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セブンスソウル 第十三話
キャロン/文


 「…やらんのか?…別に構わんぜ…」

 ジャッジの構えた針を、喉下に突き付けたまま、ハーミットは静かに囁く。

 だが、ジャッジの手はそこで止まり、震えたまま動かない。

 「…出来ない…僕には…」

 その状態のまま、ジャッジの目に涙が毀れ始める。

 「何でだハーミット!何故抵抗しないんだっ!?」

 「…言っただろ…ダチの大切さを…知ったんだよ…」

 その言葉を聞くと、ジャッジはようやく突き出した針を納める。

 「僕を…まだ友と思ってくれるのかい?」

 しかし、表情を変えず、ハーミットはジャッジの横を通り過ぎる。

 「…行くのか…ハーミット…」

 「あぁ…急ぐんでな…」

 

 通路の真中に立ち尽したまま、ジャッジは迷っていた。

 「僕は…どうすればいいんだ…」

 セブンスソウルの理想と、ハーミットとの目覚め始めた友情の狭間で。

 

 「…ジャスティ…貴様あああぁぁぁっ!」

 瞳に涙を浮かべ、それでも凛とした目でジャスティを睨み付ける。

 そんなハーミットをも、ジャスティはいつもの様子で観察していた。

 「…やはり…対処法三種…安全策…無し…」

 珍しく冷汗を流し、初めてジャスティは戦闘の構えを取る。

 「貴方はやはり優秀ですよ…安全策が思い浮かばない者なんて、貴方とオーラくらいなものです…」

 「グダグダ講釈タレてんじゃねぇよ…こっちゃ完全にブチ切れてんだ…」

 そう話していた瞬間、何処からか一発の銃弾が、ハーミット目掛け飛来する。

 「…フン…」

 だが、ハーミットは体を数センチ動かしただけで、その弾丸を余裕で避ける。

 ジャスティの背後に、銃を撃った片手の男が、笑いながら立っていた。

 「よく避けたなハーミットォッ!だがっ!貴様もここで終りだぁっ!」

 裏の通気孔から出てきたブレスが、ハーミットに己の持っていた銃を向けていた。

 「死ねええぇぇっ!ハーミットオオォォォッ!」

 ブレスが引き金を引く直前に、ハーミットは地面に転がる小石を投げていた。

 その小石は、僅か九ミリの銃口の中に侵入する。

 それに気付かず引き金を引くと、ブレスの銃は、激しい爆音と共に破裂した。

 「あぎゃああああぁぁぁぁぁっ!」

 銃の暴発で、残った片手も手首から先が吹き飛んでいた。

 「ヒッ!そ…総帥っ!助けっ!」

 ブレスの言葉を、ジャスティは呆れた様な顔で聞いていた。

 「…ブレス…貴方は本当に…無能ですね…」

 「へ?」

 ジャスティの手が、ブレスの頭を鷲掴みにする。

 「何度もチャンスを与えたつもりですが…無能に用はありません…消えて下さい…」

 「ちょっと…嘘ですよね…ちょっとおおぉぉぉっ!?」

 そのまま、ブレスの頭を握り潰そうとする。

 「何でっ!?行く行くは俺をっ!ナンバー2にまでしてくれるって言ったじゃないですかぁっ!」

 「やれやれ…まだ解らないんですかねぇ…」

 握る度に、ブレスの頭蓋骨は悲鳴を上げる。

 「…嘘に決まってるじゃないですか…騙すのは得意でも、騙されるのには慣れてなかった様ですね。」

 「そんな…総帥…止め…」

 強さはさらに増し、ブレスの耳や目から、血が流れ出る。

 「ヒッ!アヒイイイイィィィィィッ!」

 そして、卵を割った様な音と共に、ブレスの頭から脳漿が毀れる。

 微弱な痙攣が起こる、そして。

 

 セブンスソウル ブレス(本名 王 英淋)三十二歳 死亡。

 

 「…邪魔者は…居なくなりました…」

 ハーミットは無言のまま、桜の目を覆っていた。

 「余計な真似しやがって…俺の溜まった鬱憤…どうしてくれるんだ?」

 再び、二人は戦闘態勢を取る。

 「私では、役不足ですか?」

 「そんな事は無い…テメェも…充分殺してぇからよ…」

 二人の距離がジリジリと、距離を縮めていく。

 「安全策無し…私も、相当なダメージを覚悟する必要がありますね…」

 そして、制空権が触れた瞬間、二人の体が激しくぶつかり合った。

 「おおおおぉぉおおぉぉぉぉぉっ!」

 

