韓流ブーム以後、民間交流が進んだ日本と韓国だが、いまなお歴史認識は大きな溝となっている。その溝を埋めようと、2002年以来、日韓両政府が主体となり、歴史共同研究プロジェクトが進められている。また、民間レベルでも歴史共通教材が次々と発表され、歴史を共有しようという努力が続けられている。朝鮮半島と日本はどのような関係を築いてきたのか。最新の学術的成果をもとに、古代から現代まで2000年の交流史を2年がかりで通覧する大型シリーズ。第1回は、その源流をたどる。
ぺ・ヨンジュン扮(ふん)するタムドク(高句麗・広開土王)が騎馬軍を率いて朝鮮半島を疾走する。ドラマ「太王四神記」で描かれた古代の朝鮮半島には、東西南北にいる神たちが、4つの方角から人々を守るという世界観があった。ドラマにも登場した架空の神獣「白虎」「青龍」「玄武」「朱雀」の「四神」たちである。
時空を超え、2009年の日本。国宝・高松塚古墳壁画の修復作業が国を挙げて進められている。7世紀に描かれたと考えられている極彩色の女性像、飛鳥美人。その絵の側にもまた、「四神」が描かれている。描いた絵師は、朝鮮半島を経てやって来た人と見られている。その一方で、日本列島から海を渡った人々もいた。彼らが、風俗や文化だけでなく、双方の古代国家形成にも深く関わっていたことは、意外と知られていない。しかも、その関わり方を巡って、今様々(さまざま)な議論が日韓双方で繰り広げられている。日本が朝鮮南部に置いたとされる「任那日本府」とは、いったい何だったのか。日本固有の前方後円墳が、韓国で見つかるのはなぜか。そして、仏教伝来の真相とは。「四神」の絵を道しるべに、海を越えた人々の旅路をたどりながら、日本と朝鮮半島の交流の実相に迫る。
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