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憲法9条、宇宙にも届け 科学者たちがネット署名(2/2ページ)

2009年5月4日

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 署名した一人、大阪市立大の菅野禮司(れいじ)・名誉教授(78)=理論物理学=は、国が北朝鮮のミサイル発射に便乗して宇宙の軍事利用を進めようとしているのでは、といぶかる。「過去の戦争の記憶が薄れている」と思う。

 冥王星を太陽系の惑星から「降格」させた06年の国際委員会で委員を務めた国立天文台の渡部潤一・天文情報センター長(48)も、「宇宙の憲法9条」ともいえる平和主義に貫かれた日本の宇宙政策を誇りに思ってきた。「日本は宇宙の平和利用を目指す国際ルール作りを主導できたかもしれないのに」と残念がりながら、署名に参加した。

 月刊の天文雑誌「星ナビ」(アストロアーツ社)編集人の川口雅也さん(48)は「『戦争のための』衛星が、私たちの見上げる空を横切る事態を見過ごせない」とエールを送った。軍事機密を理由に衛星の打ち上げ自体が隠されるのではないかと心配する。

 法案はほとんど議論もないまま民主党も賛成して昨年5月に可決、成立。先月下旬に示された宇宙基本計画案には、ミサイル発射を探知する早期警戒システムのセンサー研究が盛り込まれた。

 内閣官房宇宙開発戦略本部は計画案に対する国民の意見を募っており、石附さんはホームページを更新して「意見を送ろう」と呼びかけている。憲法9条を心の支えに、運動を続けていくつもりだ。(青田貴光、龍沢正之)

     ◇

 〈宇宙基本法〉 日本の宇宙開発の基本方針を定め、国民生活の向上、産業の振興、環境への配慮、国際社会の平和と安全の確保に寄与する姿勢を打ち出した。「宇宙開発利用は日本国憲法の平和主義の理念にのっとる」とうたう一方で、「我が国の安全保障に資する」とも記され、宇宙の本格的な防衛利用に道を開いた。

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