 ハーミットの拳が、ジャスティの蹴りが、時には当たり、時には空を切る。

 凄まじい乱打戦、両者の攻防は互角。

 だが、一撃一撃が命中する度に、その戦況は次第に変化する。

 体格で勝るハーミットの一撃は、そのダメージでジャスティを上回っていた。

 「ぐうぅっ!」

 ハーミットの間隙を縫った一撃で、ジャスティが大きくずり下がる。

 「…アホな…ワイらかて…カスりもせぇへんかったのに…」

 「ハーみんって…こんなに強いんだ…」

 体制を崩したジャスティに、間髪入れずにハーミットの追撃が始まる。

 不安定な状態で、連続で打撃を受けるジャスティは、次第に防戦一方になる。

 (いける…頼む…ハーミット…奴が…気付く前に…)

 

 「…なに?…この曲…」

 突然だった、何処からか音楽が聞こえてきた。

 「…これは…夜想曲(ノクターン)ですわ…」

 「何でこないな時に、音楽なんぞ掛けとんねん?」

 その曲が聞こえてきた途端に、ハーミットの攻撃の手が止まる。

 「…何故…だ…」

 その額からは、激しい運動でも決して流れなかった、冷たい汗が流れていた。

 「私の奏でる旋律を聴いたからですよ…」

 「…旋律?…音なんて…流れてんのか?」

 ハーミットの顔から、血の気が引いてくる。

 「貴方は四六時中、MDを聞いていますからねぇ…今もそうだったんでしょう?…戦闘のリズムを作る意味もある様ですし…」

 「説明に…なってねぇぞ…」

 次第に力を失い、ゆっくりと膝を落とす。

 その光景を見て、桜達は己の目を疑う。

 「なんでっ!?何があったのっ!?」

 「そんな…嘘ですわ…」

 倒れ行くハーミットを見下ろしながら、ジャスティは薄らと笑みを浮かべていた。

 「…声帯と横隔膜を左右に分け、両の肺から別に振動を送り…四個所から同時に発声する…その同質の音声ながらにして別の音階が、耳で信号化される際に一定の命令電波と化す…」

 ハーミットが倒れた後ろには、血の着いた剣を持った、小狼が立っていた。

 「これぞ私の最終奥義!死想曲(マーダラス・シンフォニー)!」

 

 「…おれ…一体…何を…」

 小狼自信、何をしているのか理解していない様子で、ただ呆然としていた。

 「少々、苦労しましたよ…この技は効果が表れるまで時間が掛りますから…」

 背中から刺されたハーミットは、動く事もままならず、その場に倒れている。

 「形勢逆転と言ったとこでしょうか…」

 まだ音楽は鳴り続けている、その影響は、次第に他の者達にまで影響を及ぼしてきた。

 「…何やっ!?…体が…動かへんっ!?」

 危険を感じた桜は、即座に一枚のカードを出す。

 「ソングッ(歌)!」

 桜の耳に、カードの歌声が響き渡る。

 「ほう…中和する事が可能ですか…」

 しかしジャスティは、桜には目も繰れず、一直線にハーミットへと向かう。

 「彼女は後でどうにでもなります…しかし…貴方は先に始末しておいた方が得策でしょう…」

 ハーミットは必死に立ち上がろうとする、だが。

 「がはぁっ!」

 口から多量に吐血し、膝に力が入らない。

 「畜生…こいつ…集団催眠まで可能だなんざ…聞いてねぇぞ…」

 「驚いている様ですね、ですが…もう終りにしましょう…」

 「ッザケんな…終りを告げる合図は…テメェの…断末魔だああぁぁぁぁっ!」

 叫びながら放った、ハーミットの渾身の拳も、ジャスティに簡単に受け止められた。

 「閃光の様だった貴方の拳も、もう見る影も有りませんね…」

 ジャスティはそう呟くと、掴んだハーミットの腕を、力任せに捻り出す。

 その腕は、鈍い音と共に、綺麗に一回転した。

 「うがああああぁぁぁぁぁっ!」

 「やめてぇっ!ハーみいいいぃぃんっ!」

 桜の叫びも届かず、ハーミットの右腕は完全に破壊された。

 

