2009年 04月 07日
「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(60)

「ストリートビューというサービス開始の日
   ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(60)
       ;北口学 (Manabu Kitaguchi)

 2009年3月17日の参議院法務委員会質疑、法務大臣答弁部分の議事録をアップロードいたします。
 参議院議事録データベースより関係部分一部抜粋です。

以下、
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0103/main.html
全文を読んでみる

 上記より以下は関係部分を転載しました。

   ※   ※   ※

「第171回国会 法務委員会 第3号
平成二十一年三月十七日(火曜日)

   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     犬塚 直史君
     松浦 大悟君     林 久美子君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     犬塚 直史君     小川 敏夫君
     林 久美子君     松浦 大悟君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         澤  雄二君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                前川 清成君
                松浦 大悟君
                松野 信夫君
                簗瀬  進君
                青木 幹雄君
                秋元  司君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   国務大臣
       法務大臣     森  英介君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  漆間  巌君
   副大臣
       法務副大臣    佐藤 剛男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  早川 忠孝君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長事
       務取扱      小池  裕君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  小泉 博嗣君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小川 正持君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   二本松利忠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
   政府参考人
       法務省民事局長  倉吉  敬君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       法務省矯正局長  尾崎 道明君
       法務省保護局長  坂井 文雄君
       法務省入国管理
       局長       西川 克行君
       外務大臣官房参
       事官       石井 正文君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
    ─────────────
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。

(中略)

