2008-08-16 「岡田斗司夫の遺言番外編 寝言1」レポート提出_第三巻
■[岡田斗司夫]「岡田斗司夫の遺言番外編 寝言1」レポート提出_第三巻(完結)

※注 一ヶ月以上前なんですね。〆切(寝言2とか)がないんでダラダラしますよ。
ちなみに、以下は22:25以降でのお話です。
○映像解釈(その1) 「ジブリ実験劇場」
・で、こういう解釈はどこまで合っているのか分からないんだけどね。
・次にこれから大学でも講義する内容なんですが、ジブリ実験劇場「On Your Mark」です。
・なんだかんだ言ってもジブリの作品は毎回DVDで買っているんだよね。いい客だよねえ(笑)
・これを自分が見てみて「実際はこんなストーリー」だと考えたんですが。
・これがですね、かなり奇妙な作品なんですよ。
・この作品を知っている人?見た事ある人?あ、初めて見るって人がかなりいる!
・繰り返しのシーンが何度もあるんだけど、その際にちょっとづつ違っているシーンあるんだけど、これはポップミュージックというものを構造的に捉えたからなんじゃないかな。
・リフレインする際にアレンジをちょっとづつ変えていくってことをアニメでやるとどうなるのか?
・だから、このDVDでも他の作品とも違ってこのOn Your Markのみが「ジブリ実験劇場」としているのかの意味になったと。
※注 ここで歌詞なしverを最初に全部流してから説明。
○映像解釈(その2) 俺がやったらもっと凄いよ
・主人公が正義の側ではない。この突入の仕方なんて正義とはまったく違って。
・礼状なしじゃん。正義側だと突入とかする際にはどんなに悪くても礼状を用意するのにね。
→で、抵抗している人も降伏している人も、さらに泣き叫んでいる人も全て殺す。虐殺する側で。
・この頃ってオウムの事件があって、押井さんがパトレイバーや攻殻とかで公安/テロを作品で使っていったころで、権力側から作品を描こうとしていた頃で。
・で、この時に宮さんは「まてよ、パトレイバーとかでそうやるんなら、こっちだってもっとやれるよ!」って思ったんじゃないかな?
→でも、もっとやるならってことなんだけど、もっとよくない方向に行くんだよなあ(笑)会場:「爆笑」
・「心の闇を出す?俺がやったらもっと凄いよ!」「核を出す?俺が扱ったらもっと凄くなるんだよ!」って事なんだよね(笑)。
・じゃあ、次に歌詞付きverで流しながら。こっちの方がより分かり易いです。
※注 ここで下に歌詞付きを流して止めたりしながらの説明。
・この作品で最初に緑を出してその後にこの巨大な構造物。これってチェルノブイリ原発事故後にコンクリで固めたことのイメージなんだよね。
・核戦争後、事故後の世界。鉄条網が写るんだけど、それが朽ち果てて倒れている。時間が経過しているんだと。
・もう、回復は無理っていう死に絶えた世界だと。人間はドームの中でしか生きていけない。最初の車も完全密閉だし。
○映像解釈(その3) 俺がやったらこうだ!!
・宮さん本人は「見れば分かるよ」て言うけど、分かんないよ!!
・原子力の看板のマークでハヤオは分かるだろうって言うんだけどさ。
・これって東電がスポンサーとかだと絶対流せない。でもTVで二回ぐらいやっているってさ(笑)
・ここで教会があるのも死のサインになるんだろうし。
・この警察が突入するって所も入り方が後々リフレインの構造になっているんですよ。
・宮さんは多分「アキラとかパトレイバー?ヌルいヌルい。俺がやったらこうだ!!」ってことなんだろうけど(笑)。
※注 是非作品を購入してキレイな画像を見て下さい。周りの未来都市背景とか超絶レベルです。
・ほら、歌詞付きだとヒドさが増して行くでしょ(笑)「そして僕らは いつもの笑顔と姿で」ってところで虐殺していくし。
・歌詞を本当に解釈してそれをどのように表現すればいいのかってのをやっているだけど。
○映像解釈(その4) これは妄想です
・「埃にまみれた」ってところで血にまみれた服とかを出したり。
・これ(目を開いて死んでいる女の子)を見た時に震えたね。彼はこんな表現を未だかつてしたことがなかったし。
・これを見た時に思ったのが、これはevaですね。(会場:「ほおおお」)こんなことは庵野しかやれないよ。
・トトロでさ同時上映が蛍の墓だったじゃん。今回はその復讐戦かよ(笑)
※注 最初の上映が「耳をすませば」の同日上映だったそうです。
・ここで死人の服を引っぱったのが後々の翼の表現に対するメタファーになっているし。
・彼らにとっては助けられなかった少女に対する現実があるんだよ。
・ここで女の子が生きている、助かっている、ってのが見えるけど。
・ここで主人公達がフレームインする、、、はずなんですけど、これは妄想です!