 「やめてくれぇっ!」

 司令室に向かう通路から、ジャッジの叫びが聞こえてきた。

 「…ジャッジ?どうしました?」

 「総帥…もうやめて下さい…ハーミットは…仲間じゃないですか…」

 「仲間?…裏切り者ですよ?…彼は。」

 「違うっ!ちょっとした行き違いがあっただけですっ!ハーミットは…」

 その目に、薄らと涙が毀れ始める。

 「僕達に…初めて出来た…大切な仲間じゃないか…違うのかい…」

 表情を変えないままのジャスティに向かい、ジャッジの声はさらに強まる。

 「違うのかいっ!?兄さんっ!」

 「なっ!?」「兄弟っ!?」

 そう言われても、ジャスティの顔色に変化は無い。

 「…仕方の無い人ですねぇ…」

 溜息を吐いた後、ジャスティは今度はジャッジに向かい歩く。

 その時、ハーミットの脳裏に、死際のブレスの言葉が過った。

 (…ナンバー2に…約束?…嘘だったが…何故…ジャッジは…まさかっ!)

 「離れろぉっ!ジャッジイイィィッ!」

 「?…ハーミット?」

 ハーミットの叫びが木霊した直後、ジャスティの一撃がジャッジを捉えていた。

 「ぐああぁっ!」

 吹き飛んだジャッジは、混乱した面持ちで立ち上がる。

 「何でだ…兄さん…何で…」

 「簡単ですよ、私の目的が、世界を手中に納める事だと知れば…貴方も裏切っていたでしょう…」

 「そんな…嘘だよね兄さん…僕達は…僕達の様な人間を…二度と出さない為に…」

 涙を流しながら訴えるジャッジを見下ろし、ジャスティは。

 笑っていた。

 「フフフフ…まだそんな事を言ってるんですか…どの道…皆には死んで頂くつもりでしたから…」

 「何で…兄さん…何でっ!?」

 「…解りませんか…頂点は、一人で充分なんですよ…裏切られても困りますからね…」

 

 「ジャスティイイイイィィィィッ!」

 ハーミットが、残った拳でジャスティに殴り掛る。

 だが、またあっさりと受け止められてしまった。

 「ハーミット…貴方は…とても優秀でしたよ…とてもね…」

 その直後。

 ジャスティの無数の拳が、ハーミットの体を無差別に叩き伏せる。

 「うごおおあああああぁぁぁっ!」

 崩れ行くハーミットの体に、さらに強烈な最後の一撃が襲う。

 胸に命中し、何かが砕ける激しい音と共に、ハーミットは壁際まで吹き飛ばされた。

 「…あぐっ…」

 

 「…胸骨の砕ける…良い音がしましたね…」

 壁に凭れ掛ったまま、ハーミットはピクリとも動かない。

 「…嘘…返事をしてぇっ!ハーみんっ!」

 桜の叫びにも、ハーミットは何の反応も示さない。

 「やだ…そんな…いやあああああぁぁぁぁぁっ!」

 「人の心配をしている暇が…貴方にあるんですか?」

 ジャスティが呟くと、周りの、ジャスティの死想曲に操られた仲間が、桜に向かって歩み寄る。

 「何でだ…体が…勝手に…」

 意識は存在しているにも係らず、体の自由が効かない。

 「言ったでしょう…鼓膜から同質の振動を、三つも一度に感じているのです…その周波数を調整すれば、簡単な催眠術になるのですよ…難点と言えば、全員同時に簡単な命令しか出来ないと言った処でしょうか…」

