-04

オーストラリアというのは、時差がないわけです。金持ちが引退するとしたら、株の取引とか、ビジネスの報告とか、色々とあるわけで、昼夜逆転の、地球の裏側というのはちょっと難しい。まぁ、おいらと違ってカネはあるんで、沼津千本浜の借家じゃなくてもいいんだが、時差の事を考えると、せいぜいシンガポールとかゴールドコーストという事になる。世捨て人とはいえ、必ずしも全てを棄てたわけじゃないんですね。




で、司法ジャーナルのMS氏なんだが、さる、大物ヤクザの余生について、です。
 オーストラリアのゴールドコーストには故宅見組組長が買ったペントハウスがある。
 昭和バブルの頃、ゴールドコーストは光進の小谷光浩氏、伊藤寿永光氏、高橋治則氏など多くの有名人氏が集う社交場だった。
亡くなられた方も多いが刑務所に行った方も多い。

そのゆかりのオーストラリアに永住権を得て移住できるとは、やはり歴史に残る山口組関係者である。
勝ち組として永遠に名が残るであろう。
永住ビザは日本のオーストラリア大使館で申請していない模様だ。
ビザは、オーストラリア本国でも取れるんじゃないかな? ところでMS氏は
天道是か非か
というので、「天に期待しても資本の論理は強し」と書いているんだが、さて、ここからは漢文のお勉強です。
この世の秩序や運命は果たして正しい者に味方しているのか。この世にはほんとうに正しい道理があるのか。「天道」は、人間をつかさどる人力を超えた宿命。宇宙を支配する力。「是か非か」は、正しいのか、まちがっているのかということ。運命に対する基本的な疑問を表した句である。
古い中国語というのは、意外にとっつきやすいです。白文(素の原文)ではとっても読めないが、レ点とか「一、二」とか付けただけでもずいぶん理解できるし、送り仮名付ければ、ほぼ理解できます。まぁ、おいらに限らず、日本人でちょっとしたインテリだったら当然なんだが、考えてみりゃ、凄い事だ。いかに、日本文化が中国古典の影響下に成立しているか、とともに、中国の「漢字文化」というのが優れていたか、思い知らされる。まぁ、共産党中国は、その「漢字」文化を自分で捨ててしまったんだが、今は、大陸の書き文字は簡体字なので、駄目ですね。で、MS氏が引用しておられる史記、伯夷列伝です。

武王巳平殷乱天下宗周。
武王ぶおうすでに殷いんの乱らんを平たひらげ、天下てんか、周しうを宗そうとす。
而伯夷叔斉恥之、義不食周粟而
しかるに、伯夷はくい・叔齋しゅくせい、之これを恥はぢ、義もて周しうの粟ぞくを食くらはず。
隠於首陽山采薇而食之。
首陽山しゆやうざんに隠かくれ、薇を采りて之これを食くらふ。
及餓且死作歌。
餓ゑて且まさに死なんとするに及び歌を作る。
其辞曰、
其の辞に曰はく、
登彼西山兮、采其薇矣。
彼の西山せいざんに登り、其の薇を采る。
以暴易暴兮、不知其非矣。
暴を以って暴に易へ、其の非を知らず
神農・虞・夏、忽焉沒兮。
神農・虞・夏、忽焉こつえんとして沒をはる。
吾安適歸矣。
我安いづくにか適てき歸せん。
于嗟徂兮 命之衰矣。
于嗟ああ、徂かん、命めいこれおとろへたり、と。
遂餓死首陽山。由此観之、怨邪非邪。
ついに首陽山に餓死す。これに由りてこれを観るに、怨うらみたるか非か。
或曰天道無親常与善人若伯夷叔斉可謂善人者非邪。
るひと曰いわく、天道親しん無し、常に善人に与くみす、と。伯夷・叔斉の若ごときは善人と謂うべき者か、非か。
・・・・・行不由径非公正不発憤、
行くに径こみちに由らず、公正に非あらざれば憤りを発せず、
而遇禍災者不可勝数也。
而して禍災かさいに遇える者、数うるに勝うべからず。
余甚或焉。
余甚はなはだ惑う。
儻所謂天道是邪非邪。
儻(も)しくは所謂(いわゆる)天道是か非か。

周の武王は、殷の紂王の無道を平らげて、天下は周を宗主とするようになった。伯夷と叔斉は、おのが君主を討った武王に仕えるのを恥とし、正しい道を守って、周の国の粟(あわ)を食べることを潔しとせず、首陽山(しゅようざん)に隠れて薇(わらび)を採り、これを食べていた。西山とは首陽山をいう。陝西省にある山である。その山中で伯夷・叔斉は薇をとって命をつないでいる。周の武王は紂の暴力を倒すのに、自らも暴力を用いてその非を悟らない。だから我々はこのように姿を隠しているのだ。神農虞夏は次々と没して聖人の世は去った。我々はどこに住めばよいのだろう。正義のない世の中は住みがたい。と、そう嘆いて、「もうおしまいだ」と言い残して、首陽山で餓死してしまった。このことから考えるに、かれらは怨みを抱いていたのであろうかいなかったのであろうか。ある人はこう言っている。「天の道は決してえこひいきはしない。いつも善人の味方だ。」と。伯夷・叔斉などは善人というべきではないか、そうではないのか。どんなときでも大道を歩み、正しいことにかかわることでなければ怒りを発することをしない者、そういう人が、災いに遭っている例は数えきれないくらいだ。わたし(=司馬遷(しばせん))はこうした現実の世にたいへん迷わずにはいられない。果たして天道というものは正しいものなのか、そうではないのか。

