感染判明前の記者会見設定は河村流か--。名古屋市の河村たかし市長は2日、予定していた北海道の民主党衆院議員の応援に行く予定を中止した。1日に新型インフルエンザに市民が感染した疑い(結果はA香港型)が出たためだ。「日本一早い情報公開」を掲げる市長は、感染が確認される前に記者会見を設定。「市長同席の会見」との一報に一時騒然となった関係者の動きを追った。
市によると、感染が疑われた男性(33)は発熱などの症状があったため、1日午前に市の発熱相談センターに連絡。男性は米国からの帰国後だったため、感染症指定医療機関の病院に搬送された。午後1時ごろには病院から市側に簡易検査で感染疑いが報告されたが、河村市長に報告を上げていなかった。
河村市長が市幹部から連絡を受けたのは午後9時過ぎ。ウイルスを市衛生研究所に持ち込み、検査を行っていたさなかだったが、市長は午後10時17分には市役所に戻り10時半、11時半から自身が同席したうえで会見を開くことを決めた。市長同席のため報道陣は「感染確認か」と騒然となった。
会見直前の午後11時10分ごろ、新型ではないことが判明。この間市長は、舛添要一厚生労働相と2度、電話連絡を取り、会見の設定を伝えたが、会見時間の設定から、厚労省に先立って感染の疑いを公表する可能性もあった。
市幹部からは感染有無の確認後の会見を助言する声もあったというが、河村市長は「一刻も早く市民に伝えるべきだ」と話し、今後も同様のケースなどの場合、自ら出席し会見する意向だ。
河村市長の連休は2~6日、知人議員の応援などのため北海道に行く予定だったが、急きょとりやめた。【岡崎大輔】
毎日新聞 2009年5月3日 中部朝刊