「ガイナックスと岡田斗司夫は仲が非常に悪い」という話はどこから出てくるのか、ちょっと検証
ある語句で検索していて、教えて! gooの質問「庵野秀明と岡田斗司夫の現在の仲はどうなのですか?」を見つけた。2007年10月に投稿されたもので、回答が1件だけ寄せられていたのだが、読んで思わず笑ってしまった。以下に引用。
岡田斗司夫さんはほぼ社員全員からのクーデターで追放された形で会社を辞めているので、もう二度と会ってないでしょう。
けっこう誤解されているみたいだけれど、ガイナックスを辞めた岡田斗司夫氏と現在もガイナックスに在籍し続けている人たちとの関係は、一部のアニメファンの間で言われているほど悪いものではないそうだ。たしかに武田康廣氏が書いた「のーてんき通信」によると、岡田氏は社内でもかなり厳しい状況に追い込まれて退社したとされているが、やや誇張された表現なのではないかと思う。
退社後、近年になってもガイナックス、あるいはガイナックスのスタッフとの関係が断ち切られている訳ではない。1995年にニフティのフォーラム上に開設された「GAINAX ステーション」に岡田氏はけっこう頻繁に書き込みをしていたし、OTAKING SPACE PORT上で公開されている新オタク日記 2003年4月1日~4月15日の14日の日記には、山賀博之氏を含む数人と懐石料理を食べに行ったとの記述がある。日記が書かれてから20年前のことでした。よくチェックせずに事例として挙げてしまい、申し訳ありません。
また、昨年行われたトークイベント「岡田斗司夫の『遺言』」によると、鶴巻和哉氏に呼ばれて『トップをねらえ2!』の設定案を出していたそうだ。
なぜ仲が悪いといったような話が出てくるのか。その原因の一端はガイナックス関係の公式資料から「岡田斗司夫」の名前が徐々に消され、公式サイトであるGAINAX NET上の会社沿革にも名前が一切出てこない、「ガイナックス・インタビューズ」で岡田氏へのインタビューがない、などのことが関係している気がする。設立から90年代初頭までのガイナックスにおける、岡田氏の功績と影響力は特筆すべきであるはずだが、あえてそこを避けるように書かれている場合がある。こういったことをガイナックス側が意図的にやっているのかどうかは分からないが、トークイベント「岡田斗司夫の『遺言』第二章」で岡田氏自身も“作品のクレジットの「岡田斗司夫」の名前が徐々に小さくなっていくのは気持ちが悪い”と語っていた。
あくまで私個人が受けた印象ではあるが、ガイナックスについて扱っている同人誌を含めた書籍、雑誌を読んでいると、岡田氏側はわりと友好的な感じで書いている、あるいは語っていることが多い。それに対してガイナックス側は、岡田氏について触れる場合「のーてんき通信」のように比較的厳しい見方で書かれていたり、タブーであるかのようにぼかしていることも多い気がする。
なぜそのようなことになっているのかは、結局のところ分からない。ただ、岡田氏は徐々に名前が消されていくことに対して“パチンコ『トップをねらえ!』はある話だよなぁ”と冗談交じりに語っていたが、もっと声を大きくして言った方が良いのではないかとは思う。ガイナックスと岡田斗司夫の仲は非常に悪い、といった誤解をしている人は少なからずいるようだし、ガイナックスという組織に大きな足跡を残した“はず”の人の存在がうやむやのまま消されていくのは、一ファンとしても残念でならない。
蛇足になるが、前述したような意味も含めて、一連のトークイベント「遺言」シリーズはぜひ同人誌化、公式テキスト化して欲しいものだ(笑)。
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