→ここで暗闇から幻の様に入ってくる。ちゃんとしていれば、現実であったのならば横からフレームインするはず。
○映像解釈(その5) これは彼らの妄想
※注 オープンカーで連れ出すシーンに切り替わって
・ここで妄想だと分かるように、オープンカーで表現する。「これで分かるだろう?これは彼らの妄想!」ってことなんだよね。
→一番最初のシーンでの車は完全密閉で外の世界には出られないはずなのに。
・「流行の風邪にやられた」ってこの歌詞がいつもやりたくても行かない、童貞のオナニーであったり、躊躇しての失敗とか、状況が分かっていないこととかで、宮さんはこの歌詞をかなり正確に理解して作っているんだよね。
→やろうとしたんだけど出来なかった、ってのが青春の本質であるって理解して作ったからこそ。
・「行けそうな気がするから」って行けるは言わないし。
・チャゲアスのライブを見ると客席は僕らの友達みたいなのがいっぱいいるし、これからはチャゲアスを聴いていけばいいんじゃないかと(笑)
※注 本当に勘弁して下さい(笑)。そーいえば、ライジングサンでチャゲアスが出演が決まった時に、電気グルーヴの二人が話したトークが最高でした。皆さん要検索!
○映像解釈(その6) なにかいいことがあったんじゃないのか?
・「心の小さな空き地で」ってのが彼らの現実であり逃げ場でもあるんだけど。
・宗教施設に殴り込んで皆殺しにしたんだけど、それでもなにかいいことがあったんじゃないのか?
→そこで彼らの妄想が広がっていくんだけど。
・でも、現実では酒場でグダっているしかないんだけどね。
・だから、必要なまでにいろんなシーンを繰り返し繰り返しやっていることになるんだ。
・これは彼らの妄想だから、空想の産物であるのだから、シーン毎に酒場のシーンを混入しているんだね。
・こんなに入れる必要は本来ないはずなのに入れて行くのは、これが彼らの妄想であるから。
・ここで助けるシーンになるんだけど、ここからわざとコミカルにする。歩き方とか。それが妄想であると分かる様に。
・ここでの走り方とか、妨害する人をやっつけるのにこんなに簡単に風船みたくしてとか、そんな訳ないのにこのレーザーを簡単に解決するとか、タイヤを蹴るシーンとかでもね。
○映像解釈(その7) 彼女がもう死んでいる
・ほら、走り方もとたんにコミカルになったよね。
・ただ、ここで凄いのが、女の子を助け出して車に乗せるシーンでほら、チャゲが抱きかかえて運ぶ時に袋から出ている足が固まっているんだよね!
