『電GO!』の愛称でゲームファン以外でも、知っている方が多い電車運転ゲームシリーズ『電車でGO!』。業務用のシミュレーションゲームとしてデビューして以来、家庭用ゲーム機や携帯電話向けゲームアプリとして、様々な路線のバリエーションを増やして来た人気タイトル。
 その新作がシリーズ初となる携帯ゲーム機へと移植されたのが、プレイステーション・ポータブル用『電車でGO!ポケット 山手線編』だ。ゲームのルール自体は、これまでのシリーズ作同様、設定されているダイヤを守って運転乗務を行なうというもの。
 シンプルなルールながら、道路標識と同じように制限速度や通過速度設定など細かい規則は多い。しかも車やバイクではなく「電車」という日常に接していながら運転をすることのないモノを操作するという、日常ありえないシチュエーションをゲームとして楽しむことができる本作。プレイを通して感じた印象をお届けする。
とある日の午後、『電車でGO!ポケット 山手線編』を入れたPSP片手に、山手線に乗ってみた。さてゲームはどれくらいリアルなのか実際の風景と見比ながらプレイしてみよう
 東京出身の者にとって、山手線は切っては切れない路線である。東京、上野、品川という地方へ向かう大動脈「新幹線」の発着駅や、新宿、渋谷、池袋といった様々な路線が入り乱れている巨大ターミナル、さらに学校や会社など沿線上に多数あるので、日常使用する路線として普段接している方は、多いであろう。
 『電車でGO!ポケット 山手線編』をプレイして一番の驚きは、映像ではなく、リアルに再現している音であった。駅ごとに違う発着の音楽や、扉を閉める際の警告音を耳にしたとき、電車に乗っていなくても、車窓のイメージが広がる印象を受ける。
 もちろん風景は言うまでもない。プレイステーション・ポータブルの性能の高さをこれでもかと感じさせるグラフィックは、ゲームを通して現実の風景を思い起こさせてくれる。
 さすがに看板類は同じではないものの、東京駅の駅舎や新宿駅から代々木にかけてのガード、モダンな恵比寿駅など印象に残っている風景がゲームの中で広がっているのは嬉しいものだ。
ゲームの画面写真に見える建物は、ビックカメラ有楽町店。下の写真と比べてもかなり似ている。線路奥にビルがないのは、ゲームが2003年1月現在のデータだからか。最限度は高い
 これまで何度もプレイしたことはあっても『電車でGO!』シリーズは、はっきり言って苦手であった。レースゲームにような「ヨーイ、ドン」で始まりゴールを目指すのではなく、「規律を守って、正しい運転」というのが、性に合わなかったからだ。
 しかし『電車でGO!ポケット 山手線編』は、初心者がすんなり遊べるように運転乗務に「入門ダイヤ」が用意されている。
 ナビゲート役の「鉄っちゃん」が、丁寧に運転や画面の見方を教えてくれる。これをちゃんと覚えておけば、マニュアルを読む必要がない。
 また『電車でGO!FINAL』から導入されている「チェインシステム」により、ぐっとゲーム性がアップし、中毒度が増している。
 これは次々現れる速度指定などを守って(クリア)していくことで、ボーナス得点を獲得することができる。さらに連続してクリアすれば、そのボーナスは大きなモノとなる。
 ゲーム結果で得たクレジットは、新たな路線を購入することができ、遊ぶことが可能な路線が増えていく。だんだんゲームに慣れてくると、電車マニアでなくとも、「違う車両で運転したら何が違うのだろうか?」と興味が沸いてくる。実は電車のことがかなり好きなのかも・・・と自分で思ってしまうのだ。
 また『電車でGO!ポケット 山手線編』には、やり込むことで変化していく「称号」が用意されている。またこの称号やプレイヤー名を名刺として他のプレイヤーと交換することが可能となっているので、友達同士で腕比べも可能だ。
 さまざまな遊びが豊富に詰め込まれており、携帯ゲーム機としての手軽さが、タイトルとしての魅力を高めている。実際に山手線に乗りながら、風景を見比べながらのプレイも楽しめるが、ちょっとした東京案内としてプレイしてみるのもいいだろう。
 興味はあったけど、遊んだことがないという方ほど、プレイして頂きたい作品だ。
ちょっと上手くなってくると、どれくらい「チェイン」が続けられるかが気になる所。いい成績になれば、よりよい称号をゲットすることができる
 

(C)TAITO CORP.1996,2005