 「説明はエエわっ!何させる気やっ!?」

 「そうですね…軽い拷問にでも…付き合って頂きますか…」

 そう呟くと、ケルベロスの体が、その意思に関係無く動き出す。

 そしてそのまま、ケルベロスは桜の体を押し倒した。

 「なにっ!?ケロちゃんっ!?」

 「駄目やぁっ!体の自由が効かんのやぁっ!」

 ケルベロスの体も悲鳴を上げていた、本来なら立つ事も出来ない筈なのに、それを強制的に動かされている故に。

 「殺しはしませんよ…カードの使い手が居なくては、手に入れても意味がありませんからね…」

 さらに、ケルベロスの体に変化が生じる。

 その意思に関係無く、自分でも存在すら忘れていた生殖器が、突然怒張し始めた。

 「何やっ!?ワイにこないなモン付いとったんかっ!?」

 中型の犬でさえ、その生殖器の大きさは人間を越えるものがある、まして大型のケルベロスの生殖器では、成人男性のそれを遥に上回る。

 「…生かしたまま苦痛を与えるには、これが最も効果的ですね…その為に生かしておいたんですよ…」

 ケルベロスは大体の察しは付いていた、自分がこれから、何をさせられるのか。

 「あかんっ!さくらぁっ!逃げえっ!」

 そう言うが、桜の両腕をしっかりと拘束しているのは、ケルベロスの両の前足だった。

 その状態のまま、後ろ足で桜の衣服を下着ごと引き裂いた。

 「やだ…ケロちゃん…やめてぇっ!」

 

 「…仲間に強姦されると言う心理的ダメージは、想像より遥に高い…相手を信頼している程ね…」

 ジャスティは再び椅子に座り、その光景を片肘を突いて静観している。

 「さらに…その事実は生涯心に残り、死ぬまで貴方を苦しめ続けるんですよ…最高でしょう?」

 「クソッタレがぁっ!オドレのエエようになって堪るかいっ!」

 必死の抵抗も虚しく、口だけしか自由に動かす事が出来ない。

 「小僧ぉっ!ワイのイチモツッ!バッサリ行ったれやぁっ!さくらを泣かすくらいならこないなモンいらへんわっ!」

 「くっ…駄目だっ!おれも動けないっ!」

 「嫌や…ワイかてこないな事したかないっ!したかないんやぁっ!」

 どんなに叫んでも、ケルベロスの体は、次第に桜と重なって行く。

 「やだ…やだ…やだぁっ!」

 暴れる桜を眺めながら、ジャスティは悠々と笑みを浮かべていた。

 「何なら開放して差上げても宜しいのですよ?…手を貸す気になって頂ければの話ですが…」

 それでも桜は、毅然とした表情で、ジャスティを睨み付ける。

 「それもやだ…絶対にやだっ!」

 「…仕方ありませんね…では…」

 死想曲の旋律が、さらに大きく響き渡る。

 「泣き叫んで貰いましょうっ!」

 ケルベロスが己の性器を、押さえ付けた桜の秘部へと押し付ける。

 「ジャスティッ!オンドレェッ!必ず殺したるぁっ!」

 だが、操られた体は、桜を容赦する事無く貫いていった。

 「いぎっ!きゃああああぁぁぁぁぁっ!」

 

 「…う〜ん…良い声で鳴きますね…」

 串刺しにされた桜の秘部から、一筋の血が流れる。

 その巨大さから、桜の小さな膣口では、全てを受け切る事が出来なかった。

 「ひっ…あう…」

 裂ける程の行為では、苦痛のみしか存在しない。

 「…堪忍や…さくら…堪忍や…」

 己の無力さを痛感しながら、ケルベロスも涙を見せていた。

 「泣いてる暇は無いでしょう?まだこれからなんですから。」

 二人の感情など完全に無視し、ジャスティの死想曲はケルベロスを突き動かし続ける。

 「ぎゃうっ!痛っ!ひぎぃっ!」

 体を引き裂かれそうな痛みの中、桜も抵抗を続ける。

 しかしケルベロスの巨体は、桜の腕力では全く動じる事は無かった。

 「痛いっ!痛いよぉ…」

 どんなに涙を流しても、その責めは止まる事は無い。

 小狼もユエも、その光景から目を反らしていた。

 「…御覧になったらいかがですか?…こんなショーは滅多に見られるものではありませんよ?」

 ジャスティの言葉にも、二人は反応しない。

 そんな内に、ケルベロスの体に変化が起こる。

 「ひっ!やあぁっ!あうぅ…」

 突然、大量の精液が桜の中に排出さてた。

 だが、それでも終る事無く、ケルベロスの性器はさらにその大きさを増した。

 「やだっ!なんでっ!?いやぁぁぁっ!」

 「…やはり犬と変りありませんね…一度射精すると、終るまで抜けない様にサイズが変化すのですよ…」

 「そんな…やぁっ!いぎぃぃっ!」

 その巨大な物は、桜の血に塗れながらも、その勢いを弱めずに犯し続ける。

 「やめてぇ…もう…壊れる…」

 抵抗する力も失せ、桜はただ犯されるがままになっていた。

 

