|  | きょうの社説 2009年5月5日
◎こどもの日 「早寝早起き朝ご飯」の習慣を
早寝、早起きをして、朝食を食べるという生活リズムが整っている子供は、そうでない
子供に比べて、学習や運動能力の面で優れた成績を出していることが、近年の各種調査で明らかになってきた。大人の夜型生活が子供の就寝時間の遅れにつながるとの指摘もあるだけに、「こどもの日」を機に、大人もライフスタイルを見直し、家族で健康生活に転換してはどうだろう。 最近、家庭の食習慣の現状を象徴する新語として「ニワトリ症候群」という言葉が使わ れる。一人で食べる「孤食」、朝食を食べない「欠食」、家族それぞれ別のものを食べる「個食」、同じものばかり食べる「固食」の最初の漢字の読みをつないだ「コケッココ」から付いたものだが、浮かび上がるのは一家だんらんとはほど遠い寒々とした食卓の風景だろう。 「孤食」などは二十年以上前から言われ、その時代に育った人が子育て世代になった今 、家族そろって食べること自体が、特別なイベントという感覚で受け止められているとの指摘もある。「欠食」の弊害もあり、大人の夜型生活の影響で夜更かしして夜食を食べ、朝食抜きで登校し、寝るために保健室へ直行する子供もあるようだが、勉強にも身が入るまい。 始めに成績ありきではないが、昨年の全国体力テストの結果を見ると、石川、富山を含 めた成績上位県はおおむね朝食摂取率が高く、全国学力テストでも、正答率の高い学校は、朝食を欠かさず、ゲームなどに費やす時間が少ない子供が多いことが分かった。 政府は食育推進基本計画で、二〇一〇年度までに小学生の朝食欠食率を0%にする目標 を立てているが、最近は北陸でも地域ぐるみの「早寝早起き朝ご飯」運動に力を入れる自治体が出てきた。夜がメーンという印象が強い温泉地でも、湯涌などで地元の食材を生かした朝食と入浴を組み合わせたプランが人気である。 こうした地域社会の健康・朝食志向の広がりも背に、何より親自身が家庭の生活習慣を 見つめ直すことが重要だ。一日の始まりを少し前倒しすることで、家族と子供の生活のリズムをはぐくみたい。 
 
 
 
◎直轄負担金見直し 分権改革に踏み込めるか
政府の地方分権改革推進委員会が、国直轄公共事業における都道府県の負担金制度につ
いて、維持管理費の負担金廃止などを求める意見書を提出した。国直轄事業の地方負担見直しの本質は地方分権改革であるが、今回の分権委の意見書は、直轄事業の縮減と国出先機関の統廃合の必要性に触れる程度で、具体的に言及していない。 先の全国知事会と関係閣僚の意見交換会で、知事会側が将来的に公共事業の実施権限と 税財源を大幅に地方へ移すよう求めたのは、分権改革の本旨から筋の通った主張といえる。分権委は今年提出する第三次勧告で、税財源移譲について踏み込んだ提言が求められる。地方側も負担金の軽減要望にとどまらず、分権改革推進の意思が試されることになる。 直轄事業の地方負担金制度は、受益者負担の原則に基づいており、一理はある。しかし 、詳細な内訳の説明がないまま国から一方的に請求書が回される形であり、負担金に国出先機関の庁舎整備費や職員人件費まで含まれることに、地方側が不満を持つのも無理はない。住民に身近な行政は地方にゆだねるという分権の本旨に沿って、負担金制度も見直すときであり、分権委が直轄事業の範囲を「国が責任を負うべき最小限のもの」に限定することを説き、維持管理費の負担金廃止や負担金の積算根拠など情報開示の徹底を求めたのはもっともである。 ただ、建設費の負担金見直しにについては、国と地方の協議を促すにとどまっている。 この点に関しては地方も一枚岩ではない。直轄事業に付き合わされて地方の借金が膨らんだといった不満もあれば、地元の要望で行われる直轄事業も少なくないため、制度見直しに消極的な意見もある。 政府・与党は追加経済対策で行う公共事業の地方負担を軽減するため、新たな交付金を 補正予算案に盛り込んでいる。景気対策事業を円滑に行うためで、財政難の自治体にはありがたい措置だが、これが「懐柔策」となり、負担金見直しの声が弱まるのではないかと心配する向きもある。 
 
 
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