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>39< がん予防十五カ条の解説
15.たばこは吸わない.の続き. タバコと肺がんの関係は有名であるが,実はその他のがんも発生させる.特に喉頭がんは肺がんよりもっとタバコとの
因果関係がはっきりしている.咽頭がんや口の中にできるがん,食道がんなどとも関係が深いのである(図27).
非喫煙者のがんになる危険率を1とすると,喫煙者の危険率は肺がんでは4.5倍,喉頭がんでは32.5倍と,喉頭がんの方がとんでもなく高いのである. 喉頭というと声を出すところである.プロの歌手や大声を出す職業の人,カラオケなどで歌って,しゃべりまくっている人は,声がかすれることがよくある. 大抵は喉頭ポリ−プと呼ばれる病変で,良性である.時に,がんのこともあるので検査が必要である.タバコの吸いすぎでも声がかすれる.このような人の場合, 定期的に痰の中に剥離してくる細胞(喉頭や気管・気管支の内側を覆っている細胞)を顕微鏡で観察すると,細胞の形が次第にがんの形に似てくる.ある一線を 越してしまうと,喉頭がんや肺がんになってしまうのだが,喫煙期間の短い人では,タバコを止めてしばらくすると細胞の形が少しずつ元に戻っていく. ある一線をいつ越えるのかはまだ誰にも分からない. 喉頭鏡や気管支鏡(カメラ)で内腔をのぞきながら,喉頭や気管・気管支壁のごく一部をつまんで 取ってきても(内視鏡下生検),がんか否か決定し難い病変にぶつかることがある.ある病理医はがんと診断し,ある病理医は前がん病変(異形成)と 診断することがある.がんは元にはもどらないが,異形成のあるものはがんになるが,あるものはならずに済むこともある.
▼アメリカでの禁煙教育はナカナカ徹底している.小学校の子供達が親兄弟の喫煙者に対してガンガンと非難し,遠慮なくドンドン攻撃する.親たちも
完全にタジタジである.家庭でも,職場でも喫煙場所はなく,コソコソ吸うか,シブシブ止めざるを得ない.更に,喫煙者は就職も不利で,昇進もノロノロである.
保険料は高いし,イヤイヤ払っていても,喫煙を続けていると,病院での治療はオウオウにして拒否されることがあり,ナクナク喫煙を止める人もいる.
ソロソロ日本でも似たような状況になりつつある.
▼喫煙者のために少しだけ朗報を.喫煙者は感染症に対する抵抗力が強く,アルツハイマ−型痴呆やパ−キンソン病,潰瘍性大腸炎になりにくいという
デ−タがある.果たして事実だろうか.
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