○松岡徹君 それで、私は、人権侵害、すなわちその方法としていじめとかプライバシーの侵害とか様々あると思いますが、次に、皆さんの今日の資料に出していますが、これは、皆さんも御存じのように、グーグルというところがサービスとして出している、皆さん、ストリートビューという住所検索サービスがありますが、これはグーグルの地元であるアメリカあるいは特にヨーロッパでも問題になっております。プライバシーの侵害だというふうに言っています。
 ところが、最近、このグーグルが、グーグルアースからこういう新たな検索サービスをしているんですね。皆さん方見てもらったら分かりますが、一枚目の左から、地球がありまして、その下は、アップしていきますと日本が出てきます。そして、右側に行きますと、これ、なぜか古地図が出てくるんですね。それをまたアップすると、日本の古地図が日本の現在の地図のところにズームアップしていくんですね。
 次のページ見ていただきますと、それが更に詳しく、これは東京の事例でありますが、東京でずっと上がってくる、下のところにその東京の現在の地図に対して上から古地図をはめていくんですね。それを右側でまたズームアップしていくんです。そうすると、その古地図にこういう図があります。ここに、逆さになっていますからあれですけれども、穢多村と書いてあるんですね。個人の名前まであります。
 次のページをめくっていただきますと、その古地図をまたズームアップして、それを、下の図ですね、下の図は現在のグーグルが、ずっとズームアップしてきた現在の地図のところとダブらせているのをお分かりですか。古地図と現在の地図をダブらせているんですね。そして、それが右側、現在の場所だとどうなるかというのでズームアップしていくんです、これ、右下。
 次のページを見ていただきますと、それを更にズームアップします。それを更にズームアップして、丸の印書いてあります。それがずっと丸の、点ですね、それをずっとやると市街地図になってくるんですね。最後は右の下、この現在の写真なんです。ズームアップしたところの写真なんです。これ、ここまでサービスがされているんですね。これは、今サービスが始まっているのは東京とか大阪とか首都圏が始まっています。グーグルは順次それを地方にも広げていこうということがあります。
 ここで、この例は、例えば古地図にあります穢多村、被差別部落、今のところね、出ています。東京では被差別部落は行政的にここがそうだというふうに地区指定していませんですから、なかなか分かりにくいんですね。しかし、古地図と合わすと分かってきているんですね。これが全国で展開されていく。私は、自分の住んでいる大阪にも一遍これやったら、きちっと出てくるんですね。出てくるんです。
 心配なのは、この古地図でも、いつの時代の古地図なのかによって変わってきます。中には、明治時代の古地図をダブらせるということもあるそうです。そうすると、日本の政府が以前やった、らい予防法に基づくらい村というのが古地図に載っているんですね、これ。それをズームアップしてくると、らい村というのが現在どこにあるかというところまで、古地図と現在とダブらせるということなんです。
 私は、グーグルがどういう意図でこのサービスを始めたのか分かりませんが、この状態は、こういうようなやつは私は人権侵害につながるんではないかというふうに思うんですが、大臣の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 今のお話は、この場でちょっと初めて詳しく伺ったものですから、とにかくとんでもない話だなというふうにまず基本的に思います。
 これをグーグルが主催してやっているんですか。いや、だれかがグーグルのあれを活用して……
○松岡徹君 グーグルのグーグルアースというサービスからこれが見えたんです。
○国務大臣(森英介君) いや、ちょっと今初めて聞いたお話ですのであきれかえっておりますけれども、法務大臣としてどうこうということはちょっと今とっさには申し上げられませんが、こういう問題があるということを重く受け止めたいと思います。
○松岡徹君 この前のサービスはストリートビューといって、ずっとやっていくと家の正面まで写真で出てくるんですね。グーグルのストリートビューという前のサービスは今でもあるんですよ。そして、住所検索をすれば、その家の写真まで映るんですね。たまたまそこに干し物が干してある、車が止めてあると、ナンバープレートや前で掃除している顔まで映る。それが、これはプライバシーの侵害だというふうな問題になっている。グーグルのストリートビューというサービス、これグーグルがやっているやつ。
 今回、グーグルが新たにこういう古地図とダブらせて現在の場所というのを検索するようなサービスを今は都市部で始まっています。これは東京のです。私は大阪ですから、大阪の分もアップしました。同じなんですね。
 私はこういう心配があるんです。これは人権侵害に当たるのかどうかなんですね。これは明らかにグーグル自身が始めたサービスなんですよ。これ、だれか、個人でも何でもないんです。これ、もし例えば個人がしたとしても、こういう検索のサービスは人権侵害に当たると私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(森英介君) 私もこのグーグルのストリートビューというサービスは知っておりますし、自分のうちも見て、余りリアルに見えるのでびっくりいたしましたけれども、それをこういうふうな使い方をしているのは、果たして本当にグーグルがやっているものやら、グーグル以外のだれかがそのグーグルのサービスを利用してやっているのか、いずれにしてもちょっと調査してみたいと思います。
○松岡徹君 だれがしているかということを私は言っているんじゃないんですよ。こういう行為そのものは人権侵害に当たりませんかと言っているんです。だれがやっているかということじゃなくて、個人がやったとしてもどうですかと。
○国務大臣(森英介君) やっぱりどういう定義かは別として、とても看過できない出来事だと思います。
○松岡徹君 看過できないというのは人権侵害にやっぱり考えられると、人権侵害につながるというようなおそれがあるという意味では看過できないというふうに理解させていただきます。
 私は、そこで大臣に聞きたいのは、例えばこれはだれが作ったかは別にして、私は、グーグルなんですよ、これ、グーグルの検索サービスでこれアップしたんです。それでいきますと、グーグルというのはどんな意図なのかはそれはグーグルから聞かなあきませんけれども、グーグルにしたらサービスなんですよ。よりそういうような情報を知りたいとかいう人なんです。だから、グーグル自身は人権侵害しようと思ってこういうサービスを始めたんじゃないと思うんです。
 ところが、我々からすればそれは人権侵害につながりますよ。例えば、なぜ人権侵害につながるんですかということは、しっかり指摘といいますか、その問題意識を持っていただかないかぬと思うんですね。例えば第二の地名総鑑のように差別的に扱われる可能性があるということですよね。
 そういう意味では、ここのこのサービス、具体的に私、説明させてもらいましたけれども、是非、これのどこが人権侵害に当たると、そういうふうにつながってしまうという可能性があるのか、それはしっかり見解としてはまとめていただきたいというふうに思います。実際にそれによって人権侵害の具体的な出来事が起きているかというのは、まだそれ把握できていませんからよく分かりませんが、それは是非とも要請をしておきたい、明らかにしていただきたいというふうに思っております。  (後略)


