新型インフルエンザの発生が宣言された。現時点で国内での感染者は確認されていないものの、先を見据えた行動が大切だ。家庭でできる備えは何か−。信州大学医学部付属病院(松本市)、県衛生部などの講座や解説を基にしてまとめてみた。
想定される感染経路は、▽せきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛まつ感染▽ドアノブや手すりなど物を介して感染する接触感染−の二つ。これらを遮断することが予防のカギだ。
「自分の手には、常にウイルスが付着していると思い込んで、手洗いを習慣づけていくことが大切」。通常のインフルエンザ対策を心掛けることが重要と指摘するのは、同病院病態解析診断学講座の本田孝行教授。
ウイルスは鼻と口、それに目から入ると説明。流行期には感染者がマスクを着けることはもちろん、それ以外の人もゴーグル、マスクで防御していく必要性を強調する。
専任の感染制御医師で、臨床検査部の金井信一郎助教によると、発症が疑われる場合や流行時にしてはいけない行動は、▽病院などに駆け込むこと▽外出自粛に備え買い物に出掛けること−など。殺到すれば、感染拡大につながる恐れがあるためという。
県では、県内の保健福祉事務所(保健所)に電話相談窓口を設け、諏訪保健福祉事務所(電話0266・57・2926)でも午前9時−午後9時に対応している。病院に直接行くのではなく、まずは電話で問い合わせることがポイントだ。
県衛生部は、外出しなくて済むだけの食料品と日用品の備蓄を求め、ホームページでその例を紹介。備蓄量は「2週間程度」が必要とし、マスクは2カ月分、1人当たり20−50枚を勧めている。同病院の丸山貴美子・専任感染管理看護師は「家族や職場で流行時の行動を事前に話し合っておくことも大切です」と呼び掛ける。
このほか、国、県は「豚肉やその加工品を食べて感染するわけではない」と豚肉の安全性を強調している。