短い文章なんだが、実に味わい深いですね。いい言葉が幾つも出てくる。

義不食周粟而しうの粟ぞくを食くらはず
殷の時代、周の武王は、周囲の批判も聞かず、父である文王の葬儀もそこそこに、主君にあたる殷の紂王を討ち、天下を周のものとした。武王の家臣である伯夷と叔斉は、武王に仕えるのを恥とし、遠く山に隠れ住み、周の国に行けば粟があるのに、周の粟を食べることを潔しとせず、薇(わらび)をとって食べていたが、とうとう餓死してしまった。人々は、その筋の通った行いを、大いに称えた。
 筋を通して、眼前の不正な利益を放棄する、という意味。義理を立てて、それをつらぬくこと。
天道是邪非邪天道是か非か
操行のおさまらないままに世の中の秩序をみだし、しかも、一生逸楽して、富を子々孫々に伝えるものも少くないし、その一方では、また、つねに恭謙に身を持し、正しい道のみを歩みながら、災禍のとりことなるものも、数えきれないほどである。それやこれやを通観してみると、ここに重大な疑問が残る、「天道是か非か」と。
まぁ、世の中には「不条理」なんてモノはいくらもあるわけで、それを今さら嘆いても始まらないんだが、この文章の中では、おいら、
以暴易暴兮、不知其非矣。
暴を以って暴に易へ、其の非を知らず
というのが好みですね。色々と考えさせられるモノがあります。

コメント

2ちゃんねるみてたら、MSとは、不動産ブローカーで事件ものに関わる佐藤正人のことだとわかったが、大物?

>以暴易暴兮、不知其非矣。

 これは周恩来の言葉だとばかり思っていました。戦後、満州鉄道で帰国する日本人めがけて、馬賊が発砲を繰り返した。その時、周恩来は「暴をを以て暴に報いるな」と命令をしたその日から、満鉄襲撃はピタリと止んだ。

 日本人で周恩来に感謝する人は多いですよ。うちのオヤジもそうでしたが。

>武王の家臣である伯夷と叔斉→
紂王の家臣である伯夷と叔斉

の間違いでは?

なんていうか変に日本人にゆかりのある場所って怪しいですよね、、、
オーストラリアとかブラジルとかアメリカとか。
なにが怪しいかって??それはに、、、ん?携帯がなってるけど場所がわからない(汗 まぁいいか
古い中国語はいいですよね。最近は頑張って唐詩なんかを読んだりしています。俗っぽいのになぜか背筋がぞくぞくするんですよね(笑
行ったこともないのに中国の景色が浮かんでくる。すごい表現力です。
今の中国が漢字を捨てようとしているのは共産党が漢人政権じゃないからでしょうか?西域を核爆したり文化に乱暴なやつらですね。オリンピックなんかよりやることがあるだろうに、、、
ところで最近いやな予感がします。全然関係のない点が繋がって厄介なことが起こりそうな。。。杞憂だといいのですが

天地不仁、以万物為芻狗ってやつですねえ。

お名前に寿とか永とか光とか、苗字が伊藤とか高橋って・・・素敵ですね・・・なにも白人の国へ行くこともないのに・・・済洲島があるじゃないですか・・・向こうの人は向こうに帰らない、というか・・・向こうが嫌いなんでしょうか?・・・

最近まで當方、高島俊男祭でありました。買ひまくつた文庫は讀了。

正字正假名を「旧字旧仮名」呼ばはりしてみたり、漢字全廢を視野に入れた”当(分の間)用(ひる)漢字”なるものを定めてみたり。

漢字 → 簡体字
悪貨が良貨を駆逐した素晴らしい例ですね w
無知蒙昧+文盲+貧農上がりで毛沢東率いる
人民解放軍下級兵士に教育レヴェルを合わせた結果
なんでしょうけどね。
現在のシナが、三国志や水滸伝の世界の続きと勘違いしている
御仁が少なくないのが残念。

犯罪者ややくざに永住権を与える国って日本以外にもあったんだね。?w

>満鉄襲撃はピタリと止んだ

いなこたーない
周恩来人気は高いようですが
日本人に対する略奪暴行はとどまることは無かった
と満州帰りのうちのバーさんが言ってます

GTO氏は、一隅を照らす、在家のお坊さんに成られたそうで。

そーいえば、一時期、
在家の宗教団体の裏方をなすってたコトもありましたね。
ですが、ソッチ系へは行かなかったのは、
悪人正機の方がイイいうコトでしょうか?