 (嫌や…こないな事するくらいなら…殺された方がマシや…)

 不甲斐無さに涙しながら、ケルベロスも必死にこの行為を止める手立てを考える。

 「さくらぁ…また…ワイは…何も出来んかった…」

 一つの決心を固め、桜に静かに語り掛ける。

 「絶対に嫌や…さくらを泣かすなんて…死んでも嫌や…」

 唯一自由に動く口を大きく開き、その舌を突き出す。

 (さくらを泣かさん為なら!この命!喜んで差し出したるっ!)

 「ケロちゃんっ!?だめええぇぇぇっ!」

 その口を、勢いを付けて閉じる、だが。

 舌を噛み切る寸前で、桜の腕がそれを止めた。

 「あうっ!」

 腕を牙で貫かれ、呻き声と共に、血が流れ落ちる。

 「…さ…さくら…何でや…」

 「…ケロちゃんは…悪くないもん…」

 桜は痛みを堪え、笑顔でケルベロスの首に手を回す。

 「だから…そんな事しないで…私なら平気だから…」

 その囁きを聞いて、ケルベロスの目からまた涙が溢れる。

 (誰か…助けてくれっ!これ以上っ!さくらを苦しめんでくれぇっ!)

 

 「…茶番ですねぇ…この行為は効果が薄いのでしょうか…」

 ジャスティは立ち上がり、桜の下へと歩いていった。

 「もういいですよ、離れなさい。」

 そう言うと、ケルベロスの脇腹を、ゴミを退けるかの様に、無造作に蹴り上げる。

 「ぎゃおうぅっ!」

 「ケロちゃんっ!?」

 横転しながら倒れ、また動かなくなってしまった。

 「仕方ありません…シンプルですが…直接苦痛を与えるのが最良ですかね…」

 冷酷な目をして呟くと、桜の腹部を足で踏み付ける。

 「うぎゃっ!」

 その衝撃を受けて、うつ伏せになって苦しむ桜の髪を掴み、自分の目の前まで引き上げる。

 「どうです?言う事を聞く気になりましたか?」

 「…やだ…絶対…」

 桜が答えた瞬間、髪を掴んだまま、その顔面を地面に叩き付ける。

 「ひぎっ!」

 さらに、再び引き起こし、またジャスティは話す。

 「どうです?言う事を聞く気になりましたか?」

 「…や…絶…対…」

 答えた直後、またジャスティは桜の顔面を、今度は三度地面に叩き付ける。

 そして、再び引き起こした。

 「どうです?言う事を聞く気になりましたか?」

 桜は虚ろな目のまま、それでも口を動かそうとする。

 「…や…だ…」

 それを聞いて、再びジャスティは桜の顔面を地面に向ける。

 「さくらぁっ!」「やめろおおおぉぉぉっ!」

 小狼とユエの叫びなど聞く筈も無く、また地面へと叩き付けられる。

 「どうです?言う事を…ぐぅっ!?」」

 同じ質問をしようとしたその時、ジャスティの動きが突然止まる。

 「さくらちゃんに…それ以上酷い事をしたらっ!わたくしも許しませんわっ!」

 その背後では、ハーミットが戦いの最中に落としたナイフで、ジャスティの背中を貫く知世の姿があった。

 「何故だ…私の死想曲の中で…何故動ける…」

 困惑するジャスティに、さらに知世はナイフを突き立てる。

 「…頭に乗るな…」

 だが、不意打ちではない二回目は、あっさりと受け止められてしまった。

 

