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東海地方最大の貝塚・中縄遺跡の発掘調査を終えて
すでに新聞・テレビ等でご存じのように、 教育委員会では桑名市大字北別所字中縄の中縄遺跡の発掘調査を、 3月より行ってきました。雨や涌き水と闘いながらの発掘が、ようやく7月末に終了しましたので、掘りあがったばかりの発掘速報をお届けします。
古墳時代の地表面と思われる砂の層の上に、 カキを中心とした貝の層が厚く堆積し ています。堆積の厚い箇所では1、5m以上にもなっています。遠浅の砂地の海へ貝殻を捨てていたことがわかります。
住居の跡は発見されませんでした。遺跡の南側には日当たりの良さそうな台地がありますので、人間はそこに住んでいたようです。
土器・・・・・須恵器 すえき の壷、甕、 提瓶(貯蔵用の硬いやきもの)
杯身、杯蓋(食膳用の硬いやきもの)
土師器 はじき の壷、 甕、 甑(煮炊き用の軟らかいやきもの)
土錘(網のおもり)
石製品・・・・玉(ネックレスの石)
砥石
紡錘車 ぼうすいしゃ (糸つむぎに使う)
骨製品・・・・骨鏃 こつぞく (骨の矢じり)
刀子 とうす の柄(金属の刀をさして使う)
木製品・・・・下駄
杭
貝殻・・・・・干潟の貝(マガキ、オキシジミ、ヘナタリ、ウミニナ)
感潮域の貝(ヤマトシジミ、フトヘナタリ)
内湾の砂底の貝(ハマグリ、サルボウ)
内湾の泥底の貝(アカニシ)
外海の岩場の貝(サザエ)
田や沼の貝(タニシ、カワニナ)
魚骨・・・・・海水魚(ニシン、サメ、エイ、カレイ)
淡水魚(スズキ、クロダイ)
獣骨・・・・・シカ、イノシシ、ウマ
人骨・・・・・頭骨、指骨、上腕骨などが出土。老年初期(50歳前後)の女性の骨
遺跡の年代は土器などから古墳時代(6世紀、今から約1400年前)と考えられます。
桑名の古墳時代は、北伊勢最大規模の前方後円墳である高塚山古墳(桑名市大字北別所)や、 止山古墳(桑名市大字桑部)などの古墳がつくられていることから、 かなり栄えていたことがわかります。
中縄遺跡の大量のカキによる貝塚にはこうした背景がありました。
また、貝層には鎌倉時代(13世紀、今から約700年前)につくられたものもあります。
この層にはカキは非常に少なく、ハマグリやシジミが大量に含まれています。
鎌倉時代は、武士が力をつけてきた時代である一方、庶民が活躍するようになった時代でもあり、地方でも様々な文化が花開きました。
桑名は当時、「十楽の津」と呼ばれた港町が発展し、人の往来も盛んであったと思われます。
桑名を訪れた人々は、大きなハマグリにきっと驚いたことでしょう。
中縄遺跡は古墳時代の貝塚としては東海地方では最大級の規模のもので、 6世紀の約100年間に堆積した大量のカキは、 一般的な集落に伴うものではなく貢納を目的としたものと考えられる。
また、遺跡近郊では採ることのできない外海岩礁性のサザエの出土は、 伊勢湾沿岸での 広範囲の交易を想定することができる。
以上のように、遺構の規模や、バラエティに富んだ出土遺物、 また遺存状態の良好さなどから中縄遺跡は東海地方を代表する貝塚遺跡であるといえる。
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