無国籍者は、読んで字のごとく国籍を持たない人、どの国からも国民と認められていない人をさします。
無国籍者は、大きく二つのタイプに分けられます。ひとつは、「法律上の無国籍者(de jure stateless person)」で、もうひとつが「事実上の無国籍者 (de facto stateless person)」です。
【法律上の無国籍者】:1954年の「無国籍者の地位に関する条約」第1条第1項では、「『無国籍者』とは、その国の法律の適用により、いずれの国によっても国民と認められていないものをいう」と規定しています。
人は、通常生まれた時点で、父または母の国籍国の法律、または出生地国の法律により、自動的に国籍が決まりますが、なかには諸事情によりいずれの国籍も与えられない/取得できない人がいます。また、なんらかの事情で国籍を失う人もいます。こうした人々が、「法律上の無国籍者」にあたります。
【事実上の無国籍者】:法的にはいずれかの国籍を持っているのですが、国民として享受しうるはずの権利や保護を当該国籍国から受けられないでいる人々をさします。個人が与えられている「国籍」という名称の身分証明が、実質的な効力を持っていない場合、その人は「事実上の無国籍者」となります。
「法律上の無国籍者」と「事実上の無国籍者」は、法的な基準によって分別されていますが、その線引きは、ときに極めて曖昧となり、はっきり区別できないこともあります。しかし、いずれの国家からも、国民としての保護や権利を与えられずにいる点で共通しています。