 「…まさかこいつ…絶対音感の持ち主か…」

 絶対音感は、死想曲の同質の多重音声の招く混乱、それを一音づつ聞き分ける能力を持つ。

 この能力を持つ者には、死想曲は通用しない。

 「…目障りですね…」

 初めて感情を表に出したジャスティの拳が、知世に目掛けて放たれた。

 しかしその腕は、突如飛来した三本の長い針の様な物に貫かれる。

 「ぬぉっ!?」

 慌てて飛んで来た先を振り向くと、そこには先程と同じ針を構えたジャッジの姿があった。

 「ここにも居るよ…兄さんの死想曲を封じる事の出来る、貴方と同じ音質の持ち主がね…」

 「…ジャッジ…予想外ですね…貴方が私に手を上げるなんて…」

 「僕の反逆は、予想済みだったんじゃないのですか?」

 「勿論です…しかし…私相手に抵抗するとまでは考えてませんでしたよ…」

 恐怖で腰を抜かし、座り込む知世を余所に、ジャスティはジャッジに向き直る。

 「私が居なければ何も出来ませんでしたからね…貴方は…」

 「そんな事はないっ!」

 再びジャッジは、持っていた針を投げる。

 それは弾丸よりも速く、ジャスティに向かって飛んだ。

 それでもジャスティは、何事も無かったかの様に悠々と避ける。

 「ハーミットと出会った八年前!あの時から僕のパートナーは兄さんじゃないっ!」

 今度は指の間に針を挟み、その状態の拳で突き掛る。

 「そして兄さん…貴方は狂ってしまったっ!」

 その拳すらも、ジャスティは余裕で受け止める。

 「忘れたのかい…僕達がやろうとしていた事を…父さんの最後の言葉をっ!」

 ジャスティは、その状態のまま、何も語らずにジャッジの言葉を聞く。

 「復讐など考えるなっ!恨むならこの世の歴史を恨めっ!それが父さんの最後の言葉だっ!」

 「ええ…聞いてましたよ…諜報部員だった父が、政府に証拠隠滅の為、殺される前に言った言葉ですよ…」

 「そうだっ!僕達はフランスに復讐なんて考えなかったっ!父さんの言葉通りっ!権力の歴史に終止符を打つ為に戦おうとしたっ!それなのにっ!」

 ジャッジの目に、涙が溢れる。

 「兄さんは…逆に権力の虜になってしまったのか…こんな…弱者を踏み躙る…醜い力の…」

 「…ジャッジ…」

 ジャスティの囁きに反応し、泣きながら下を向いていたジャッジが顔を上げる。

 「…兄さん…」

 ジャッジが頭を上げると、ジャスティは。

 笑っていた。

 「貴方も…本当に馬鹿ですねぇ…」

 

 「うごあああああぁぁぁぁっ!」

 その直後、膝で胸を、拳で顔面を強打され、ジャッジは地面にバウンドしながら倒れる。

 「力こそが絶対なんですよっ!力が無いからこそ蹂躙されるのですよっ!」

 「…兄さん…もう…貴方は…」

 笑い続けるジャスティの背後から、突然剣を構えた小狼が飛び掛る。

 「貴様あああぁぁぁぁっ!」

 しかし、それも振り向きもせず、難無く避けた。

 さらに蝿でも払うかの様に、無造作にその顔面に裏拳を入れる。

 「ぐあっ!」

 「おっと…気付かぬ内に、死想曲を解除してしまった様ですね…」

 吹き飛んだ小狼には見向きもせず、ジャスティは再び桜の下に戻る。

 「まぁ、もう必要は無いでしょう…動ける者も少ない事ですし。」

 桜は痛みを堪えながらも、一枚のカードを取り出し、その名を呼ぶ。

 「ファイ…アリ…」

 その声を聞いた瞬間、ジャスティは桜のカードを持つ手を、足で踏み付ける。

 「ぎゃあぁっ!」

 手から乾いた音が響く、折れるまででも無くとも、ヒビは入った様だ。

 「…どうも腑に落ちませんね…私が惹かれたクロウカードの力とは…この程度の物だったのでしょうか…」

 落ちていたカードを拾い、考え込んでしまう。

 「中国の文献にありましたよ…世界最高峰の魔道士の創りしカード…世界を闇に染める程の力を持つと…見てると、とてもそうは思えませんね…」

 そのカードを眺めながら、ジャスティはまだ怪訝な顔をしていた。

 「…何と…書いてあるんでしょう?」

 その光景を見ていたユエが、動かぬ体で、突如叫び出す。

 「よせ…誰かぁっ!奴を止めろおおぉぉぉぉっ!」

 だが、誰も動ける筈も無く、ジャスティは手に取ったカードの名を読む。

 「…ファイアリー?」

 