→これって、彼女がもう死んでいるってことを表しているんだ。
・過去の宮さんの作品でも同様のシーンがあるけど、こんな表現をしないで、生きているってことを表す描写をしていたはずだし。
・ここで女の子の目が開いたままになっている。これって彼女がもう死んでいるって証拠になるし、最初の目を開いて死んでいる少女と同じであるってことにもなるし。
・で、逆に妄想の中だと生き生きした表現になるんだけどね。
・彼らが警官だから空想がリアルになるんだよね。ここでbatendになっちゃう。「ああ、イカンイカン。やり直し」ってことなんだよね。
・「ダメ!ここからやり直し!助けるところから!」
○映像解釈(その8) こんな翼で空を飛べるはずないし
※注 車が突然空を飛ぶシーンで
・しかし、これはないよね(笑)
・空を飛ぶってことに、飛行機に対する知識やいろいろある宮さんが、こんな翼で空を飛べるはずないし、この車も飛ぶって思っていないよね。
・ここでの突入シーンが最初の宗教施設での突入シーンとのメタファーになっているんだよね。
→シーンを並べて見ると分かるんだけどタイミングとかが全部一緒。
・これはいい突入である。壁側から見るのと外側から見るのでね。
※注 上の看板に「注意●光!」「不保障生命!」「EXTREME DANGER」
・こんな風にタイヤを蹴るシーンもね。
・で、どこで手に入れたんだよ!どの車は(笑)
・この外に出たシーンからが現実の風景であり、この描写が死の世界を表しているんだね。
・ここで後ろに原発のサイロがあるのが現実である。
・元々呼吸できない世界でオープンカーで走るってことが、彼らの妄想であるってことで。
○映像解釈(その9) 虚構だから
※注 少女が飛ぶシーンから
・「僕らがこれを無くせないのは」ってのを宮さんは描こうとしている。童貞の妄想を。
・これってのが、彼らがアニメでやっている仕事の本質であり、作家が本質を語るスリリングな光景を見ることになる。
※注 後方に廃墟となった都市が確認できますね。
・彼女が飛んで行くんだけど、その時に一瞬見える黒い空があるけど、これが本来の本当の世界である。後で青空(妄想)になる。
※注 最後の車のシーンにて
・ここでの車が脇に反れて止まる。インディージョーンズでもなんでもそうだけど、ハッピーエンドだと向こう側に真っ直ぐ、どこまでも進んで行くんだけど。
・死の世界に裸で飛び出すので、そこで車は止まってしまうことでこれは分かる。
・でもね、この解釈が本当だと決して言いたくないのはこれがアニメだから。この世界が虚構だからでもあるからなんだ。
○映像解釈(その10) これでもくらえ!
・この作品の
0段目には、こういう作品を作りたい!という宮さんがいて。
1段上がると、皆殺しの後に死んだ女の子を上げるってのがあって。
2段目になると、本当はその奥にいると生きているかもしれない、でも助けると当局に捕まる、助けられて捕まって〜、うーんやり直し!ってのがあって。
3段目になると、逃げるのも成功するかも、放射能がないのかも、女の子だけでも助けられるかもって。
・で、アニメを作っている宮さん自身は親がトトロのdvdを買って子供に毎日見せるのは反対しているんだよね。
→今はしょうがないって立場でもあるんだけど。
・「そんなことをしないで、お外で遊べ!」「こんな作品を見ていないで外に行け!」っと。
→「そんなに言ってもやらないなら、これでもくらえ!」ってのがオニギリフィギアだと思っているんだけど(笑)
※注 子供(女の子)ができて、ある程度の年齢になると、毎日ジブリのビデオを見るようになるんですよね。同級生に「コストを考えると毎回借りるよりも、今の内に買っておけ。本当に毎日見るぞ。」ってアドバイスしましたし。まあ、自分の子供の頃は毎日ジャッキーチェンの映画を見ていたので、それに比べれば教育上いいんじゃないかい(笑)。
○映像解釈(その11) 息子は全然苦しんでいない
・これって彼の中でもアンビバレンツな立場でもあるんだけど。
・作家ってのは前作をどうしても超えようとするんだよね。トップを作って満足した自分と違ってさ。
・アニメってのは現実の世界に対するリテイクでありリプレイでもある。
・自分達には、嘘の妄想でしかない女の子を、助ける妄想をするしかできない。
・原子力で作られた資源で電気等を供給してもらって、自分のスタジオを維持して行って、アニメを作ることができる。
・スタジオ自体が環境破壊したものの資源で維持して行っているってことは〜。
・その女の子は幻かもしれないけど、みんなで見上げることしかできないのかもしれないけど。
・ナウシカでアレをやって、ラピュタで開き直って、紅でくたびれて、って勘違いしていたのかもしれないけど、これ見ると現役だと。
・これで現役バリバリなのだろうけど、苦しんでいるんだろうなあ。でも、息子は全然苦しんでいないんだろうなあ(笑)
会場:「大爆笑」
・全ては承知の上でやる。これってのが押井ファンの間では「確信犯」って言葉で表されているんだけど、宮さんはその反対をした。
・「違うんだよ。こうやるんだよ!」ってのがこれなんじゃないのかな。
・で、今度のスカイクロラはどうなるのかな?
