再生工場 熟練の偉業 ノムさん監督通算1500勝
試合後、完投勝利を挙げた田中将大投手からウイニングボールを手渡された。選手会長の岩隈久志投手からは花束の贈呈。妻の沙知代さんと2人の孫も駆け付けて祝福した。スタジアムには花火が上がり、ファンが横断幕を掲げて祝った。 1970年、南海で選手兼任監督を務めたのが始まり。ヤクルトでBクラスからの脱却、阪神では再生をそれぞれ求められ、さらに前年97敗の東北楽天での指揮と、「弱いチームの基礎工事ばかり」と笑う。 身上にしているのは「知」と「情」。ヤクルトでは「ID(データ重視)野球」を掲げ、試合情報、相手心理を徹底分析した。他球団で不要になった選手を生かし「再生工場」とも言われた。 「失敗と書いて成長と読む」「負けに不思議の負けなし」。経験から紡ぎ出される数々の言葉は広く知られる。 ユーモアあるぼやきは今や全国的人気。辛らつだが、単なる選手批評ではなく「現実を理想に近づけようと考えて出る言葉だ」という。 歴代最高齢監督は元気。時に12時間以上眠り、仙台牛のステーキを200グラム近く平らげることもある。最近では第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をめぐる一連の発言が話題になった。 歴代勝利数の4位は水原茂氏(故人、元巨人など)の1586勝。次の目標ですかと問われ「上に行っちゃいけない。そんな力ないよ」と控えめだ。チームは29日現在、首位タイ。「強いのか進化しているのか」と、はぐらかしながら「9月を乗り切ったらいくでしょう」と、優勝への長い道のりを見据えている。
2009年04月30日木曜日
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