 巨大な炎が巻き起こった。

 恐らくは、以前に桜が放った炎の、約十倍の火力。

 その炎は、標的が定まらぬまま、隅に転がっていたブレスの遺体に衝突する。

 「何っ!?」

 驚いていたのは、当のジャスティだった。

 彼の目の前で、その炎はブレスの肉体を焦がし、さらには灰にまで変える。

 「何て事だ…遂に…恐れていた事が…」

 自分でも信じられない顔で、ジャスティはカードを見詰める。

 「…初っ端から…己の魔力で放っとる…」

 朦朧とする意識の中、ケルベロスもその姿を目にしていた。

 「馬鹿な…封印の鍵も無いのに…最初からカードの力を制御出来るなんて…それじゃ…奴の魔力は…」

 頭だけを起こし、小狼も呟いていた。

 「…クロウさん…以上…」

 桜がそう呟くと、ジャスティは顔を上げる。

 その顔は、次第に笑い顔へと変化していく。

 「そうだったのか…これが…私がクロウカードに惹かれた…真の理由…」

 そして、ジャスティに悪魔の笑みが満ちる。

 「導かれたのだっ!力にっ!運命にっ!」

 

 「全ての合点が付いた…奴に…誰の魔法も通用しなかった訳が…体格に圧倒的な差のあるハーミットと…互角に戦えた訳が…」

 「無意識で…魔力を使っとったんや…あいつ…」

 ジャスティは、その邪悪な笑いを浮かべたまま、桜に向き直る。

 「やばい…奴がさくらを生かしておいたのは、カードの使い手が居なくなると意味が無かったから…」

 「せやっ!己でカードが使えるって事はっ!もうさくらは用済みっちゅう事やっ!」

 傷を負い、思う様に桜は動けず、ただジャスティの恐怖に怯える事しか出来ない。

 「さくらちゃんっ!」

 その時だった、唯一動ける知世が桜を抱え、そのまま離れようとした。

 だが、知世の力では、引き摺る様にゆっくりと運ぶ事しか出来ない。

 「だめ…知世ちゃん…逃げて…」

 「そんな事出来ませんわっ!さくらちゃんを残して一人で逃げるなんてっ!」

 「お願い…もう…勝てないよ…だから…知世ちゃんだけでも…」

 「弱音を吐くなんてっ!さくらちゃんらしくありませんわっ!」

 必死に桜を運ぶが、既にその進行方向には、ジャスティが待ち構えていた。

 「…邪魔ですよ…」

 知世が振り向く前に、その蹴りが脇を強烈に蹴り上げる。

 言葉も出せず、知世の体は高く浮き上がり、地面に向かい落下する。

 「アカンッ!あのままやと頭から落ちるでっ!」

 「知世ちゃあぁぁぁんっ!」

 地面に衝突する直前、その体を何者かが受け止めた。

 「…あなたは…ジャッジ…さん?」

 一撃で意識を失い欠けた知世が、虚ろな目でジャッジを見詰める。

 「もう…こんな事は終りにする…兄さんを止めるっ!」

 「ほう…出来るのですか?…この…最強の力を手にした私を止めるなど…」

 そう言って、持っていたファイアリーのカードを、今度は桜に向ける。

 「ですが…これで全てが終りますっ!ファイアリーッ!」

 再び炎が蒔き上がり、今度は桜に向かって一直線に飛ぶ。

 「さくらぁっ!逃げろおおおぉぉぉぉっ!」

 小狼の叫びが終る前に、炎は桜を包み込んだ。

 「きゃああああぁぁぁぁぁっ!」

 

 炎が消えると、そこには、変わりない桜が蹲っていた。

 「…あれ?…何ともない…」

 「当然やぁっ!カードに署名しとるんはさくらやっ!主を攻撃なんぞする訳無いやろっ!」

 「馬鹿者っ!ケルベロスッ!」

 得意げに騒ぐケルベロスに向かい、ユエが一喝した。

 「…そうですか…では…直接私の手で殺せば…カードは主を失う訳ですね…」

 「あ…もしかして…ワイ…やってもぅた?」

 「この単細胞…時間稼ぎも出来なくなっただろう…」

 ジャスティは、その拳を構え、桜の下へと向かう。

 「駄目だ…もう…終りだ…」

 小狼が呟く、が、ジャッジに受け止められた知世は、微笑みながら呟いていた。

 「まだまだですわ…さくらちゃんには…あの人には無い…無敵の魔法が残ってます…」

 「!?…何だい?…それは…」

 桜は、恐怖に怯えながらも、その知世の声を聞いていた。

 (私の…魔法?)