※注 ここら辺で23:02と書いてありました。
8.後説&質問タイム
○質問いろいろ(その1) やりたいと
・こんなことをやっていると、全然終わらないよね(笑)
・今回のはお試し版!
・次は多分8月ぐらいにやるかも。いや、やりたいと!
・次回は構成を変えてさ。
・(レジュメを見て)最終兵器彼女をもう一度見ることによって、アキバ事件事件をもう一度いろんな方向から光をあてることによって、こんな見方になるよってのを。
・第一回遺言シリーズ番外編、寝言を終了します。
○質問いろいろ(その2) バイオ蛸酢
Q「On Your Markを見て、気になったのが、ハッキングをしている横に花束があるじゃないですか。ずーと気になっていたんですが。」
・メカを作っているとなりに豪勢なお酒があるじゃん。
・でも、酒場のメニューとかをよく見ると「塩サバ(合成)」「バイオ蛸酢」「本物 やきとり 時価」とかあるじゃん。
・それってこの世界ではこんなに資源がないってことなんですよね。
・でも、そこにお酒や花束があるってことは妄想の証拠だよね。
○質問いろいろ(その3) ハチクロ話
※注 質問内容を忘れました。すんません。
・はぐみの周りにいる人ってのは必ず不幸になるってのがあって。
・あらゆる芸術家は周りの人間を不幸にさせる。
・サバイバルfromピカソやアマデウスやサリエリ(?)って映画からも分かることなんだけど。
・その才能が理解できないならいいんだけど、はぐみの周りにいる人間は、はぐの本当の力を理解できるし、しているんだよね。
・これは作者の夢の世界であるし、それは期間限定でもあるんだ。
・はぐが最後に躊躇なく、周りの世界を捨てれるのが、凄いよね。
・その世界の本当の中心ってのがあの先生なんだけど。はぐが引き抜くってのは、その世界の崩壊を意味するんだけども。
・あの世界は崩壊したのは、あの世界の中心の先生を引き抜いて、自分の芸術をとったからでもある。
・それを描いたのは、作者が今までのままではおさまらないからこそだし。
○質問いろいろ(その4) さらにハチクロ話
・本当に恵まれていたら、オマケマンガであんなにアシスタントがいっぱい出るようなマンガを描かないよね。
・映画化されたら、アニメ化されたら喜んでいる。命を吹き込んでくれたって。
→本来の漫画家とかってのは、イヤな反応をするんだけどね。
・それってのは、アニメなどの製作現場を見て、そこにハチクロの世界を見てしまったからなんだ。
・「これだ」と思うんだけど、いざ自分の世界は?って見るとそれがない。
・これを言ってもいいんだけど、これを気持ちの悪いおっさん達が「いい、いい」って、それでいいんだよって。
・マンガ夜話内の内メッセージが「それはそこでいいんだよ」「また、それをやると少女マンガがやれなくなるよ」て(笑)
○質問いろいろ(その5) プレ集会
・あと、なんか質問ある?ないね?時間も遅いしさ。
・では、5万人集会のプレ集会ってことで(笑)
※注 終わって皆さんが会計に並んでいる最中に突然マイクを持って
・でさ、On Your Markをこんな見方していた人って何人いる?(数人が挙手)
・初めてみるって人があんなにいたから、そうか。
・次から見た時にみんなこんな解釈しちゃうよなあ(笑)
余談(その1):
今回もアップしましたけど、不味かったら閉鎖します。
dvdは超おすすめですよ。百瀬ヨシユキ氏&中田ヤスタカ氏の「ポータブル空港」/「space station No.9」/「空飛ぶ都市計画」が入ってますし。
余談(その2):
夏コミのカタログを見ているうちに、「岡田さんの遺言レポをファン側がまとめた同人誌ってのを作ってみるのはどないか?」って考えたんですよね。うーん、ネットでUPしてるし、怒られそう(笑)なんで意味ないかな?
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 1997/07/25
- メディア: VHS