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【国際】三国志英雄末裔の村は今 中国浙江省2009年5月6日 07時08分
映画「レッドクリフ」が中国、日本でヒットするなど、時代を超えて人気が根強い「三国志」。その主役となる諸葛孔明、劉備、曹操、孫権の子孫が中国で今も暮らしている。英雄の末裔(まつえい)たちは、千八百年にわたる荒波をさまざまな形で乗り越えてきた。 (中国浙江省・平岩勇司、写真も) 浙江省西部の山あいにある諸葛八卦村では、人口五千人の八割が「諸葛」姓で、孔明の子孫といわれる。占いの八卦(はっけ)に基づき、村は迷路のような構造。孔明を祭る大公堂など明や清代の建物が多く残り、村全体が国重要文化財に指定されている。 ガイドの諸葛建玲さん(46)は孔明の父親から数えて四十七代目。「村民は孔明の勤勉の精神を守っており、ほとんど犯罪は起きません」と胸を張る。 村では孔明が残した家訓「誡子(かいし)の書」を幼稚園から教える。路上で遊ぶ諸葛俊哲くん(4つ)に尋ねてみると、「夫(そ)れ君子の行いは静をもって身を修め、倹をもって徳を養い…」と全八十六字をそらんじた。 孔明は三世紀の蜀(四川省)の宰相だが、十四世紀の子孫が風水の見地からこの地へ移住。村民は「名相でなければ名医となれ」という孔明の教えに従い、明・清代は病人を救う漢方薬の店舗網を全国に広げた。 だが、一九四九年に社会主義中国が誕生すると、漢方薬店は「ブルジョア階級」とみなされ衰退。「封建主義打倒」が叫ばれた文化大革命時代は、孔明大公堂を倉庫にして破壊を逃れた。改革・開放政策が定着した九〇年代、歴史家に孔明の子孫と認定されると、観光客が訪れるように。「レッドクリフ」の影響もあり、昨年は三十万人に達した。 観光収入は、建物の修復費や養老年金に回す。村民の暮らしは決して豊かではないが、古老の一人、諸葛高嵩さん(80)は「富を蓄えず、清廉に生きた孔明が手本だよ」と話す。 諸葛八卦村から車で約二時間、呉の皇帝孫権の子孫六千人が住む竜門鎮も観光客が集まる。諸葛八卦村にあやかり、明代の建物を観光地化。土産物店を営む孫麗真さん(33)は「孫権は子孫にも繁栄をもたらしてくれた」と喜ぶ。ライバルの魏と蜀の間で実利を得た孫権の子孫らしい。 対照的なのは、曹操と劉備の一族だ。 竜門鎮に近い上村は千五百人のうち九割が曹操の子孫という。中国で曹操は、劉備や孔明に敵対した「悪役」扱い。村民の曹炳〓さん(59)は「自分から曹操の子孫とは名乗らない」と話す。集落はひなびた印象で、曹操の記念施設もない。 曙星村は孔明の主君・劉備の子孫が住む。ただ、村民四百人の大半の名字は「劉」でなく「金」。古老の金坤樵さん(80)は「蜀の滅亡後、劉姓は後の王朝にとって敵となったため、劉の字の一部を取り『金』姓を名乗った」と解説する。 村には「活金死劉」(金として生き、死して劉となる)という言葉があり、墓石には劉姓を刻む。観光地化する話もなく、村民は静かに暮らす。 各英雄の子孫が浙江省に集中する経緯について、系統だった解釈はない。祖先同士が争った子孫は近年、互いに交流を深め、友好関係を築いている。 (東京新聞)
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