 そう考えている間に、ジャスティの魔力の篭った拳が、桜に放たれた。

 「っ!?シールドッ!」

 光の壁が桜を包む。

 しかし、その壁ごと、桜は衝撃で吹き飛ばされた。

 「あうっ!」

 受身も満足に取れず、桜はまた地面に倒れ込む。

 (…私の…魔法…)

 

 「そうだよ…まだ…残ってた…」

 杖を地面に突き、桜は懸命に立ち上がる。

 「なんとか…なるよ…」

 そして、今までの怯えた表情が消え去り、毅然とした顔でジャスティを見詰める。

 「絶対!大丈夫だよっ!」

 

 

 「…ある〜日…突然…考えた…」

 項垂れていたハーミットから、今にも消えそうな歌声が聞こえる。

 「どぉ〜して俺は…頑張って〜るんだ〜ろ…」

 体はピクリとも動かさず、口だけが小さく動く。

 「さく〜らの為…」

 背中を凭れていた壁から、徐々に離れて行く。

 「じぶ〜んの為…」

 その目に、輝きが舞い戻る。

 「答〜えは…」

 そこで歌は止まり、立ち上がったハーミットは、その鋭い眼光をジャスティに向けていた。

 

 最後の覚悟を決めて。

 

 

 


解説

 ご免ね〜…知世ちゃんにまで痛い思いさせて…

 「平気ですわ、さくらちゃんが堪えているんですもの、わたくしだって同じ痛みを受けたいですわ…」

 ほんとに仲良しなんだね…

 「当然ですわっ!さくらちゃんはわたくしの全てですからっ!」

 …でもさぁ…知世ちゃんって、CCサクラ中で浮いた話が無いんだよね…

 「あら、心外ですわ…こんなにも愛してる人がいるのに…浮いた話が無いなんて…」

 いや…男の子と…

 「性別は関係ありませんわ、わたくしの一番はさくらちゃんです…」

 いや〜…解り易い子だな〜…

 

 男にゃ興味は無いの?

 「う〜ん…さくらちゃん以外は…あまり意識した試しがありませんわ…」

 困ったにゃぁ〜…知世ちゃんの純愛が作れない…

 「それはキャロンさんの実力の問題ですわ。」

 笑顔でキツい事、サラリと言うね…

 「でも良かったですわぁ〜…わたくしあのまま、陰で見てるだけで出番が無いのかと思いまして…」

 戦闘シーンなんだから…多く出したら危険でしょ…

 「確かにそうですね…一発でわたくし…KOですわ…」

 危ないから下がってようね…

 

 ところで知世ちゃん、考案時にはさくらちゃんとハーみんとの3Pとかあったんだけど…書いて欲しかった?

 「あぁ…さくらちゃんとまたラヴ×2になれるのなら…どんな苦痛も平気ですわっ!」

 (ハーミット乱入)

 「ちょっと待てコラァッ!苦痛はねぇだろ苦痛はぁっ!」

 現れたなロリコン大王っ!

 「お前が言うなっ!」

 「だって…やっぱり変態さんに抱かれるのは…ちょっと…」

 「誰が変態だっ!誰がっ!」

 はいはい…今日は用は無いんだから…帰った帰った…

 「いいかっ!断っとくがっ!俺はロリコンじゃねぇっ!そこんトコ勘違いするんじゃ…」

 (ハーミット強制フェードアウト)

 

 「ところで、わたくしの恋の話をお書きになる予定とか?」

 うん、この戦いが終ったらね。

 「誰となんですか?気になりますわ…」

 大丈夫…ハーみんとは別のタイプだから…

 「期待してますわ、それと…」

 …何?

 「出来れば…さくらちゃんとの秘め事も…もっと書いて欲しいですわぁ。」

 あ〜はいはい…暇だったらね…

 


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