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UNIX USER1月号「デスクトップで動かす・学ぶQt/Embedded」より転載:

Qt/Embeddedのインストール――第1回 フレームバッファでQtアプリ(その3) (4/5)

2004年12月18日 10時00分 更新

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クロス開発環境

 本連載では使用しませんが、簡単にクロス開発環境についても触れておきます。クロスコンパイル環境を用意し、mkspecs/qwsの下のリスト6に挙げたqmakeのテンプレートを必要ならば修正*して用います。

リスト6 qmakeのQt/Embedded用テンプレート
freebsd-generic-g++
linux-arm-g++
linux-generic-g++
linux-ipaq-g++
linux-mips-g++
linux-sharp-g++
linux-x86-g++
macx-generic-g++
qnx4-cc
qnx6-generic-cc
qnx6-generic-g++
solaris-generic-g++

 クロス開発環境構築のポイントは、configureに「-embed」オプションを指定することです。Linux Zaurusであれば「-embed sharp」と指定します。これによって、開発ツールのqmakeとmocが開発マシンのバイナリ形式で、ライブラリはターゲットのバイナリ形式で作られます。実行例4は、Linux Zaurusでのコンフィグレーション例です。

実行例4 Linux Zaurusでのコンフィグレーション例(Qt 3.3.3をLinux Zaurusで使えるようにするには別途設定が必要)
./configure                   \
>   -embedded sharp             \
>   -shared                     \
>   -qt-gif                     \
>   -qt-zlib                    \
>   -no-fast                    \
>   -no-nis                     \
>   -no-exceptions              \
>   -thread                     \
>   -no-cups                    \
>   -stl                        \
>   -verbose                    \
>   -qt-libpng                  \
>   -qt-libjpeg                 \
>   -qt-libmng                  \
>   -freetype                   \
>   -depths 8,16,24,32          \
>   -qt-gfx-vnc                 \
>   -qt-gfx-transformed         \
>   -qt-kbd-sl5000              \
>   -qt-mouse-linuxtp           \
>   -release

 コンパイルは、次のように行います。この工程で、Qtに付属のライブラリとプラグイン、およびサンプルコードやチュートリアルのほとんどが作成されます。

$ make sub-src
$ make sub-plugins

 コンパイルが終了すれば、Qt/X11のuicをクロス環境のQtのbinにコピーしておきましょう。

このページで出てきた専門用語
mkspecs/qwsの下のqmakeのテンプレートを必要ならば修正
mkspecsの下のテンプレートのすべてがTrolltechで正式にサポートされているものではない。正式にサポートされているものは、次のURLに記載されている。
http://www.trolltech.com/developer/platforms/supported.html


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[杉田研治,UNIX USER]

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