それとも、在家教団をウラから見ていて、
在家のお坊さんに旨味を見出して、
アジアの仏教国を巡礼しようというのでしょうか?

そーいや昔、
少しばかり漢籍に親しんだことがあって、
(白文でなく、書き下し文、解説付きのやつ)
伯夷・叔斉のこのくだりを読んで、
理想だけでは飯は喰えんなぁ・・・
と、ヘンに納得したことを覚えています。

つか、山菜だけで生きようとしたってハナシに、
ドコまでホントなんだろ? このハナシ??
霞喰ってる仙人じゃあるまいし。
って思ったのも正直な感想でした。

>武王の家臣である伯夷と叔斉→
紂王の家臣である伯夷と叔斉
の間違いでは? 投稿 Apple君 | 2009/05/06 02:38
----------------------------

御意。
尚 武王の家臣が其れはおかしいと離反したら理想郷かも。
野次馬自称代理

「続」 余計なお世話的助っ人。 
薇ーーーーぜんまい
蕨ーーーーわらび
  現代の名称では。

>現在のシナが、三国志や水滸伝の世界の続きと勘違い
>している御仁が少なくないのが残念。
>投稿 馬小屋 | 2009/05/06 07:51

同意です。中国で色々経験すると、学生時代に漢詩で習った
中国の世界はどこにあるのか?不思議な気持ちになりますw

中国というのは前王朝の否定と破壊がひどいので、歴史と
価値観の連続性が途絶えがちなのですが、近年では毛沢東
による文化大革命が致命傷だったと感じます。

カンボジアのポルポトもそうですが、左翼共産革命主義は伝統
文化価値観の破壊という点で、核兵器より恐ろしい。

>一般論です。
オーストラリアには保釈逃亡してる日本人が多数いる。
人口比ですね、数人知ってる。確率でシドニーにはもっと多いかも。
ゴールドコーストはそういう人が多い。
不動産という形で資産を残してる人も多数いる。
○東○託という会社が潰れても、その社長はシドニーに大きなショッピングセンターを持ってるかもしれない。
かように多くの日本人や中国人や韓国人が不動産をオーストラリアに持ってるわけです。
洗濯ジャブジャブ投資ですな。

漢字 → 簡体字
悪貨が良貨を駆逐した素晴らしい例ですね w
無知蒙昧+文盲+貧農上がりで毛沢東率いる
を合わせた結果
なんでしょうけどね。
@なるへそ、わかりました、
 わざわざ格調高い本物をあんなにきたならしいものに
変えたわけが
  人民解放軍下級兵士の教育レヴェルが国民全体のレベルに
なっちゃった、、
 ふうさんも大変だわwwww

>カンボジア
毛沢東の名の下に中国がやらせたジェノサイドで年寄りがいない。
文化価値の破壊以上ですな。
プノンペンで70歳以上の人になかなか会えない。
とにかく若い人しかいない。
教育がある若い人でも箸はもてない。
カンボジアの覇権を誰が握るかだ。
ある北朝鮮のホテルは潰されたようだ。
最近タイ国境で緊張がある。

およそ30年程昔だったか、
近所にカンボジア難民の引受先があったが、
あそこに住んでた人達は、今頃どうしているんだろうか・・・。
今なら、60歳代くらいになっているはず。
母国に帰還していれば、
貴重な人材なんだろうが・・・。

>不動産業さん

MSさんいらっしゃってますよw

まあ武田晴信や上杉輝虎が信玄や謙信になったからといっておとなしくなったわけではありませんから。

聖人の世にも二人はひだるがり
蕨を食いながらいつぱしをいひ
やせこけた屍骸があると蕨取り
なんて川柳もあります。

 中国詩歌史上に輝く二人の天才詩人、唐の時代に(ほぼ同時代に)生まれて出会い、交友を結んだ史実が有ります。「ネアカ李白(りはく)とネクラ杜甫(と ほ)」。

 酒飲みで天真爛漫、子供のような無邪気さで後世「詩仙」と称された李白。「国破れて山河あり」で有名な杜甫、悲惨な苦しい生活で詩を詠み後世では「詩聖」と呼ばれました。日本的には松尾芭蕉が杜甫に影響されて『奥の細道』や『花屋日記』はモロに杜甫の世界観である。二大詩人に関する本が沢山有りますが、文革前後に発表された本は「どちらが人民に近いか」「封建的か」など電波がゆんゆん状態です。

 TBSラジオの国会担当記者;武田一顯(たけだ・かずあき)が留学や特派員として中国に詳しく、二大詩人の杜甫、李白の解説をしていました。サラリーマンぽくって愚痴る杜甫、大袈裟に広げて論理性がある李白。中国大陸の大きさを表しているのは李白の方だとか。去年の四川大地震で杜甫、李白の縁の遺跡や土地が被害を受け、現存した李白の書斎や故居の山門が崩れ落ちたとのコト。

食うために生きたくもないけど、生きていくには食わなけりゃあなんねえしなあw偉いお坊さんになったというGOTOさんに施しでも受けに行きたいもんだましw地獄の沙汰もカネ次第でつかwww

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