   ※   ※   ※

「グーグルアースで古地図を見よう!
グーグルアースはリアルな衛星写真を貼り付けた立体地球儀のようなものですが、実は衛星写真の代わりに古地図を貼り付けるレイヤ機能もあります。
googleearth.raifu.info/
東京(江戸)
東京(明治)
レイヤの使い方
バージョンの確認
全世界
ダウンロードの方法」

   ※   ※   ※

 上記はグーグルのHPなのですけど、大宣伝してますよね?グーグルが、いまなお、、、。

 グーグル日本法人以外は、下記のような行動も取っていますしね、、、

★「2008年10月28日に発表
「米Google,米Yahoo!,米Microsoftは,複数の人権団体と共同で,言論の自由とプライバシを守るための取り組み「Global Network Initiative(GNI)」を開始する。GoogleとYahoo!が米国時間2008年10月28日に発表した。」
http://nostreet.exblog.jp/9525965/」
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 また、米国からグーグル社法務担当が来日したときには記者会見の席で多数の記者を前にして下記の発言をして正当化と理解を求める発言を残しています。実際には言葉のような行動は一切見受けられないグーグル日本法人ですけれど、、、。
 下記は「インタネット・ウォッチ」(日本)など、多数のメディアが伝えた記者会見記事から抜粋です。

★「 Walker氏はストリートビューについて、「ほとんど魔法のような世界で、東京にいながらにしてニューヨークのタイムズスクエアを見ることもできる。実践的な用途としては、新しい家を探している人がその近所を見てみたいといったような、不動産関係にはとても有用なサービス。あるいは、たとえば舗装業者であれば、実際に道路を舗装する前に道路の幅を確認できる」とサービスの有用性を語った。

 一方で、「世界各地にはいろんな文化があり、皆様の危惧もあるかと思います」として、米国以外でサービスを展開するにあたっては技術的な対応を行ったと説明。人の顔にはぼかしが自動的にかかるような仕組みを取り入れたが、「技術は必ずしも完璧ではない」として、問題のある画像についてはユーザーからの通知によって削除する形で、ユーザーにコントロールを委ねているとした。

 Walker氏は、今後さらにストリートビューのサービスを世界的に展開していく上では、ユーザーからの意見を取り入れて改善していきたいと説明。「サービスを展開するにあたっては、法規制やそれぞれの国の持つ文化というものを、きちんとを考えながら対応していく。サービスがユーザーにとって良いものであれば、解決策は見つけられるはず」として、日本のユーザーからの意見を取り入れていきたいと語った。」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/29/20988.html
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 東京都個人情報審議会でグーグル日本法人は下記のように諸外国でのプライバシー問題の存在や関係機関での諸外国での対話や議論、事前対話などをしているという事を認識していた事も明言しています。その上で、日本では担当部署が政府中央官庁にはない、との勝手な理屈で、あたかも日本には配慮すべきプライバシー問題や人権問題がまったく存在しないという認識で「グーグル・ストリートビュー・サービス」や「グーグル・アース」サービス、古地図と現在の地図を重ね合わせるサービスと長期間に渡って展開してきたわけですか!?。人権侵害と差別煽動に満ち満ちた日本のインターネット世界を知らないとは言えないでしょう。知っていてなにも対応しなかったという事、各国の対応の必要性は米国法務担当が言及していたし、米国では人権団体との共同作業もしていると宣伝しているのに、、、、。
 ちょっと信じられない行動ですね、日本法人。強く反省と改善を求めたいと思います。
 これをいい機会に当事者組織や人権組織、人権団体などと直接対話をして欲しいと思っておりますが、唐突な白塗り措置は、その素晴らしいチャンスから自ら逃避し放棄するという行動でなければいいのですけれどね。被差別マイノリティ、障がい者などの人々との対話から、より素晴らしい日本サービスの地平は広がると私は思っています。アメリカのコレクターの古地図を掲載したのですが、日本の地図と重ね合わせるサービスを行っていたのはまぎれも無くグーグル社なのですから。
 インターネット上には、もう消せないこのサービスを活用した差別煽動の書き込みがすでにたくさん存在しており、放置されています。

