2009年5月3日23時8分
全身感染性の強毒型として心配される鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)がインドネシアの豚に広がっていることが、神戸大感染症センターの調査で分かった。人に感染するタイプに変異したウイルスも見つかった。鳥インフルエンザの脅威も確実に高まっていることを示す結果だ。
神戸大チームは05〜07年、現地のアイルランガ大熱帯病研究所と共同で4州の豚計402頭の感染状況を調べた。
その結果、全体の1割を超える52頭からH5N1型ウイルスが見つかった。うち1頭から分離されたウイルスは鳥にも人にも感染するタイプとみられることが分かった。
鳥のインフルエンザウイルスが豚に感染を繰り返すうちに、人にも感染するタイプに変化したとみられるという。
H5N1型ウイルスは東南アジアの水鳥などに流行し、人にも感染する事例が散発している。世界保健機関(WHO)によると、03年11月〜09年4月に421人が感染し、うち257人が死んでいる。
研究を支援した理化学研究所感染症研究ネットワーク支援センター(東京・有楽町)の永井美之センター長は「今問題になっているものだけが新型インフルエンザではない。今回の調査結果は、鳥インフルエンザが新型ウイルスに変異する危険が依然大きいことを示している。引き続き監視が必要だ」と話している。(和田公一)