第2次大戦で戦死した画学生の絵画を集めた美術館「無言館」=上田市=で4日、成人式が開かれた。ノーベル賞物理学者の小柴昌俊さんがゲストで登場、新成人にはなむけの言葉を贈った。
無言館での成人式は7回目。県内をはじめ東北や九州など全国から30人が参加した。来館者も見守る中、両腕を失い口と足で描く画家水村喜一郎さんの話や、木の笛のコカリナを奏でる黒坂黒太郎さんらの歌と演奏に聴き入った。
小柴さんは一人一人に手紙を渡し、「戦争は悲惨。経験しなくとも『もうごめんだ』と頭に染みこませてほしい」とあいさつ。20歳の若者に「『本気でやる』という気持ちが起きるものを見つけてほしい。人から与えられるものじゃない。おじいちゃんの願いです」と呼びかけた。
浜松市の大学生内山悠さん(20)は「まだ定まらないが、何かをしないといけない気持ちがわいた」。心理学専攻の大学生清水彬奈さん(20)=仙台市=は「どの道に進むか決めかねているけど、誰かの隣で話を聞いてあげられる存在になりたい」と、それぞれの未来を見据えていた。
(妹尾聡太)
この記事を印刷する