大阪社保協FAX通信   831号 2009.2.27

資格証明書めぐる議論が集中  2月20日、大阪府後期高齢者医療広域連合定例議会。発行には慎重期す必要性確認。

 大阪府後期高齢者医療広域連合の2月定例議会が2月20日午後、府庁別館で開かれ、08年度の補正予算および09年度予算案を可決するとともに、医科・歯科保険医協会、社会保障推進協議会(社保協)、民医連の4団体が共同で提出していた「後期高齢者から医療をうばう保険料滞納者への資格証明書発行をさせないための請願」をめぐり議論が交わされました。この「請願」は最終的に賛成2人の少数で否決されましたが、議論の中で各議員及び広域連合事務当局が、「保険料滞納者であっても、75歳を超えて医療を必要とする人たちであることを充分配慮し、きめ細かな相談活動などで個々の実情を把握し、機械的な資格証明書発行はしない」ことなどを再三確認しました。また、議員の中から、後期医療制度がスタートしての11ヶ月を振り返り、改めて制度の欠陥を厳しく指摘し「速やかな撤回を国に求めるべきだ」との発言もありました。

 08年度の補正後の一般会計歳入・歳出総額は4億7319万円(当初予算比2億4673万円増)、特別会計は同じく66451810万円(同244240万円減)に。また09年度一般会計は2億7053万円、特別会計75487017万円となっています。

 予算質疑の中で広域連合事務局は、保険料の徴収率について、普通徴収(振込み等)の収納率(金額)が7月からの5ヶ月の平均で92.7%、全体では96.9%、公費分などを含んだもので97.6%であること(件数ではスタート月の昨年7月分で約1.3万人)、また医療費適正化の一環としてのレセプト点検で、7万4千件余の再審査の申し出があり、減額が3800万円余、返戻が1億4500万円余の計1億8千万円余となり、「一定の効果があると思う」としました。議論の中では、2〜3の議員から、「保険料を払えるのに払わない人がおり不公平だ」「保険料収納で市町村の格差が生じており、今後への大きな問題だ。低い市町村へのペナルティも必要だ」などの発言がありました。これに対し共産党の議員が、「滞納者への決め細やかな相談などが必要だが、例えば箕面市では後期高齢の対象者が約1万人の中で、職員は5人しかおらず、100人余の滞納者への個別対応なども出来ていない」と現場の実情を示し、市町村への体制上の配慮などを求めました。

保険医協会・歯科保険医協会・民医連・大阪社保協提出の「請願」は不採択

 大阪社保協などが提出していた資格証明書発行をしないよう求める「請願」は、大阪社保協がおこなった府下市町村への調査で、7月分保険料の滞納者が1万5千人にのぼっていることなどを踏まえ、@府の広域連合として資格証明書発行を行わないこと、A保険料滞納者には文書送付だけでなく、個別訪問などキメ細かく生活全般を配慮するような対応を求めたものでした。

 これに関して2〜3の議員から請願に「反対」だとして、@低所得者への保険料政令軽減の適用がある、A「法」54条7項にある「特別の事情」に該当すれば納付猶予と減免の適用がある、B納付相談を経ての猶予などがあり、手続きに関しても滞納者に対し@文書等での督促、A6ヶ月間の短期保険証の発行、Bその上で、相当の収入があっても保険料を支払わないケースに対して資格証明書を発行するのであり、資格書を発行しないということは法令に反しまた悪質な滞納者を放置するものだ、などの発言がありました。

一方、「賛成」の議員は、「老健法では保険料滞納者であっても保険証を取り上げることはなかった。資格書発行は高齢者から医療を奪うもので、憲法25条に反する。個々の実情を充分踏まえるというが、その体制の裏づけがない」などと反論しました。しかし採択では、賛成は「請願」を紹介した共産党の2人にとどまり、採択されませんでした。

国の医療費削減策が問題の根源(吉道連合長)、誤った制度は元に戻し検討を(北山議員)

最後に大阪市選出の北山良三議員(共産)が発言を求め、中曽根康弘元首相や塩川正十郎元財務大臣などを含め国民の多数が反対し、参議院で廃止法案が可決されているこの後期高齢者医療制度の問題点を改めて指弾し、府広域連合の吉道勇連合長(貝塚市長)に見解を尋ねました。吉道連合長は、「今この制度を老健法に戻すことは大変な混乱を生むのではないか。制度は維持し、欠陥を国の責任で直すことが必要と考える」と応じ、また「思いやりのある心のこもった制度であるべきだ。そもそもこうなった(欠陥だらけの制度発足)大前提は国の医療費削減政策にある。この根幹を治しつつ国に(手直しを)やってもらうよう努力したい」と述べました。

北山議員は、重ねて「この制度は一部の手直しでは解決できない。75歳以上の高齢者を囲い込むなどが最大の欠陥だ。登山で道を間違ったときは元に戻り、地図を見てやり直すように、この制度も元の制度に戻し、もう一度国民の意見を集めてやり直すべきだ」と主張しました。(大阪府保険医協会・原文夫氏)

 

「守ろういのち!なくせ貧困! 3・14近畿総決起集会――ストップ医療・介護崩壊、増やせ社会保障費」を成功させよう!!

保険医協会・歯科保険医協会・民医連・労連・社保協・年金者組合の近畿ブロックと障害者(児)を守る全大阪連絡協議会は、3月14日に「守ろういのち!なくせ貧困! 3・14近畿総決起集会――ストップ医療・介護崩壊、増やせ社会保障費」を成功させようと、現在準備を進めています。

内容もかなり決まってきましたので、お知らせするとともに、各団体・地域からのご参加をよびかけます。

 

企画、プログラム

総合司会:元NHKアナウンサー・寺谷一紀氏

2時15分 開場・3時 開会

3時05分 主催者あいさつ:武村 義人・集会実行委員長

3じ10分 来賓あいさつ

3時30分 祝電・メッセージ披露

3時34分 基調報告坂口 道倫集会事務局長

3時40分 リレートーク

・年金生活者・医師

・「東大阪働く仲間の会」森田智奈美さん(自動車関連企業「デンソー」下請け会社パート労働者 貯金ゼロで首切り) 

・「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」 小田純子さん(寝屋川高校定時制2年)と大仲優さん(千代田高校1年)

4時10分 「コントの前振り」 守口市橋本クリニック院長・橋本 忠雄さん他橋本クリニックのみなさん 守口市北原医院院長・井上 美佐さん

4時30分 集会アピール(大阪民医連)

4時35分 閉会あいさつ(全労連近畿ブロック議長・川辺さん)

4時38分 シュプレヒコール(大阪社保協事務局長・寺内さん)

4時43分 デモ出発