 以下、東京都個人情報審議会でのグーグル日本法人の答弁などの議事録を掲載した「高木浩光@自宅の日記」より、部分転載です。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090204.html
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★「(前略)続けて藤原委員:「今日頂いたパンフレットの『よくある質問』によると、「Q.規制を受けたことはありますか? A.ありません。」とあるが、事前調整はやっているわけですよね。事前の規制を受けたことはあるんじゃないですかね。たしかに、グーグルを狙った法律等はないけども、各種法律とどうなるかという調整を、先ほど(プレゼンテーションで)おっしゃられたようにやっているとのことなので、この『よくあるご質問』の書き方は必ずしも正確でない*3。『アドバイスを頂いて運営しています』と書いてあるのだから、やっぱり事前の調整はやっているんですよね? であるとすると、『規制を受けたことはありますか』というのは……、ドイツでは強硬に反対している自治体がございますよね? そこについて議論はしているのですよね? 」
高橋和之委員:「今の質問とほぼ同じになるかと思うが、この事業を始められる前に、デメリット、問題になりそうなことについても検討されたんだろうと推測しているが、内部の検討過程で、どういうことを検討をされたのか。プライバシーについて当然考慮されたと思う。主務官庁に相談はされていないのか。」
<中略>(主務官庁はないという話)
グーグル「日本にはプライバシーコミッショナーが無いので事前調整しなかった」
グーグル藤田氏:「プライバシーについて、サービス開始前に関係者への説明はなかったのかですけども、日本では関係者への説明というのはしておりません。今考えると、しておけばよかったなと。意図的にしなかったのではなくて、海外では、先ほど(プレゼンテーションで)表に見せましたように、サービス開始前に接触しているではないかとご指摘がありましたが、これは呼びつけられてなんかこう(笑)無理矢理行ったというのではなくて、我々から率先して自ら説明したいとして接触したもので、とくにそこに、こういった規制が法律があるがために、許諾を得るためという趣旨で訪れていたわけではありません。では、どうして外国と日本でそういった違いがあるのかと思われるかもしれませんが、各委員ご存じのように、海外には、プライバシーコミッショナーと言いまして、プライバシー専門の中央政府機関が存在していて、日本もプライバシーを扱っているのは地方自治体で各課レベルではありますが、国の、霞ヶ関の政府で、プライバシー専門に扱っている専門機関というのは、私の勉強不足かもしれませんが、存在していない、窓口がないと判断しまして、そういった関連もございまして、事前に評価等、検討をさせて頂きます機会がなかったというわけでございます*4。総務省、経済産業省も、我々の事業に関係していますけども、各省ともプライバシーを専門に扱う局、課というのは存在していないと認識しております。もしあれば、もちろん我々は行ってたと思います。」
<中略>
藤原委員:「今進んでいることについて、事後でなくて、事前に展開することは可能なのではないか。」
グーグル藤田氏:「今後新しくサービスを展開する地方自治体には事前にお知らせしていきたいと思います。事前調整というのは、今考えると、我々の反省材料と思っています。言い訳にはなるかもしれませんが、プライバシーコミッショナーが存在していないというのが大きな点でした。2番目としては、地方自治体に事前に協議の場を持てばよかったと、今となっては反省しています。(後略)」



自治体可決意見書一覧(1)
http://nostreet.exblog.jp/10335072/
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自治体可決意見書一覧(2)
http://nostreet.exblog.jp/10335103/
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自治体可決意見書一覧(3)
http://nostreet.exblog.jp/10398189/
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40回目までの過去の連載内容の一覧
http://nostreet.exblog.jp/10564889/
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by hrosaka056 | 2009-04-07 18:54 | Trackback(2)
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